内臓脂肪とメタボリックドミノ「一気に進む生活習慣病」

・”お腹ポッコリ”タイプの肥満は、ドミノ倒しのようにさまざまな生活習慣病を招く。
・”メタボリックドミノ”の最終列には「脳卒中」「心不全」「認知症」などがある。
・メタボリックドミノを倒さないためには、生活習慣の改善と薬物療法が重要。


■メタボリックドミノとは?

”お腹ポッコリ”タイプの肥満が重篤な病気につながることを示す。

お腹がポッコリとした内臓脂肪型肥満があり、 「高血糖」 「高血圧」 「脂質異常」などが加わった状態を 「メタボリックシンドローム」といいます。 内臓脂肪型肥満が関係する病気は、メタボリックシンドロームだけではありません。 「糖尿病」 「動脈硬化」 「慢性腎臓病」 など、さまざまな「生活習慣病」があります。 これらは互いに関連しており、たくさんのドミノを並べた状態とよく似ています。 1枚目のドミノが倒れると、次々とドミノが倒れるように、病気が起きてきます。 そして、最終列に並んだ 「脳卒中」 「心不全」「腎不全」などの重篤な生活習慣病に達してしまうのです。 このように、内臓脂肪型肥満から、メタボリックシンドロームが進行することで、さまざまな生活習慣病がドミノ倒しのように 襲ってくる現象を「メタボリックドミノ」と呼びます。


●生活習慣病はすべてつながっている

メタボリックドミノに関係する生活習慣病は、お互いに関連し、さまざまな病気を引き起こします。 動脈硬化が進行して心筋梗塞や脳卒中を起こすケースもあれば、糖尿病から末梢神経、目、腎臓に障害が出てくるケースもあります。 また、慢性腎臓病から腎不全へと進み、透析療法が必要になる患者さんもいます。 さらに、 「認知症」「大腸癌」などにも、影響を及ぼすことがわかっています。 したがって、血糖値が高い、血圧が高い、脂質異常があるという場合、それだけでは済まないことが多いのです。 また1つの臓器に病気があると、その影響はほかの臓器にも及んでしまいます。

●メタボリックドミノを倒す原因

内臓の周囲に脂肪がたまる内臓脂肪型肥満が最大原因

メタボリックドミノがどんどん倒れ、いろいろな病気を発症する人がいる一方、ドミノを倒さず、 いつまでも元気で長生きする人もいます。その分かれ目になる最大要因は、内臓脂肪による肥満があるかどうかです。

◆内臓脂肪による肥満とは

肥満には、脂肪が皮下にたまる「皮下脂肪型肥満」と脂肪が内臓の周囲にたまる「内臓脂肪型肥満」があります。 皮下脂肪型肥満は、いわゆる”二段腹、三段腹”と呼ばれるタイプで、指でお腹をつまむことができます。 これに対して、内臓脂肪型肥満は、腹囲は大きくても、お腹をつまむことがなかなかできません。 内臓脂肪型肥満があると、それがいろいろな臓器に働きかけて悪影響を及ぼす可能性があります。

◆肝臓や筋肉にたまることもある

メタボリックドミノの中には、 「脂肪肝」というドミノもあります。 脂肪が内臓の周囲にたまるだけでなく、 肝臓の細胞の中にまでたまった状態です。そのため、肝臓の機能に影響を及ぼします。 また、筋肉内に脂肪がたまることもあります。いわゆる”霜降り肉”の状態になってくるのです。 こうした脂肪の蓄積がある人は、お腹周りに脂肪がたまっているだけの人より、進行した状態であることがわかってきました。 どちらの場合も自覚症状はありませんが、ドミノが倒れはじめたサインと受け止める必要があります。