糖質制限⑥『腸と免疫』
腸内細菌のバランスがよくなると、活性酸素を減らすと同時に免疫力を高めて、ほとんどの病気を防ぐ。
■腸と免疫
腸に集中する免疫細胞が癌を監視し攻撃する
50歳を過ぎても解糖エンジンが活発に働いていると、本来メインに切り替わらなければならないミトコンドリアエンジンが うまく作動しなくなり、活性酸素が大量に作られます。活性酸素は、癌、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病などの発症に深く関わっています。 しかし活性酸素は無毒化できます。無毒化するものの1つに、私たちの腸に棲んでいる腸内細菌があります。 活性酸素の悪さを抑える最強の微生物が腸内細菌です。腸内細菌が増加すると、体内での活性酸素の作用を減らせることが わかっています。腸内細菌は、人類の進化の過程で腸内に入り込んだ微生物で、強い抗酸化作用を持っています。 その抗酸化作用によって、腹部に溜まった活性酸素を中和し、無毒化するのです。 また、腸内細菌は免疫力も高めます。腸には免疫細胞の7割が集中しています。腸内細菌が元気に活動していれば、 活性酸素を減らすと同時に、免疫力も高まり、ほとんどの病気が防げます。 免疫力が髙ければ、癌も防げます。私たちの体内では、日々3000~5000個もの癌細胞が出現しています。 しかし、これらの癌細胞が、直ちに癌組織になるわけではありません。 免疫システムが監視し、見つけると攻撃して、増殖を防ぐのです。
●太った人と痩せた人では腸内細菌が異なっている
腸管にはさまざまな腸内細菌が集合体を作って棲みついています。腸内細菌は、主に3つのタイプに分けられます。 善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つです。しかし、これらの名前は便宜上付けられたもので、悪玉菌も大事な働きをしています。 腸管にとって大事なのは、善玉菌と悪玉菌と日和見菌のバランスなのです。 理想としては、「善玉菌はいっっぱい、日和見菌はほどほど、悪玉菌は少々」といったというバランスです。 このバランスが保たれているとき、免疫力は最も強化されます。 腸内細菌のバランスは、太っている人と痩せている人でも異なります。 肥満の人は肉のタンパク質や脂肪を好む悪玉菌が優勢です。 逆に糖質を減らし食物繊維が豊富な食生活を続けていると、食物繊維をエサにする善玉菌が増え、太っている人は痩せてきます。 善玉菌を増やすには、乳酸菌を含むヨーグルトを食べるとよいといわれています。 それも間違いではありませんが、乳酸菌はヨーグルト以外の食品にも含まれています。 また乳酸菌を直接摂らなくても善玉菌は増えます。乳酸菌のエサになる食物繊維を摂ることででも善玉菌が増え、 腸内細菌のバランスはよくなるのです。