■海馬を活発にするサフランの特攻成分『クロシン』

記憶・学習障害を予防・改善する

最近、海馬の神経細胞の活動を活発にして、不眠も物忘れも強力に改善する成分が見つかり、注目を集めています。 それは、サフランのめしべに含まれる「クロシン」という成分です。 サフランは、パエリアやブイヤベースを作る際に欠かせない黄色い香辛料で、 正式には、アヤメ科クロッカス・サティーブスという植物で、香辛料として使用するのは、花のめしべです。 サフランに関して行われたある研究で、サフランから抽出したエキスには、記憶・学習障害を予防・改善する働きがあることがわかりました。 ラットにアルコールを飲ませると記憶障害が起こりますが、あらかじめサフランの抽出エキスを与えてから、 アルコールを飲ませたところ、記憶障害が軽くなったのです そして、その後の研究で、サフランの抽出エキスの有効成分は、「クロシン」というカロテノイド系の色素であることが突き止められました。


●クロシンが海馬の働きを活発にする仕組み

物忘れや認知症といった記憶障害は、海馬の中にある神経細胞どうしを結びつける「シナプス」という結合部の機能の低下が大きな原因です。 年を取ったり睡眠不足が続いたりすると、物忘れをしたり、集中力が低下したり、物事を論理的に考えられなくなったりしてきます。 クロシンには、そうした脳の機能低下を防ぐ働きのあることがわかりました。 具体的には、次のようになります。

海馬のある部位へ外部から電気刺激を与えると、神経細胞どうしの結びつきが強くなり、刺激の後もずっと強く結合したままの状態が続きます。 これは「LTP(長期増強現象)」といい、記憶の固定に深く関わっていると考えられています。 ラットを使った実験では、脳の海馬に電極を取り付け電気刺激を与えると、神経細胞は活発に情報の受け渡しを行います。 しかし、アルコールを飲ませたラットの場合は、電気刺激を与えてもその働きは鈍くなります。 ところが、アルコールを飲ませる前にクロシンを与えておくと、海馬の神経細胞の働きは再び活発になっていたのです。 このように、海馬の働きが活発になれば、認知症の予防や改善に効果が期待できます。

そして、クロシンの働きの中でも、特に注目を集めているのが、「不眠を改善する効果」です。 クロシンを摂取したら熟睡できたという報告が全国で相次いでいるのです。

【関連項目】: 『不眠改善のサプリメント「サフラン(の成分クロシン)」』