■最大血圧が基準値より高いが、最小血圧は60~70ミリと低いのであまり心配ないですか?

【答】

昔は、上の血圧が高くても下の血圧が低ければ安心と考える人が多かったのですが、今ではそれは誤りだとわかっています。 もし、60歳以上で、上の血圧が基準値を上回っているのに、下の血圧が60~70ミリと低いなら、 大動脈の太い血管が動脈硬化を起こしている可能性があります。

ではなぜ、動脈硬化が進むと下の血圧が下がるのでしょうか。 それを知るには、まず心臓から血液が送り出される仕組みを理解する必要があります。 心臓が収縮して血液が大動脈へ送り出されると、そのうちの約6割はすぐに全身へ流れますが、残りの4割は大動脈が膨らむことで いったんそこに溜め込まれます。上の血圧とはこの時に全身の血管にかかる圧力を指します。 そのあと、大動脈が縮む力でそこに溜め込まれた残りの血液が全身に送られます。 下の血圧とはこの時に全身の血管にかかる圧力を指します。 ところが、大動脈の動脈硬化が進行して血管の弾力が失われていると、大動脈が十分に膨らめなくなります。 そのため、大動脈に溜め込まれる血液量も減り、結果として全身に血液を送り出す力、すなわち下の血圧が下がってしまうのです。

大動脈など太い血管の動脈硬化を放置していると、高血圧が進行して脳卒中や心筋梗塞を招く恐れがあります。 高血圧であるにもかかわらず下の血圧が低い人は決して安心せず、動脈硬化の状態を調べる検査(エコー検査など) を受けるべきでしょう。