血管年齢を若返らせる「血管にやさしいライフスタイル」
『血管年齢』を若返らせるために、食事の改善とともに重要になるのが、ライフスタイルの改善です。 スタスタペースのウォーキングや入浴、睡眠などで血管年齢を下げる方法が有効です。
■血管の老化を防ぐ生活とは
有酸素運動や入浴、睡眠、禁煙などが大切
血管の老化を防ぐためには、食事の改善とともに、ライフスタイルにも気を付けることが大切です。 例えば、適度な運動をすると血流がよくなりますが、それが血管の老化防止に役立つことがわかっています。 血流によって血管の「内皮細胞」が刺激され、”しなやか物質”の分泌が高まるからです。 40℃前後の温度の入浴も効果があります。体が温まると血管が拡張して血流が改善するのです。 ただし、42℃以上では逆に血管が収縮してしまうので注意が必要です。 睡眠中は心臓などの循環器系は休息状態になり、血圧も下がります。 十分な睡眠をとることが血管の健康に役立ちます。 さらに、喫煙は内皮細胞を直接傷つけて血管の老化を進めます。 また、ストレスも血管に悪影響を及ぼします。
■下半身を使ったウォーキングがお勧め
血管の老化を防ぐのに効果的な運動は「有酸素運動」です。 体にある程度の負荷をかけながら長時間続けられる有酸素運動は、ダイエットにも役立ちます。 また、血流がよくなることで血流によって引っ張られるような力が内皮細胞に加わります。 この力を「ずり応力」といい、ずり応力が高まることで、しなやか物質の分泌がよくなることがわかっています。 有酸素運動の中でも、特に勧められるのが「ウォーキング」です。 下半身の筋肉を使うことで「ミルキングアクション」が起こり、下半身の血液を心臓に戻す働きが高まります。 それによって全身の血流がよくなり、血管にもよい影響を及ぼすのです。 (下半身の静脈では筋肉の収縮によって、血液が下から上へと押し上げられており、これを「ミルキングアクション」といいます。 下半身の筋肉を使うとミルキングアクションが起こり、全身の血流がよくなります。)
●ウォーキングの注意点
”スタスタペース”のウォーキングや、ハイレベルなウォーキングは、心血管疾患がある場合に行うと、 血圧が高くなりすぎることがリスクになる可能性があります。 ウォーキングをしているときに、「胸の圧迫感」「呼吸困難」「動悸」「意識が遠のく」といった症状が現れた場合は、 すぐに歩くのを中止してください。そして、一度医師の診察を受けましょう。 安全にウォーキングを行うためには、水分補給も欠かせません。特に、暑い日には注意が必要です。
●スタスタペースは「最大心拍数の60%」が目安
(220 - 年齢) × 60% = 理想の心拍数
1分間の心拍数が、上記の方法で算出した心拍数になるように歩くのがよいでしょう。
例えば、50歳の人の場合、1分間に102回が理想のペース。
成人であれば、1分間に90~110回が目安になります。
まずはふだんのペースで歩き、慣れてきたら徐々にスピードを上げていきます。
息が上がらず、無理なく歩き続けられれば、それが自分に合った”スタスタペース”になります。
スタスタペースに慣れてきたら、スタスタペースと、最大心拍数の80~90%のペースを交互に行います。 急に行うと血管壁を傷つける危険性があるため、スタスタスペースに慣れてから行います。 すると次のような効果が得られます。
- ▼より強く内皮細胞を刺激して、しなやか物質を分泌させる
- 比較的短い間、強めの負荷をかけることで内皮細胞を刺激してしなやか物質を分泌させ、内皮細胞の機能が改善される。
- ▼筋肉への血流がよくなる→インスリンの働きがよくなる
- 筋肉への血流が改善し、血液中のブドウ糖をエネルギーに変える「インスリン」の働きがよくなると、 血糖や脂質の代謝が改善される。
- ▼血圧が上がる→血管が柔軟になる
- 強めの負荷がかかることで血圧が上がり、血管の弾力性が高まる。 すると、急激に血圧が上がった時などに血管が対応できるようになる。