歯周病の治療

歯周病は、歯を失う大きな原因となります。 歯周病の治療は、歯周病菌の棲み処であるプラークや歯石を取り除くことが基本です。 歯や歯茎の状態を検査し、治療を進めます。 しかし、最近では、ある程度進行した歯周病でも、隠れた歯石を取る外科手術や、 組織を再生させる再生療法で、歯を残せる可能性も増えてきています。 しかし、対処が遅れると十分な効果を得られないこともあります。 早めに対処し、根気よく治療を続けましょう。


■歯周病の治療法の選択

進行の程度に合わせて治療を行なう

歯周病は、歯周ポケットの深さなどから、4つの段階に分けられます。 どの段階の治療も、「患者自身が行なうプラークコントロール」(歯磨き)と 「歯科で受けるプラークコントロール」(歯石除去)が基本治療となります (プラークコントロール)。  歯周病で受診した場合は、検査を行なったうえ、時間をかけて、これらの基本治療が行なわれます。 その後、再検査を行なって「基本治療のみを継続」「外科手術が必要」「再生療法が勧められる」 など、その後の治療法が検討されます。


●歯周病の進行の程度と治療法

歯周病の進行の程度によって、どのような治療が行なわれるかは次のようになります。

▼歯肉炎
歯周ポケットは3mm以内で、歯槽骨はまだ溶け出していない状態です。 プラークコントロールで治すことができます。歯磨きだけで治ることもあります。

▼軽度の歯周炎
歯周ポケットが4~5mmで、歯槽骨が溶け始めています。基本治療で進行を止めることが可能です。 しかし、中等度近くまで進行している場合は、外科手術や再生療法が必要になることもあります。

▼中等度の歯周炎
歯周ポケットが6~9mmと深くなります。歯槽骨が1/3~2/3ほど溶け、歯がぐらつきます。 多くの場合、プラークコントロールだけでは進行をとめることができず、外科手術や再生療法が必要になります。

▼重度の歯周炎
歯周ポケットが10mm以上になり、歯槽骨が2/3以上溶け出してきます。外科手術や再生療法が行なわれることもありますが、 この段階までくると歯を残すのは困難で、多くの場合、抜歯や失った歯を義歯で補う治療が必要になってきます。

歯肉炎は、歯磨きなどでしっかりセルフケアを行えば、健康な状態に戻すことができます。 歯周炎になると、軽度でも医療機関での治療が必要になります。 医療機関では次のような治療が行われます。


▼プラークコントロールや咬合調整
正しい歯磨き法など、自分で行えるプラークコントロールの指導を行い、噛み合せが悪い場合には、 噛み合せの調整(咬合調整)を行います。

▼スケーリング・ルートプレーニング
歯に付着したプラークは、徐々に石灰化して、「歯石」になります。歯石は、歯にこびりつき、その中には多くの毒素が 染み込んでおり、炎症を進ませます。そこで、「手用スケーラー」や「超音波スケーラー」「キュレット」などの器具を使って、 プラークや歯石をしっかり除去します。これが「スケーリング」です。
スケーリング終了後の歯の表面はザラザラしていて、プラークが付きやすく、一旦付くと落ちにくいので、 表面を滑らかに整える「ルートプレーニング」も必ずセットで行います。 キュレットという器具により、取り残したプラークや歯石を除去し、滑らかに仕上げます。
歯周ポケットの深い部分の治療も行う場合には、局所麻酔を行うケースがあります。

▼歯周病の手術
歯周病が進行すると、歯周ポケットが深くなって歯垢がたまり、スケーラーでも十分に取れない場合があります。 その時は、外科手術が行われることがあります。「フラップ手術」といい、歯ぐきを切開し、歯垢をしっかりと取り除き、 ルートプレーニングで表面をきれいにしてから、歯ぐきを元に戻して縫い合わせるというものです。