肥満症・メタボリックシンドローム対策
『メタボリックシンドローム』は、 内臓脂肪型肥満から生じる糖質や脂質の代謝の変化が、 糖尿病、 脂質異常症、 高血圧症と診断されるほどの病的な異常状態ではないが、完全に正常でもない状態をいいます。 メタボリックシンドローム対策はシンプルです。 「適切な食事を摂り、軽い運動を行い、禁煙して、規則的な生活を心掛けていくこと」です。
■メタボリックシンドローム対策の具体的方法
メタボリックシンドロームの患者さんには、食生活が不規則な人が多いので、まず「三食の食事をバランスよく摂り」、
「間食をやめる」ことが重要です。
調理法を工夫することも有効です。例えば、同じえびを食べるにしても炒め物と唐揚げ、てんぷら、フライでは体に入る油の量が違います。
揚げ物やフライではなく網焼きなどにすれば、摂取エネルギーは減るし、脂肪も減ります。
運動では、特別なフィットネスや過激なスポーツはやる必要ありません。
「歩くこと」が一番です。
お金もかかりませんし、誰にでもすぐできます。食事が終わってお腹が落ち着いたら20分ほど歩く。
これを習慣にするだけでメタボリックシンドローム予防効果は全く違います。
また、「日常生活で体を動かす」ことが大切です。
子供と遊んだり、掃除をしたりといったことでもカロリーは消費されます。
さらに「禁煙」。
タバコを吸う人と吸わない人では、同じ体重でも吸う人の方が内臓脂肪がたまっていることが多く、
メタボリックシンドロームになりやすいということがわかっています。
心筋梗塞になる人の割合もタバコを吸う人の方が3~5倍高くなっています。
本当に怖いのはメタボリックシンドロームの延長上にある
脳梗塞、
心筋梗塞、
糖尿病などの病気です。
放置しておくといつ起こるかわからない病気を未然に防ぐために、
生活習慣を改善してメタボリックシンドロームを解消する必要があるのです。
●内臓脂肪を減らす10箇条
『メタボリックシンドローム対策』はその源流にある「内臓脂肪の蓄積」を防ぐことにあります。
内臓脂肪を増大させる要因として、
①遺伝
②加齢
③性ホルモン
④食事
⑤運動不足
⑥生活環境
など多様な要因が関与しています。
これらのなかで、①②③は自分たちの努力ではどうにも変えることができないので、結局、④⑤⑥の改善ということになります。
具体的な対策は、
①メタボリックシンドロームについて十分理解すること。
②○○式ダイエットや薬に依存しないで、正しい食習慣の改善を習得すること。
③低エネルギー食品の選択方法や調理法を習得すること。
④油もの、糖分を控えること。
⑤ゆっくり、規則正しく、楽しく、おいしく食べること。
⑥野菜料理が不足しないようにすること。
⑦外食や加工食品を利用する場合は栄養表示を活用すること。
⑧運動すること。
⑨確実に実行すること。
⑩気長に習慣化すること。
であるとされています。
●新健診・新保険指導
平成20年に実施された「新健診・新保険指導」は、このメタボリック対策が重点的に行われています。 特徴としては対象者のリスクレベルに即した階層化により、保健指導をするところです。 健診結果から、ウェスト周囲長と脂質異常、高血圧、高血糖のリスク要因の合併状態により、 保健指導の内容を「情報提供」「動機付け支援」「積極的支援」に分類されています。 この方法は、医療でも行われているように、同じ糖尿病でも、その程度や合併症の内容により、処方される薬の内容や量が異なるのと同じです。 事業のカギは、約2000万人存在すると予測されているハイリスク者にどのように対応するかが大きな問題であり、 国は、この事業を医師、保健師、管理栄養士を中心に実施することを決定しています。