レシチン
(ホスファチジルコリン)

レシチンとは、脳や神経組織、肝臓に多く含まれるリン脂質の1つであり、 細胞膜の主要な構成成分としてさまざまな生理機能を担っています。 レシチンは、グリセリンに2分子の脂肪酸と1分子のコリン、リン酸が結合した構造をしており、ホスファチジルコリンとも呼ばれます。 レシチンは、神経伝達物質であるアセチルコリンのもとになる物質です。 また、脂質代謝を正常に維持し、肝臓を保護する働きを持ちます。 血液中のコレステロールを溶けやすくして、コレステロールが血管壁に沈着するのを防ぎ、 脂質代謝を活発にするという「乳化作用」があり、その結果コレステロールを下げて脂肪代謝を促進します。 レシチンは大豆や卵黄、レバー、ウナギ、ごま油などの食品に多く含まれています。


■「レシチン」とは?

「レシチン(lecithin)」は、グリセロリン脂質の一種で、自然界の動植物においてすべての細胞中に存在しており、生体膜の主要構成成分です。 レシチンという名前は、ギリシャ語で卵黄を意味するレシトース(Lekithos)に由来します。 レシチンは、元々はリン脂質 の1種類であるホスファチジルコリンの別名でしたが、 現在ではリン脂質を含む脂質製品のことを総称してレシチンと呼んでいます。 市場などでは原料に何を使用しているかで分類され、卵黄を原料とするものは「卵黄レシチン」、 大豆を原料とするものは「大豆レシチン」と呼ばれ、区別されます。

▼レシチンの特性
レシチンの特性として、油を水に分散させてエマルションを作る乳化力、 皮膚や粘膜から物質を透過吸収する浸透作用があることから、 医薬用リポソームの材料、静脈注射用脂肪乳剤、痔や皮膚病の治療薬として利用されています。

▼レシチンを多く含む食べ物
レシチンを多く含む食べ物には卵黄、大豆製品、穀類、ゴマ油、コーン油、小魚、レバー、ウナギなどがあげられ、 これらの食品から抽出されたレシチンを用いた健康食品が販売されています。

▼体内でのレシチンの働き
体内で脂肪がエネルギーとして利用・貯蔵される際、タンパク質と結びついて血液の中を移動しますが、 このタンパク質と脂肪の結合にレシチンを必要とします。

▼体内でのレシチン不足
体内のレシチンの総量は、体重60kgのヒトで600g程度。 体内でのレシチンの不足は、疲労、免疫力低下、不眠、動脈硬化、糖尿病、悪玉コレステロールの沈着など多くの症状の原因となります。

●期待される効能

肝臓の保護作用。肝機能の保持作用。

◆レシチンの効果

高コレステロールの方にお奨め

レシチンには、血液中のコレステロールを溶けやすくして、コレステロールが血管壁に沈着するのを防ぎ、 脂質代謝を活発にするという「乳化作用」があります。その結果コレステロールを下げて脂肪代謝を促進します。 また、レシチンには、水分を取り込む性質もあるので、皮膚細胞の新陳代謝を活発にする働きがあり、 シミを抑制してみずみずしい肌を保ったり、胆石を防止し、体重をコントロールするとされています。 レシチンを日頃から摂取すると、健康な細胞が維持されます。


●作用メカニズム

コリンが欠乏するとコリンを含むリン脂質が合成されず、肝臓で作られた脂肪を肝臓外へ移送できなくなり、 脂肪肝を生じます。 コリン欠乏が肝癌を誘発するという研究もあります。 その他、コリン欠乏がもたらす障害としては、成長抑制や不妊症、高血圧腎不全、記憶障害などが知られています。 コリンは非常に重要な栄養素ですが、適切な食事を摂っている場合には欠乏することはまずありえません。

●科学的根拠

サプリメントでレシチンを摂ることによるメリットとして、肝臓及び脳に対する作用が考えられます。 レシチンは、アルコール性肝障害ウィルス性肝炎などにおいて肝機能を改善します。 レシチンから作られるコリンは肝臓での脂質代謝において必須である他、コリンとは別の経路においてレシチンが肝機能を保護する作用を持ちます。 基礎研究では、レシチン投与によって、アルコール性肝障害に伴う肝臓の繊維化や肝硬変が予防できたというデータがあります。 また、肝毒性のある物質や肝炎ウイルスによる肝障害に、レシチンの効果が報告されました。 イギリスでの臨床試験では、C型肝炎患者にレシチンを投与すると、症状が有意に改善し組織学的にも改善が認められたといいます。 レシチンには、アルツハイマー病や 脳機能異常に伴う認知障害に対する効果も期待されています。 なお、レシチンは、末梢組織から コレステロールを取り除く際に作用するLCATという酵素に必要な成分です。 しかし、レシチンを摂取することで、コレステロール値低下作用が得られるのか、明確なデータはまだありません。

●摂取方法

短期間では効果が期待できないので、継続して利用します。

●注意事項

通常の食材に由来する成分であり、問題となる健康被害や副作用は知られていません。 希に、吐気や嘔吐、下痢などの胃腸症状がみられます。 サプリメントのレシチンは、大豆か卵黄を原料にして作られています。 大豆レシチンよりも卵黄レシチンのほうが、ホスファチジルコリンの割合が高いです。 また、パルミチン酸やステアリン酸などの飽和脂肪酸も、大豆レシチンより卵黄レシチンに多く含まれています。