水腎症
『水腎症』は、腎臓に尿が溜まる病気です。
■症状と特徴
尿路に流れの悪い部分ができると、腎臓でできた尿が腎臓の内部に溜まり、腎盂、腎杯が尿でいっぱいになります。 腎実質は、溜まった尿に内側から圧迫され、萎縮してしまいます。すると、腎機能は低下していきます。これを「水腎症」といいます。 これが両方の腎臓に起こると、「慢性腎不全」となってしまいます。 尿路の閉塞が起こっている場所、原因、期間によって症状は異なります。 閉塞が短時間のうちに生じる急性の水腎症の場合は、障害が起きた側の脇腹から腰、下腹部にかけて激しい断続的な痛みが生じます。 ゆっくりと進行する慢性の水腎症では、自覚症状が全くない場合もあれば、障害が起こっている側の脇腹に鈍くうずくような違和感、不快感を覚えることもあります。 尿の流れが滞っている場所が膀胱から腎臓の間なら片方の腎臓が、膀胱から尿道の間なら両方の腎臓が水腎症になります。 実際には、どちらか片方の腎臓で発症するケースがほとんどです。
■原因
尿路を塞ぐ病気は、すべて水腎症の原因になります。 水腎症は、先天性と後天性の大きく二つに分かれます。子供では先天性がほとんどで、中年以降では後天性が多くなります。 先天性の場合は、生まれつきの尿管の狭窄や異常が原因になります。 尿管と腎盂が接合する位置が高過ぎたり、腎臓の位置が生まれつい低いために、尿管と腎盂の接合部がよじれたりしている場合があります。 後天性の場合は、腎結石や尿管結石などの尿路結石、 腎盂癌、尿管癌など尿路の癌などが原因になります。直腸癌のの広がり(浸潤)や、外科手術の合併症を原因として起こることもあります。 女性の場合は、妊娠中に子宮が大きくなって尿管を圧迫し、水腎症になることもあります。 この場合は、出産すると水腎症もなくなります。
■治療
原因や程度によって治療法は異なります。腎実質の厚さがある程度残っている場合は、原因となった病気を治療し、尿を流れるようにして腎機能を回復させます。 腎機能の回復が望めない場合は、反対側の腎臓が十分機能していることを確認してから腎臓を摘出することもあります。