高血圧対策に『禁煙』
『禁煙』は生活習慣病や高血圧症予防の第一歩です。 かつては、単なる趣味嗜好であった喫煙も現在では、『ニコチン依存症=薬物依存症』という「病気」として世界的に認識されています。 日本循環器学会の呼びかけで、日本口腔衛生学会、日本口腔外科学会、日本公衆衛生学会、 日本呼吸器学会、日本産科婦人科学会、日本小児科学会、日本心臓病学会、日本肺癌学会 の9つの学会の合同研究班により「禁煙ガイドライン」が2003年5月に発表されました。 個人の趣味・嗜好とみなされていた『喫煙』が「ニコチン依存症」や「肺気腫」 など引き起こす「病気」と位置づけられ、社会全体が「禁煙」を求められるようになりました。
■ニコチン依存症
「喫煙」の本質は『ニコチン依存症』です。
ニコチンは、本来人間の体内にあって、大脳や自律神経系の神経伝達物質として重要な働きをしているのですが、
喫煙によって体内に入ったニコチンは、脳に化学的変化を引き起こし、
ニコチンを補給しないと本来の正常な機能が営めない状態にしてしまいます。
喫煙で「集中力が高まる」「気分が落ち着く」「ストレス解消になる」と感じるのは、
『ニコチン依存症』に陥っているからに他なりません。
かつては、単なる趣味嗜好であった喫煙も現在では、「ニコチン依存症=薬物依存症」
という病気として世界的に認識されています。
喫煙者の多くは程度の差はあれ「ニコチン依存症」に陥っています。
■喫煙と生活習慣病
タバコやその煙には、ニコチン、タール、ベンツピレン、ニトロソアミン、一酸化炭素等、
人体に悪影響を及ぼす多数の有害物質が含まれており、
「肺ガン」や「食道ガン」などは喫煙者の方が非喫煙者に比べて数倍高くなっています。
また、喫煙はガンに限らず「生活習慣病全般」の進行にも影響します。
タバコを吸うと、ニコチンの作用によって血管が収縮して血流が悪くなり、
心臓に大きな負担がかかるため、心拍数が高くなって血圧が上昇、高血圧の原因にもなるのです。
さらに、高血圧に中性脂肪や悪玉コレステロールの増加が加わると、
血管内に血栓ができて血流が滞り、動脈硬化が進行し、血管が詰まったり破れたりして、
心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすこともあります。
タバコはは中枢神経や自律神経に害を及ぼすとともに依存性があり、少しの量でも中毒を起こします。
『タバコは生活習慣病の主要な原因の一つ』ですから、一日も早く禁煙するのが望ましいでしょう。
■喫煙者が陥りやすい落とし穴
喫煙者が陥りやすい落とし穴に「ニコチンの少ないタバコに切り替える」ということがあります。
ニコチンの少ないタバコに切り替えると、ニコチンの血中濃度を維持しようとする「自己調節機能」が働き、
吸う本数が増えたり、吸うピッチが速くなったり、深く吸い込んだり、
根元まで吸うなどの「代替行為による埋め合わせ」をしてしまいます。
その結果、ニコチンやタールなどの有害成分の吸収が期待したほど低下せず、
しかも、一酸化炭素の吸収は吸う本数やピッチなどに比例して増加します。
「禁煙」どころか、逆に実質的に喫煙量を増加させているようなものです。
この危険は、ニコチンの少ないタバコを吸う方がむしろ大きく、
心臓病など動脈硬化が関係する病気にかかりやすくなることが報告されています。