血栓予防とアスピリン③血栓予防のためにはどのように使うのか?
解熱鎮痛薬として知られる『アスピリン』が、近年、血栓ができるのを防ぐ薬として、 「心筋梗塞」や「脳梗塞」などの再発予防のために広く使われています。 ”血液をサラサラにする”作用が注目されるアスピリンについて説明します。
■血栓予防のためにはアスピリンをどのように使うのか?
抗血小板薬として使うアスピリンの量は、75~150mg程度でよいとされています。 解熱鎮痛薬として使うときの1/4程度です。通常、1日1回服用します。 アスピリンは20~30mgほどでシクロオキシゲナーゼを阻害できるとされています。 現在日本で使われている製品は1錠に81mgか100mg含まれているので1錠飲めば十分です。 それ以上増やしても効果が高まるわけではなく、かえって悪影響が出る恐れもあります。
それでは、もっと容量を減らすことができるのでしょうか?
アスピリンの抗血小板効果は作用した血小板の寿命が尽きるまで続きますから、日本では2日に1回とか、週に2回服用するなど、
医師が経験を活かして服用の仕方を工夫していることもあります。
これはいわば”職人的な技”なので、欧米のようなデータベースにはなっていません。
■アスピリンを使っているときに注意すること
服用している人が、自分で気を付けておくべき副作用の兆候はあるのでしょうか?
止血という役目を持つ血小板の働きを抑えているわけですから、アスピリンを飲んでいる人は出血が止まりにくい状態にあります。
特に「便が黒くなる」という変化に気づいたら、胃で出血している可能性があるのですぐに受診してください。
「坂道を上ると息切れするようになった」という場合も、血球減少による貧血の可能性があります。
血栓予防のためアスピリンは長く飲み続けることになるので、その間に「腰が痛い」「風邪を引いた」などで
市販の痛み止めや風邪薬を使いたくなることがあるかもしれませんが、
痛み止めや風邪薬に使われる「イブプロフェン」などの非ステロイド性消炎鎮痛薬をアスピリンと併用すると、
抗血小板作用が若干弱くなるといわれています。
しかし、痛みや熱があるときに数日間そのような薬を使う程度であれば、あまり神経質に考えなくてもよいでしょう。
ただ、出血性合併症は少し増える可能性がありますから、便の色などには注意する必要があります。
皮膚のあざなどを心配する人もいますが、こうした小さな出血が起こっても、
脳出血が起こりやすくなっているというものではありません。