健康づくりのための運動指針「エクササイズガイド2006」
高コレステロールや高中性脂肪、高血糖、高血圧などの生活習慣病を改善するために運動を始めようと思っても、 どの程度体を動かせばいいかわからないという人が多くいます。 そのような人たちの指針となるように厚生労働省が発表したのが『エクササイズガイド2006』です。 エクササイズガイド2006を利用すると、家事や運動で週にどれだけ体を動かせば生活習慣病が防げるかがわかります。
■「エクササイズガイド2006」の概要
最近、厚生労働省は生活習慣病予防対策の一環として、「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後に薬」 の標語を掲げ、食事に加えて身体活動・運動施策についても、より一層の推進を図ろうとしています。 これを受けて国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防を目的とした望ましい身体活動・運動および 体力の基準を示すため、「健康づくりのための運動指針~エクササイズガイド2006」が策定されました。 医療の現場ではEBM(科学的根拠に基づいた医療)が推奨されていますが、健康増進の分野においても 科学的根拠に基づいた指針が必要であると考えられます。エクササイズ2006も、この点を考慮して、 国内外の最新の科学的知見から得られた運動基準に基づいて策定されているのが大きな特徴です。
年齢階級 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 |
1週間の合計運動時間 | 180分 | 170分 | 160分 | 150分 | 140分 |
目標心拍数 拍/分 | 130 | 125 | 120 | 115 | 110 |
エネルギー代謝は細胞の呼吸機能が基本になるのですが、それにともなって活性酸素が発生します。
そこで活性酸素の害を防ぐためにも運動の所要量は上記のように定められました。
超高齢者の運動不足解消の指針については、個人差が大きく、また心臓病や眼底異常をともなう人には
医師の指導が必要です。
特に介護を要しない程度の日常生活動作(ADL)が高められるような、身の回りの運動能力を高めるためには、
腰をおろしたままで行えるテレビの「みんなの体操」のようなものがお勧めです。
●「エクササイズガイド2006」の特徴
買い物や掃除も身体活動として算入する
エクササイズガイド2006の特徴は、身体活動と運動と生活活動をを次のように定義し、買い物や通勤、掃除、 子供との遊びなどの生活活動を、運動と同じくエネルギーを消費する身体活動としてとらえていることです。
- ▼身体活動
- 安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する全ての動き。
- ▼運動
- 身体活動のうち、体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実施するもの。
- ▼生活活動
- 身体活動のうち、運動以外のものをいい、職業上の活動も含める。
つまり、エクササイズガイド2006は、特別な運動をしなくても、ちょっとした生活習慣の見直しや工夫で身体活動量は アップでき、それが生活習慣病の予防につながるという考え方に基づいているのです。 エクササイズガイド2006では、身体活動の強さや量を次のような数値で表します。
- ▼メッツ(Met)
- 身体活動の強さを表す単位で、安静時を1Metとし、その何倍に当たるかを示す。
- ▼エクササイズ(Ex)
- 身体活動の量を表す単位で、メッツに時間をかけたもの。 たとえば、3Metsの身体活動(ふつうの歩行・ボウリングなど)を1時間行った場合は、 3Mets×1時間=3Ex、6Metsの身体活動(家具・家財道具の移動・運搬やジャズダンスなど)を30分行った場合は、 6Mets×1/2時間=3Ex、となります。
◆1週間に23Ex分、体を動かすのが目標
エクササイズ2006では、3Mets以上の活発な身体活動を1週間に23Ex行うことを目標としています。 この数字は多くの研究データから科学的に導き出されたもので、生活習慣病予防のために、ぜひ実行してほしい運動量です。 活発な運動を週に4Ex、残りの19Exを生活活動でまかなって、週23Exを達成するのが理想です。 ただし、このような内訳にこだわらず、自分の生活のあり方を見直す方法もあります。 それは、通勤や買い物は早足で歩くとか、エレベーターをやめて階段を使う、あるいは休日に散歩や庭いじりをするなどして、 Exを増やせばいいのです。例えば、ふつうに歩くのは20分で1Exですが、それを早足歩きに変えれば、15分で1Exになります。 ふだんの歩き方を変えるだけで、その分運動強度が上がって、少ない時間で目標とする身体活動をこなすことができます。
このようにエクササイズガイドを使えば、自分の生活に合った方法で必要な身体活動を無理なくできるようになります。 ぜひ、活用してください。