メタボ対策に効果的なウォーキング『腰回し歩き』

メタボリックシンドロームの予防・解消のためにウォーキングを行うなら、 ただ漫然と歩いているだけでは効果は小さいものになります。 ただ歩くだけでは、体の奥の方にある深部筋肉は、ほとんど鍛えられません。 メタボリックシンドロームの予防・解消にはこの深部筋肉を強めることが重要なのです。 深部筋肉の強化には、「腰回し歩き」が一番で、週2回でも鋭く効きます。


■深部筋肉を鍛える

体の奥にある深部筋肉を強めるのが重要

普通のウォーキングでは、主にお尻や太もも、ふくらはぎなど、体の外についている筋肉が使われますが、 体の奥の方にある「深部筋肉」は、ほとんど鍛えられません。 メタボリックシンドロームの解消には、この深部筋肉を強めることが大変重要なのです。

深部筋肉には、代表的なもので「脊柱起立筋(背骨に沿って走る筋肉)」、 「大腰筋(背骨と太ももの骨をつないでいる筋肉)」、「腸骨筋(骨盤についている筋肉)」の3つがあります。 これらは、姿勢を保ち、日常の動作を陰で支える重要な役割を担っています。 中でも、大腰筋は、上半身と下半身をつなぎ、太ももを引き上げるときに働いて、立つ・歩くなどの動作を司る、 特に重要な筋肉です。 こうしたことから、年を取ったり、体を動かさない生活を続けたりして深部筋肉が衰えると、 歩幅が小さくなり、ウォーキングもできなくなってしまいます。

深部筋肉は、ふだん私たちが意識することがないため、強めるのが非常に難しい筋肉です。 しかし、逆に深部筋肉を意識して強めれば、結果的に効率よく全身の筋肉を強めることにつながるのです。 そうすれば、筋肉量が増えて体が酸素を多く取り込めるようになり、基礎代謝も向上します。 その結果、内臓脂肪が大いに燃えるため、メタボリックシンドロームの予防・解消に役立つのです。

しかし、一生懸命ウォーキングをしても、それが自己流の歩き方であっては、深部筋肉をうまく強めることができず、 運動効果が上がらないばかりか、膝や腰を痛める場合も少なくありません。 そこで、深部筋肉を鍛える歩き方を以下に紹介します。


●ウォーキングには「腰回し歩き」

無理なく無駄のない歩き方

ウォーキングをしている人の歩き方をじっと見ていると、たいていの人は、左右の手足だけしか動かしていません。 こうした左右の手足だけを動かす歩き方では、体の表面の一部の筋肉が使われるだけで、深部筋肉はほとんど使われません。 そこで、深部筋肉も鍛えることができ、健康効果も大きい歩き方として勧められている歩き方が 「腰回し歩き」(正式名称はコア・ストレッチ・ウォーキング)です。 腰回し歩きは、競歩の歩き方をもとに考案されました。50km競歩では、フルマラソンよりも長い距離を できるだけ早く歩かなければなりません。そのためには、いかに無理なく、無駄なく歩くかを追求する必要があります。 こうした競歩の腰回し歩きの動作が短距離走・長距離走選手のトレーニングにも取り入れられています。

腰回し歩きは、みぞおちの胸椎(胸部に当たる背骨)から、腕や足を振り出すイメージを持って歩くのがポイントです。 こうすることで、自然に腰を回すことになり、体幹部(体の中心部)にある脊柱起立筋、大腰筋、腸骨筋などの 深部筋肉までしっかり使われます。また、深部筋肉を動かすと腹筋や背筋、大腿四頭筋など、 体の表面にある筋肉も総動員されるため、普通の歩き方よりも全身の筋肉を効率よく鍛えることができます。 中高年を対象として週2回開かれているある健康教室で、腰回し歩きの効果を調査したところ、 3ヵ月後の測定で、参加者の大腰筋の断面積が平均で10.1%も増大したという結果がでています。 腰回し歩きは、週に2回行えば大きな運動効果が得られます。腰回し歩きのやり方は次のようにします。


●腰回し歩きのやり方

  • まず、胸を張って全身をやや弓なりにする(肩の位置が少し高くなる)
  • 胸椎(みぞおち)から歩き出すような感覚で、体の重心を前方へ移動させながら、右足を前に出す。 このとき、出した足と同じ側の腰も一緒に前に出す。
  • 右足を着地させるとき、かかと・ひざ・腰・胸が一直線になるように意識する。 着地したら、右足の膝を伸ばしたまま、右足の足裏全体で体を支える。
  • 右足の親指の付け根あたりで地面を押し、体の重心を前方に移動させながら、 左足を2、3で説明したように前に出す。
  • 以下、2〜4を繰り返す。

腰回し歩きを行うときは、体全体を大きく、軟らかくスムーズに動かすことを心がけてください。 この動作によって、膝の裏側、太ももの上部、お尻、腰、背中、そして体の深部筋肉を伸ばす感覚が得られれば、 うまく歩けていることになります。 なお、歩くときは、足が股関節ではなく、「みぞおちから生えている」という意識で足を前に出しましょう。 腕を振るときは、肩甲骨を意識して動かすようにします。できるだけ、リズミカルに動くことも大切です。


●肩こり・腰痛の予防にも役立つ

前述したように、腰回し歩きは週に2回行うだけでも効果がありますが、こまめに行ったほうが効果は大きくなります。 週に3回行うなら1日30分ほど、週に4回行うなら1日に20分程度を目安にしてください。 歩行スピードは、いつもの歩きより少しきついと感じるくらいが目安です。 具体的には、分速80〜100mが目標ですが、個人差があるので自分の最適なペースを見つけることが重要です。 ただし、無理は決してしないでください。
腰回し歩きを行えば、メタボリックシンドロームの予防・解消に役立つばかりでなく、 他にもさまざまな健康効果が期待できます。 まず、腰回し歩きを行えば、体重が一つの関節にかかることが少ないので、足腰を痛める危険は少なくなります。 また、大腰筋が強まれば歩行能力が上がって、転びにくくなり、転んで寝たきりになることも防げます。 さらに、姿勢も正され肩こりや腰痛の予防にもなります。その上、意識して深部筋肉を活動させると、 脳の神経細胞が刺激され、脳を活性化することが確かめられています。 すなわち、腰回し歩きは、ボケ防止にも役立つのです。