血管年齢

最近よく目にする言葉に自分の血管の状態を表す『血管年齢』があります。 血管年齢の上昇は、重篤な病気の危険性を高めることがわかってきています。 この血管年齢とはどのような状態を表したものなのでしょうか。 そして、どうすれば若く保つことができるのでしょうか。


■血管年齢とは?

血管の狭さや硬さなどを基に、血管の状態を表したもの

「人は血管とともに老いる」といわれるように、私たちの血管(動脈)は、年を重ねるにつれて少しずつしなやかさを失い硬くなっていきます。 そこで、血管の老化を年齢に例えて、血管年齢という言葉が使われるようになりました。 この言葉を使い始めた高沢謙二氏は、血管年齢を次のように定義しています。
「血管年齢は、ずばり血管の”硬さ”を表しています。個人個人の血管の硬さを調べて、 それが何歳の人の血管の硬さに相当するかを示すのが、血管年齢です。」

加齢に伴って血管は変化します。コレステロールなどがたまって血液の通り道(内腔)が狭くなったり、 血管壁の弾力性が失われて硬くなったりするのです。 「血管年齢」とは、血液が心臓から送り出されるときに血管壁が打つ波(脈波)の伝わる速さなどを測定することで、 血管の老化がどの程度進行しているかを評価したものです。 血管壁が厚くなって血管の内腔が狭くなったり、血管壁の弾力性が失われたりすると、脈波の伝わる速度は速くなり、血管年齢は高くなります。 血管年齢は「生活習慣病」と深いかかわりがあり、肥満がある人ほど高くなる傾向があります。 また、血管年齢が高いと、「心筋梗塞」「心不全」といった重篤な病気のリスクが高まることも明らかになり、近年注目されています。

ではなぜ血管は硬くなるのでしょうか。血管の硬さには”気質的な硬さ”と”機能的な硬さ”があると高沢氏はいいます。 「動脈硬化で血管そのものが硬くなるのが、気質的な硬さです。 原因として、加齢や高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などがあげられます。 一方、血圧の上昇、ストレスや喫煙による血管収縮などによって、一時的に血管が硬くなるのが機能的な硬さです。」 この2つの硬さは、どちらも血管年齢に関係します。血管は加齢とともに硬くなっていきますが、 その硬さには病気や生活習慣も大きなかかわりを持っています。


■血管年齢が高くなる原因

血管の内皮細胞が出す”しなやか物質”が関係

血管壁は「外膜」「中膜」「内膜」という3層構造になっています。 外膜は血管を保護する役割、弾力性がある中膜は伸縮することで血圧を受け止める役割を果たしています。 内膜はⅠ層の「内皮細胞」から成る膜で、血管をしなやかにする”しなやか物質”を分泌しています。 しなやか物質は10種類ほどありますが、重要な働きをしているのは「一酸化窒素」「プロスタサイクリン」です。 一酸化窒素は、中膜に作用して中膜を構成する「血管平滑筋」の緊張を和らげ、血管の弾力性を保ち、 血液が固まるのを防ぐ働きもします。また、脂肪細胞から脂肪分を放出させる働きがあるため、 一酸化窒素が十分に放出されるとダイエットにもつながります。 プロスタサイクリンには、血液が固まるのを防ぐのに加え、血管を拡張させて血流をよくする働きもあります。

ところが、血管を取り巻く環境が悪化すると、これらのしなやか物質の分泌が低下してしまいます。 血管の環境を悪くする要因には、主に「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」「肥満」「喫煙」があります。 高血圧では高い圧力によって中膜が厚くなり、糖尿病では高血糖の影響で内皮細胞が傷みやすくなります。 脂質異常症があると内皮細胞の下にコレステロールがたまりやすくなり、肥満があると、蓄積した内皮細胞から血管を障害する物質が分泌されます。 喫煙は内皮細胞を障害し、血液を固まりやすくさせます。 こうして血管の老化が進行すると、重篤な病気を招きやすくなります。


●血管の老化

肩こり、冷え性、肌荒れも血管年齢の老化と関係

私たちの体の動脈は心臓に近い太い動脈(大動脈)と手足などに行っている中小の末梢動脈があります。 樹木にたとえると幹に相当するのが大動脈、枝葉に相当するのが末梢動脈です。 大動脈は加齢や生活習慣病により徐々に動脈硬化を起こして硬くなっていきます。 木の幹がゆっくりと老化していく状況に似ています。 末梢動脈も同様に加齢や生活習慣病による動脈硬化が生じますが、自律神経によって制御されており、 交感神経の緊張で収縮したり副交感神経優位の状態で拡張したりする点が大動脈と異なります。 このような末梢神経の様子は木の葉や花が季節や環境の変化の影響を受けて咲いたり散ったりする状況に似ています。

近年、若年層にも血管年齢の老化した人が目立つようになりました。これは、ストレスやライフスタイルの乱れから 交感神経が緊張して中小動脈が収縮し、血行障害が生じている状態です。 ちょうど空気の汚れた交差点に植えられた桜の木のように、まだ幹は若いのに環境の悪さから花が咲けずにいる状況です。 このような場合、「肩こり、冷え性、肌荒れ、抜け毛」などの症状が現れやすくなります。 そのままの生活を続けていると血管に負荷がかかり続け、やがて血管の素材そのものまで硬化してしまいます。


●メタボリックシンドローム

動脈硬化を生じやすい病態として近年、 「メタボリックシンドローム」が注目されています。 それは内臓脂肪の蓄積に脂質異常、高血糖、高血圧といった動脈硬化の危険因子を複数併せ持った状態です。 内臓脂肪がたまるとアディポサイトカインというさまざまな働きを持つ物質の分泌に異常が起こり、 高脂血症や高血糖、さらに高血圧を引き起こして動脈硬化を飛躍的に進めます。 また、内臓脂肪がたまると血管を詰まらせる原因となる血の塊「血栓」を生じやすくする物質「PAI-1」も増加します。


■血管年齢セルフチェック

血管の硬さを示す『血管年齢』の目安を知るためのチェックリストです。 これはあくまでも目安で、実際の血管の状態を知るためには、検査を受ける必要があります。


●判定

▼チェック数が「0~4」の場合
血管年齢は「年齢相応」と考えられます。

▼チェック数が「5~8個以下」の場合
血管年齢は「実年齢+10歳」と考えられます。

▼チェック数が「9~12」の場合
血管年齢は「実年齢+20歳以上」と考えられます。

さらに詳細なチェックをするには、下記のページをご覧ください。
『血管年齢チェック』