カボチャで血圧が下がる仕組み

血圧上昇ホルモン「アンジオテンシンⅡ」は、非常に強い血管収縮作用を持つ、まさに高血圧の元凶です。 この血圧上昇ホルモンは、血液中のアンジオテンシンⅠがアンジオテンシン変換酵素(ACEという)の働きによって 変化することで産生されます。逆に、このACEの働きを妨げられれば、アンジオテンシンⅡの産生が抑えられ、 血圧の上昇が妨げるはずです。 『カボチャ』は、血圧上昇ホルモンのアンジオテンシンⅡの産生を妨げる 強力なACE阻害活性を備えていることが確認されています。

また、カボチャにはカリウムが豊富に含まれるので、余分な水分のナトリウムが体外に排出されて血圧の上昇が防げます。 さらに、緑黄色野菜のカボチャは、「βカロテン」の宝庫です。βカロテンは必要に応じて体内で「ビタミンA」に変換され、 強い抗酸化作用を発揮して、動脈硬化の進行を抑えるのに非常に役立ちます。

日本では何世代にもわたり、中風(脳卒中)を防ぐ特効食として、 冬至に「カボチャ」を食べる習慣が受け継がれてきました。 とはいえ、これはあくまでも伝承や経験則に基づく風習に過ぎず、カボチャの降圧効果について科学的に検証されたことは つい最近までありませんでした。ところが、私たちが研究を進めるうちに、カボチャこそ最強の降圧食材であるという 結論に達したのです。では、身近な食材のカボチャがなぜ高血圧の改善に役立つのか、その仕組みを説明しましょう。


▼ACE阻害活性が最強
前ページでも述べたように、 カボチャは、血圧上昇ホルモンのアンジオテンシンⅡの産生を妨げる強力なACE阻害活性を備えていることが、 既に確認されています。 カボチャのどの成分がACE阻害活性を有するのかはまだ特定されていませんが、 果肉中の熱に強い成分であることはわかっています。

▼塩分の排出を促すカリウムが多い
塩分(ナトリウム)の摂り過ぎは血圧上昇の最大の重大原因です。 体内にナトリウムが多くなると、その濃度を薄めるために水分が増え、結果として血液量(心拍出量)も増えるので、 血圧が上昇してしまうのです。ところが、降圧ミネラルの カリウムを多く摂れば、 余分な水分のナトリウムが体外に排出されて血圧の上昇が防げます。 そのカリウムが、カボチャには100g中に450mgと大変豊富なのです。

▼動脈硬化を防ぐ抗酸化成分が多い
緑黄色野菜のカボチャは、「βカロテン」の宝庫です。βカロテンは必要に応じて体内で「ビタミンA」に変換され、 強い抗酸化作用を発揮して、動脈硬化の進行を抑えるのに非常に役立ちます。 動脈硬化が進行して末梢血管抵抗が高まれば、やはり血圧が上昇するので、高血圧や動脈硬化の悪化を防ぐために、 βカロテンは毎日しっかり補いたい栄養といえます。

●野菜のACE阻害活性
野菜 産地 ACE阻害活性(%)
カボチャ 北海道 75
ブロッコリー 福島 72
トマト 熊本 70
アスパラガス オーストラリア 53
モヤシ 北海道 36
キュウリ 宮崎 16
セロリ 北海道 12
シュンギク 福島 10
ホウレン草 北海道 0
ピーマン 宮崎 0
ニンジン 北海道 0