慢性ウィルス肝炎

慢性ウィルス肝炎は肝硬変や肝癌になることもあります。


■慢性ウィルス肝炎の症状と特徴

肝炎ウィルスの感染による肝臓の炎症で、6ヵ月以上症状が続くものを慢性ウィルス肝炎といいます。 慢性ウィルス肝炎は、急性ウィルス肝炎に比べ、治癒に数年からときに数十年かかることがあります。 沈黙の臓器と呼ばれる肝臓は、悪化しないと症状が現れません。 その典型例が慢性ウィルス肝炎です。倦怠感や食欲不振、微熱、上腹部の不快感、黄疸が出る人もいますが、ほとんどの人は全く症状がありません。 そのため、診断は血液検査で行います。一般的にAST(GOT)、ALT(GPT)が基準より高い状態が6ヵ月以上続くと慢性肝炎であると考えられます。 慢性肝炎では、ALTがASTより高くなります。
感染原因は、B型肝炎ウィルスのHBs抗原やC型肝炎ウィルスに対するHCV抗体の存在を調べます。 病状が進行すると、脾臓の肥大、皮膚のクモ状血管腫、体液のうっ血などが徐々に現れます。 慢性の状態が長く続くと、肝細胞が破壊されて肝細胞の数が減少し、最後には肝硬変肝不全肝癌になることがあります。 自覚症状が現れなくてもC型肝炎の20~40%はそのまま肝硬変に移行します。


■慢性ウィルス肝炎の原因

急性ウィルス肝炎のうちにウィルスを除去できないと、慢性ウィルス肝炎になります。 急性ウィルス肝炎の中で慢性化しやすいのは、C型(慢性ウィルス肝炎全体の70~80%)とB型(15~20%)です。 C型急性肝炎の70%は慢性化します。ウィルスに感染しても発症しないこともありますが、その理由は解明されていません。


■慢性ウィルス肝炎の治療

慢性ウィルス肝炎の治療は、時に数十年に及びますので、特に数値が高いとき以外は外来診療が中心です。 薬物療法は、インターフェロン、抗ウィルス薬や肝臓の庇護のために肝臓疾患用剤の使用が中心となります。 肝硬変に進行して腹水や脳の機能障害がみられるときは治療が必要になります。 重症の場合は、肝臓移植を行うこともあります。 B型ウィルス肝炎の場合は、移植された肝臓にも再発しやすいので、抗ウィルス薬を使用して予防します。 C型ウィルス肝炎も、移植された肝臓に再発がみられますが、症状が軽いことが多いです。