■最大血圧160ミリ、最小血圧90ミリと上の血圧が特に高い高血圧です。心配ありませんか?

【答】

この血圧値を判断するには「脈圧」という数値について知る必要があります。 最大血圧から最小血圧を引いた差を「脈圧」といいます。 質問の場合では脈圧は160ミリ-90ミリ=70ミリです。 以前は脈圧は大きい方がいいとされていたようですが、現在ではこれは全くの誤りであり、それどころか、脈圧が大きいほど 心筋梗塞や脳梗塞を招く可能性が高くなることがわかっています。 具体的には、最大血圧が140ミリ以上で、かつ脈圧が65ミリ以上ある人は、 心臓病や脳卒中の発作に見舞われる危険性が極めて高いといわれています。 また、脈圧の大きい人では生存率も低くなることが多くの研究で確認されています。

例えば1997年に報告された脈圧と生存率に関する研究では、55歳以上の人を脈圧の数値によって4グループに分けて、 生存率を調べました。 その結果、脈圧が大きくなるにつれて生存率が下がり、65ミリ以上の人は調査開始から22年後の生存率が約75%に低下していたのです。 また、ベルギーのステッセン教授は、脈圧と心臓病による死亡率の関係について発表しました。 その研究では、脈圧が42ミリ未満の人では、25年後の心臓病による死亡率は18%だったのに対し、 脈圧が59ミリ以上の人では死亡率が約30%にまで上昇していました。

実は、脈圧が高いということはそれだけ動脈硬化が進んでいることを示しています。 動脈硬化が進行すると血管が硬くなり、心臓から送り出された血液の圧力を受け止める柔軟性がなくなるため、 最大血圧が上昇します。 また、動脈硬化の進行に伴って、最小血圧は逆に下がっていくという現象が起こります。 その結果、最大血圧と最小血圧の差が広がり、脈圧が高くなるのです。

質問のように、脈圧が70ミリもある状態を放置すれば動脈硬化が進行し、脳卒中や動脈硬化が進行し、 脳卒中や心臓病、腎臓病を招きやすくなります。 脈圧の大きさは、こうした病気が忍び寄るサインともいえるのです。 脈圧の大きい人はより厳重な血圧コントロールが必要なので、早いうちに医師に相談してください。

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『脈圧』