睡眠時無呼吸症候群による隠れ不眠の改善
睡眠時間は長いのに昼間眠い人は、隠れ不眠の可能性があります。 その原因は、夜イビキをかいて眠りの浅い睡眠時無呼吸症候群で、 睡眠時無呼吸症候群を治す特効薬は、「イビキ止め」です。
■イビキ
イビキは、睡眠中の無呼吸を引き起こす
他の人と比べても、睡眠時間は十分取っている。それなのに、昼間眠くなって、会議中や車の運転中に居眠りしそうになり、ハッとしたことがある。 そんな経験は、ありませんか。 もしも思い当たる節があれば、あなたは眠っている間に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」に陥っているのかもしれません。 睡眠時無呼吸症候群とは、一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の呼吸停止が30回以上起こる状態、 または1時間に5回以上の無呼吸が起こる状態を、断続的に繰り返す病気です。 この症状に陥ると、呼吸が止まるたびに眠りが浅くなります。睡眠時無呼吸は、イビキをかく人によく起こります。 2001年に、ある大手製薬会社が男女約3000人を対象に、イビキについてのアンケートを実施したところ、 全体の28.4%の人が、「イビキをかく」と答えました。その数は15年前の調査の約17倍にも達していました。 これは、おそらくバブル崩壊後のストレスの増加が大きな原因ではないかと考えられています。
【関連項目】:『睡眠時無呼吸症候群』
●イビキは何故起こるのか?
気道が狭くなってイビキが起こる
イビキは何故起こるのでしょうか?
寝ているときに気道が狭くなると、舌や軟口蓋(口の奥で通気を調節する柔らかい部分)が空気によって震えます。
このときに出る音が、イビキです。起きているときには、気道は広がっていて、鼻から入った空気はスムーズに流れます。
しかし寝ているときには筋肉が緩むために、舌や軟口蓋がのどの奥の方へ下がります。
そのために気道が狭くなって、舌や軟口蓋に空気抵抗がかかって震え、イビキが発生するのです。
イビキの原因は、さまざまです。ふだん、イビキをかかない人でも、疲れているときには、 脳が酸素をたくさん取り込もうとして、気道に息が激しく流れ込み、イビキをかくことがあります。 また、風邪などによって、鼻に炎症が起こると、鼻の穴が狭くなってイビキの原因になります。 しかし、こうしたイビキは熟睡すると止まってしまうことが多く、あまり心配はいりません。 問題なのは、一晩中ガーガーと大きな音を立てるようなイビキです。これは、肥満気味の人によく見られます。 肥満すると、のどの奥やあごのまわりが太くなり、気道が上下左右から押し付けられたような形になります。 そのため、いつも気道が狭い状態になってしまうのです。 さらに、ふだん鼻の中が乾燥して、荒れた状態になっている人も要注意。 鼻の通りが悪くなっているために、やはり慢性的なイビキが引き起こされます。 鼻でも呼吸が苦しくなると、酸素を取り入れるために口呼吸が行われます。こうなると、事態はさらに深刻です。 口呼吸は、のどにかかる負担が鼻呼吸より大きいため、舌や軟口蓋がますますのどの奥に押し付けられるからです。
●イビキの影響
さまざまな病気を引き起こす
睡眠時無呼吸症候群は、体に驚くほどの悪影響を及ぼします。まず、睡眠時無呼吸症候群の人は、熟睡できません。 そのため、慢性的な睡眠不足の状態になり、睡眠時間は足りていても実はよく眠れていないという「隠れ不眠」の状態に陥ってしまいます。 さらに、睡眠時無呼吸症候群は、あらゆる内臓の病気を引き起こします。 睡眠時無呼吸症候群の合併症として最も多いのは、心不全・狭心症・心筋梗塞・不整脈といった心臓の病気です。 睡眠時無呼吸症候群が長期間続けば、慢性的な酸欠状態になります。 すると、少ない酸素を体のすみずみまで行き渡らせるため、心臓に大きな負担がかかります。 これが、さまざまな心臓病の原因となります。 心臓病と並んで多い合併症は高血圧です。無呼吸が続いて血液中の酸素が不足してくると、代わりに炭酸ガスの血中濃度が高まります。 すると肺の血管が収縮し、肺高血圧を引き起こすのです。 さらに、自律神経のバランスが悪くなり、心臓の血液拍出量を増加させ、全身の血圧も一気に上昇するのです。
近年の研究では、イビキをかく人のうち、実に70%もの人が、睡眠中に何度も呼吸停止状態になることがわかっています。 ふだん大きなイビキをかいている人は、すでに睡眠時無呼吸症候群に陥っているか、少なくとも予備軍になっている危険性が高いのです。 命に関わることもあるので、たかがイビキと軽く考えてはいけません。