子供の肥満とメタボリックシンドローム

小中学生100人のうち10人は肥満で、そのうち1~2人はメタボリックシンドロームといわれています。 子供のうちから、食事や運動など正しい生活習慣を身につけ、肥満やメタボリックシンドロームの予防・改善に 努めることが大切です。


■子供と肥満

メタボリックシンドロームは子供にも起こる

「肥満」「メタボリックシンドローム」の危険性は大人だけではありません。 子供にとっても、肥満やメタボリックシンドロームは大きな問題になっています。 肥満のある子供の数は、この30年間で2~3倍に増加し、現在は小中学生の約10%が肥満しています (文部科学省「平成18年度学校保健統計調査)。 また、厚生労働省研究班の調査研究によって、子供にメタボリックシンドロームが見られることがわかってきました。 その頻度は実に肥満の子供10人のうち1~2人という高頻度です。 肥満やメタボリックシンドロームと診断された子供が、生活習慣を変えないまま大人になると、 将来、心筋梗塞や脳血管障害につながるなど、生涯の健康を左右する懸念があります。 ですから、子供のうちに正しい生活習慣を身につけて、肥満を解消することが大切です。

成長期の子供の肥満度を判定する場合、性別、年齢、身長ごとに細かく「標準体重」が示されています。 その標準体重をもとに、下の式で計算した肥満度が20%以上の場合に「肥満」と判定されます。 子供の標準体重を知りたい場合は、学校の養護教諭や小児科医に聞いてみるとよいでしょう。

子供の肥満度=((体重[kg]-標準体重[kg])÷ 標準体重[kg])× 100


●子供のメタボリックシンドロームの診断の目安

子供のうちから、メタボリックシンドロームを見つけ、適切に対応してもらおうという目的のため、 6~15歳の子供を対象にした調査研究や、学校の健康診断などのデータをもとに、 子供のメタボリックシンドロームの診断の目安が作られました。
子供場合、
男女とも「おへその高さの腹囲が80cm以上」で、
次の3つの項目のうちの2項目以上に当てはまる
場合に、メタボリックシンドロームと診断されます。 (ただし、この診断基準は、6歳~15歳を主な対象としたもので、小学生未満の肥満症は対象になっていません)

▼血清脂質
中性脂肪値120mg/dl以上かつ、またはHDLコレステロール値40mg/dl未満
▼血圧
収縮期血圧125mmHg以上かつ、または拡張期血圧70mmHg以上
▼血糖値
空腹時血糖値100mg/dl以上

この診断の目安を用いたところ、「肥満のある子供のうち、5~20%がメタボリックシンドロームである」 という調査結果が出ています。また、メタボリックシンドロームではないものの、 腹囲が基準を超えている子供が数多くいることもわかりました。
このような子供への対策をとることにより、将来のメタボリックシンドロームを予防することができると考えられます。 外見からはそれほど肥満しているようには見えなくても、実際に腹囲を測定してみると、 意外と数値が大きいこともよくあります。腹囲の測定は、家庭で手軽に行なうことができるので、 機会を見つけて子供の腹囲を測定し、基準を超えている場合は、小児科を受診して血清脂質、血圧、 血糖値を調べることが勧められます。