高血圧対策の運動「ふくらはぎ強化」

血圧を上げる体質の第一はよく歩かない人に多い「血流不足体質」で、 血流を改善するには、ふくらはぎを強化することが有効です。 ふくらはぎは、「第二の心臓」と呼ばれるほど、全身の血流を左右する急所として知られ、 ふくらはぎの筋肉によるポンプ作用(ふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返すこと)によって、 周囲の血管が刺激されて血流が促進され、下半身の血液が上半身に押し上げられるのです。


■なぜ、血圧が上がるか?

血流が滞ると血圧が上昇する

高血圧の患者さんの9割以上を占めるのは、原因が特定できない「本態性高血圧」です。 しかし、原因不明といっても、近年は本態性高血圧の患者さんの血圧が上がる原因が次第にわかってきました。 その原因とは、遺伝的要因にさまざまな悪い生活習慣が加わって、「血圧を上げる体質」になっていることです。 そのため、本態性高血圧を予防・改善するには、何より血圧を上げる体質を改める必要があります。 血圧を上げる体質として、まず見逃せないのは「血流不足体質」です。 これは、動脈硬化が進むなどして全身の血流が悪くなっている状態のことをいいます。 動脈硬化が進むと、血管の弾力性がなくなり、血管の内腔が狭まって血圧が上昇してしまいます。 この状態が続くと心臓にも大きな負担がかかり、心肥大や心筋梗塞といった心臓病にもつながります。 また、こうした血流不足体質は、動脈硬化の進んでいる人以外にも、家に閉じこもりがちな運動不足の人や 低体温の人にも多く見られます。中でも、特に心配なのが、よく歩かない人です。 なぜなら、よく歩かない人は、全身の血流を促す急所であるふくらはぎが衰えてしまうからです。


■ふくらはぎは第二の心臓

実はふくらはぎは、「第二の心臓」と呼ばれるほど、全身の血流を左右する急所として知られています。 血液は、主に心臓のポンプ作用によって動脈を通って全身に送られた後、静脈を通って心臓に戻ってきます。 しかし、心臓から最も遠い足の静脈では、心臓のポンプ作用はほとんど役に立ちません。 しかも足先の血液は重力の影響を強く受けるため、心臓に戻りにくくなっています。 そんな足の静脈血の流れを促しているのが、ふくらはぎの筋肉によるポンプ作用です。 立ったり座ったり、あるいは歩いたりすると、ふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返し、 周囲の血管を刺激して血流を促します。こうしたふくらはぎのポンプ作用によって、 下半身の血液が上半身に押し上げられるのです。 ふくらはぎのポンプ作用の仕組みは、まるで牛の乳絞りのように見えることから「ミルキング・アクション」とも呼ばれています。 ふくらはぎのポンプ作用が衰えると、足の静脈血の流れが悪化して、ひいては全身の血流も滞ってしまうのです。 実際、高血圧の人はふくらはぎの筋肉が固くなっている例が指摘されています。