α遮断薬

α遮断薬』と『β遮断薬』は、心臓や血管の収縮にかかわる交感神経の刺激が伝わるのを遮ることで、血圧を下げる薬です。 α遮断薬は血管に分布する「α受容体」に作用し、末梢血管抵抗を減少させて、血圧を下げます。


■薬の作用

交感神経の働きを抑えて、末梢神経を拡張させる

α遮断薬は、末梢血管を収縮させる「α受容体」の作用を遮断します。 α受容体は、血管に多く分布しています。交感神経が興奮すると、その末端から「ノルアドレナリン」が分泌され、 血管にあるα受容体と結合します。 すると、末梢血管が収縮して、末梢血管抵抗が増加し、血流は減少します。 心臓はそれに対応して、さらに強い力で血液を送り出すため、血圧が上がってしまいます。 β遮断薬と同様に、α遮断薬は先回りしてα受容体に結合し、ノルアドレナリンの結合を妨げます。 それによって、末梢血管が広がり、血圧が下がってきます。


●どんな時に使われるか

糖尿病や高脂血症などを合併している人に適している

α遮断薬は、糖や脂質の代謝を改善すると言われており、「糖尿病」や「高脂血症」のある人に適しています。 α受容体は前立腺にも分布しているので、「前立腺肥大症」がある人では、排尿障害の改善も期待できます。 また、交感神経は朝に活発になるため、「早朝高血圧」 に対する有効性が高いと言われています。 ただし、最初から積極的に使う薬よりは、ほかの薬では十分に血圧が下がらなかった場合に、追加して使われます。

◆副作用・使用上の注意

副作用としては、立ち上がった時に血圧が十分に上がらず、 立ちくらみが起こる「起立性調節障害(起立性低血圧)」 などがあります。 特に薬を初めて飲んだときに「動悸、立ちくらみ、めまい」などが現れることがあります。 もともと起立性低血圧のある人には使えません。