ウォーキング『心拍数に気を付けて』

・「ウォーキング」は、脂肪を燃焼させるなどのさまざまな効果がある。
・手軽に行えるが、心臓に負担がかかると「突然死」を起こす危険がある。
・自分に合った心拍数を知り、それを保てるよう、運動の強度を調節することが大切。


■ウォーキング

手軽な有酸素運動。高齢者に最も多く行われている

”健康のために何か運動を始めよう”というとき、特に人気があるのがウォーキングです。 特別な道具もいらず、基本的にはどこでも行えることから、多くの人に親しまれています。 10歳以上の男女を対象にした総務省の調査によると、最も盛んに行われている運動は「ウォーキング・軽い体操」で、 65歳以上では非常に高い割合を占めます。 ウォーキングは、全身を使う有酸素運動です。その代表的な効果には、「脂肪を燃焼させて体重を減らす」というものがあります。 そのほかにも、「下肢の筋力低下を防ぐ」、運動中は心拍数が増えるので「心肺機能を高める」といった効果もあります。 さらに、「ストレスを解消する」、血圧や血糖、血中脂質などの値の改善により「生活習慣病を予防する」、 適度な衝撃が加わることで「骨を強くする」などの効果も得られます。

●注意が必要な点もある

気軽にできる運動とはいえ、危険もあります。中高年で特に注意が必要なのは、心臓の病気の問題です。 運動をすると、全身に多くの血液(酸素)を送るために、心臓が活発に働くようになり、心拍数が増加します。 しかし、中高年では心臓の働きが衰えていたり、動脈硬化によって「冠動脈(心臓の筋肉に血液を送る動脈)」 の内腔が狭くなっていたりすることがあります。そのような人が急に激しい運動をすると、運動の負担に心臓が耐えられなくなり、 心臓へ血液が十分送られなくなるため、 「狭心症」や「心筋梗塞」など突然死につながる病気を発症することがあるのです。 突然死を防ぐためには、次の2つのポイントを守ることが大切です。


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心臓に異常がないかどうかを定期的に調べる

運動を行うに当たっては、心臓に異常がないかどうかを調べておくことが重要です。定期的に健康診断を受け、 心臓の異常をうかがわせる症状が見つかれば、精密検査を受けます。 健康診断の検査項目のうち、特に心臓の状態に関係するのは以下の3つです。

▼血圧測定・血液検査
血圧や、血糖、血液中のコレステロール、中性脂肪などの値を測定し、 心臓の病気のリスクを高める生活習慣病の有無を調べます。

▼心電図検査
心臓の拍動から冠動脈の状態や「不整脈」の有無を調べます。

▼胸部エックス線検査
画像検査で、心臓や肺の状態を調べます。

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運動中は心拍数を上げすぎないようにする

心臓が1分間に拍動する回数のことを心拍数といい、ウォーキング中は心拍数を上げ過ぎないようにすることが大切です。 加齢によって心臓の働きは低下してくるため、持病がなくても、運動の強度が上がりすぎると、体に悪影響が及ぶことがあります。 運動の強度の目安となるのが心拍数で、次の2つに分けられます。

▼安静時心拍数
安静にしているときの心拍数です。

▼最高心拍数
100%の力で運動した時の心拍数で、「220-年齢」で推測することができます。 運動の強度を最高心拍数に達するまで上げてしまうと、心臓に負担がかかり過ぎて危険です。 安静時心拍数と最高心拍数の間に当たる「心拍予備能」と呼ばれる範囲に収まる強度で、運動を行うことが大切です。 ウォーキングの場合は、心拍予備能の50%を目標心拍数とすると、心臓への負担が少なく安全に行うことができます。 目標心拍数は、「安静時心拍数+[(最高心拍数−安静時心拍数)×50%]で算出できます。

◆心配運動負荷試験が必要な場合もある

前述の目標心拍数はあくまでも目安で、「生活習慣病や他の持病がある人」「運動制限がある人」「40歳以上の人」 「運動に慣れていない人」などは、医療機関で「心肺運動負荷試験」を受け、より適切な目標心拍数を知る必要があります。 運動負荷試験とは、トレッドミルや自転車エルゴメータを使って運動しながら、心電図や血圧、心拍数などを測定し、 運動能力や心肺機能を調べる検査です。検査の結果から、その人に適した運動の強度や目標心拍数がわかります。 また、脂肪燃焼量も示されるので、最も脂肪燃焼の効率がよい運動の強度もわかります。


●ウォーキングを行うときは

ポイントを押さえて歩き、立ち止まって心拍数を測る

まずは「視線をまっすぐにして遠くを見る」「しっかりと腕を振る」の2点だけを意識して歩きましょう。 また、ウォーキング中の心拍数を知るために、運動を開始して5分ほど経過したら立ち止まって心拍を測ってください。 心拍数が目標心拍数を超えている場合は、運動の強度を下げます。歩き方のポイントを押さえながら目標心拍数を守り、 安全にウォーキングを楽しみましょう。