糖質制限で歯周病・歯槽膿漏を防ぐ

糖質制限こそ歯槽膿漏を治す秘訣。歯磨きだけでは不十分、糖質を減らさないと歯周病は治らない。


■糖質制限で歯周病改善

以下の文章は某健康雑誌より転載させていただきました。


●歯が抜け落ちる歯周病は糖尿病の6番根の合併症

歯周病は網膜症、腎症、神経障害、糖尿病足病変、動脈硬化性疾患(心筋梗塞や脳卒中)に次ぐ、6番目の合併症です。 歯周病が進行すると、歯周組織から膿が出る歯槽膿漏の状態になり、歯が抜け落ちます。 糖尿病の人は、歯周病になると悪化しやすいことがわかっています。 一方、歯周病の治療をすると、糖尿病が改善することもわかっています。 これは歯周病菌がインスリンの働きをするためです。このように糖尿病と歯周病は相互に関連しています。 ところが糖尿病と診断されていないのに、糖尿病の合併症のような難治性の歯周病患者さんがいます。 そこで、患者さんに、内科を受診するようにアドバイスすると、空腹時血糖値は70~80mg/dlと正常なのです。 こうした人は、血糖値調整機能障害の可能性があります。血糖値が上がったり下がったりしていて、 血糖値の平均を示すヘモグロビンA1c(JDS値)が6%を超えることはありません。 また、空腹時血糖値も70~80mg/dlと低いので、内科では糖尿病と診断されないのです。 糖尿病や血糖値調整機能障害の患者さんに、どのようなアドバイスをすればいいのか思案していた時、 私が出会ったのが糖質制限でした。糖質制限の第一人者である江部康二先生の著作を読み、歯周病の治療にも効果があることが わかったからです。

糖質制限を知ったのは、今から2年ほど前のことでした。患者さんに勧める前に、まず自分で糖質制限食を実践してみました。 私は肥満体型ではありませんが、20代のころより体重が5kg増えており、血糖値が安定しない体質でした。 しかも炭水化物依存ともいえる食生活だったので、まず、自分でやってみようと思ったのです。 するとわずか3ヶ月で、65kgの体重が60kgに戻り、不眠が解消されました。 時々動悸もありましたが、それもなくなりました。また逆流性食道炎も治り、胸やけもしなくなったのです。


●糖質制限で歯茎の腫れや出血が改善

糖質制限の効果に確信を持った私は、歯周病の患者さんに勧めてみることにしました。 まず患者さんの食生活のパターンを訪ねます。すると甘いものや炭水化物が大好きという人が多かったのです。 また、それらの人は、かなりの確率で、家系に糖尿病の人がいるということもわかりました。 糖質依存の強い人は、タンパク質が少なくなりがちです。歯茎はタンパク質でできているので、肉や魚、大豆の摂取量が少ないと、 弱くなりやすいのです。また、糖質を多く摂る人は、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素が少ない傾向も見られます。 逆に糖尿病でも歯周病にならない人は、こうした栄養素をしっかり摂っているからだと考えられます。

患者さんが糖質制限を始めて、1年ほど経ちますが、20人以上の男性と3人の女性が成功しています。 女性の成功者が少ないのは、どうしても糖質が欲しくなり、挫折してしまう人が多いからです。 この問題をどう解決していくかが今後の課題です。歯周病が劇的に改善するには、数年かかると思いますが、 歯茎の出血や腫れが治ったり、歯茎が引き締まるといった改善はすぐにみられます。 また、健康な歯茎はピンク色ですが、歯周病の人は赤い色をしています。 これは糖とタンパク質が結合する「糖化」による現象です。糖化が進むと、歯茎はさらに弱ってきます。 糖質制限食を始めると、歯茎の赤身が改善しますが、これは糖化が抑えられたからだと考えられます。 歯周病の人に私が進めているのは、3食のうち2食主食を抜く糖質制限です。 特に夕食の糖質制限が大事なので、午後5時以降は糖質を摂らないようにしてください。 また、おやつも糖質は避け、タンパク質の豊富なチーズ、ナッツ類、ゆで卵などを食べるのがコツです。

糖尿病の人はもちろん、歯磨きをきちんとしているのに歯周病が改善しない人は糖質制限を始めることをお勧めします。