高血圧対策の『食事』
②積極的に摂りたい栄養素

カリウム、マグネシウム、タンパク質、カルシウム、食物繊維などが積極的に摂りたい栄養素です。


■カリウム

ナトリウムの排泄を促し、血圧を下げる効果がある

食生活の中で、積極的に摂りたいのが、 「カリウム」を多く含む食品です。 カリウムには、ナトリウムの排泄を促す働きがあります。 カリウムを多く摂れば、食塩の摂りすぎによる血圧の上昇を抑える効果が期待できます。

◆積極的に野菜や果物を摂る

カリウムを多く含んでいるのは、野菜や果物です。 これらの食品を、普段からよく食べるようにしたいものです。 トマトのように生でも食べられる野菜は、加熱調理せずに生のままで食べると、カリウムの損失が少なく、無駄なく摂ることができます。 果物は、カリウムの摂取には大切な食品ですが、「果糖」という糖分が多く含まれています。 そのため、食べる過ぎると摂取エネルギーが増えて、肥満を招いてしまう危険性があります。 果物の摂取量の目安は、"こぶし大のものを1日2個まで"と覚えておくとよいでしょう。

◆腎臓病のある人は注意

腎臓病のある人は、カリウムを排泄する能力が低下しており、カリウムが体内に溜りやすくなっています。 血液中のカリウムが増えすぎると「高カリウム血症」を起こすことがあり、命にかかわることもあります。 腎臓病のある人は、カリウムを多く含む食品の摂取量などを医師に相談するようにしてください。

◆カリウムを多く含む食品

リンゴ、バナナ、トマト、ホウレンソウ、ジャガイモ、枝豆、サツマイモ、アボカドなど野菜や果物などに多く含まれています。


■マグネシウム

血管の収縮を抑えて血圧を下げる効果がある

◆マグネシウムの働き

カリウムとともに、積極的に摂りたいのが、マグネシウムです。 マグネシウムには、血管の収縮を抑えて、血圧を下げる働きがあります。 血管が収縮するときは、血管の細胞の外にあるカルシウムが細胞の中に入ります。 これが"スイッチ"となって、血管が収縮する仕組みになっているのですが、 マグネシウムは、カルシウムが細胞内に入るのを防ぐように働いて、血管の収縮を抑えます。 この作用は、降圧薬の「カルシウム拮抗薬」と似ているため、マグネシウムは"天然のカルシウム拮抗薬"とも呼ばれています。 現代の日本人は、一般にマグネシウムの摂取量が少ないので、下のような食品から積極的に摂るようにしましょう。

◆マグネシウムを多く含む食品

大豆、納豆、ゴマ、ひじき、落花生、カシューナッツなど豆類や海藻類に多く含まれるています。


■その他の栄養素

▼タンパク質
タンパク質は、血管を作る大切な栄養素です。 タンパク質不足は血管の弾力低下を招き、高血圧の人の場合、脳溢血などの危険性が高まります。 青魚や大豆を積極的に摂り、肉は脂肪の少ない部位を選びましょう。
サバ・アジ・イワシ・サンマ・大豆・豚肉(赤身)・牛肉(赤身)・鶏ささみなどがおお勧めです。

▼カルシウム
カルシウムは、日本人に不足しがちな栄養素です。 血液中のカルシウムが不足すると、血圧が上がりやすくなる可能性が指摘されています。 吸収率の高い乳製品がお勧めですが、塩分や脂肪分には注意しましょう。
牛乳・チーズ(無塩)・ヨーグルト・菜の花・小松菜・豆腐・厚揚げ・ヒジキなどがお勧めです。

▼食物繊維
食物繊維は、 過剰な塩分(ナトリウム)の体外への排泄を促し、血圧の上昇を防ぐ働きがあります。 特に、水溶性食物繊維(水に溶ける性質の食物繊維)を多く摂るように心がけましょう。
カボチャ・ 山芋・キャベツ・アボカド・菜の花・ワカメ・昆布・コンニャクなどがお勧めです。