糖尿病の食事療法「発酵食品」

腸内の善玉菌を増やし免疫力を上げる、高い抗酸化作用を発揮するなど、 その高い健康効果が見直され、近頃では社会的なブームにもなっている『発酵食品』。 私たちの食卓に馴染み深い食べ物である発酵食品には、食後血糖値の上昇を抑えたり、 血糖値自体を下げたりする働きがあります。 近年、大学や企業などさまざまな研究機関により、そんな刮目のデータが発表されています。 例えば、納豆やナチュラルチーズなどの発酵食品を食べると、糖尿病の予防・改善に効果的であるなど。 ここでは、そのいくつかを紹介します。


■納豆

納豆を食べると食後血糖値の上昇を抑制する効果を確認!
水溶性食物繊維がポイント

ミツカングループ本社中央研究所チームが、納豆を食べることによる食後血糖値の上昇率へ影響を確認するため、試験を行いました。 同研究所は、1年以上にわたって試験を重ね、ヒトでの試験で正確なデータを得られる条件を設定。 成人男性を被験者とする摂取試験が行われました。 試験方法は、

①米飯食のみ(米飯150g)
②納豆食(米飯150g、納豆45g、タレ6g)
③大豆食(米飯150g、蒸し煮大豆45g、タレ6g)

をそれぞれ摂取し、食後血糖値の変化を測定するというもの。
看護師の管理のもとで、食後120分の血糖値を継時的に測定したところ、血糖値の上昇を抑制する効果が確認されました。 米飯食と大豆食に比べて、納豆食は血糖値の上昇幅がぐっと低く抑えられ、さらにその上昇速度も他の二つよりも ゆっくりとしたものだったのです。 また、上昇のピーク時間を見てみると、米飯食が最も長く食後70分近くまで上がり続けたのに対し、 納豆食は35分付近。そして、ピークからの下降も納豆食が最も緩やかでした。

この結果から、同じ大豆である納豆と蒸し煮豆とで、血糖値上昇の抑制効果に大きな違いがあるとわかったのです。 納豆には、食後血糖値の上昇抑制効果を持つとされる水溶性食物繊維が、大豆の1.5倍含まれています。 このことが両者の効果の違いを生んでいるものと同研究チームは考えているとのこと。 発酵によって、大豆にはない高い粘性が生まれていることも水溶性食物繊維が増加した理由として考えられると 研究所は推測しています。なお、納豆が食後血糖値に及ぼす詳細なメカニズムの解明は、今後の研究課題とのことです。


■カスピ海ヨーグルト

カスピ海ヨーグルトの粘りを生み出す乳酸菌が分泌する成分に食後血糖値の上昇抑制効果!

カスピ海ヨーグルト独特の強い粘りは、「クレモリスFC株」という乳酸菌が分泌する菌対外多糖(EPS)という成分によって 生み出されています。フジッコでは、これまでカスピ海ヨーグルトの粘りやEPSに着目した研究を行っていますが、 食後血糖値の上昇抑制作用についても検証しています。試験は二種類で、いずれもマウスを対象にしたもの。


試験Aでは、

①ブドウ糖
②ブドウ糖+牛乳
③ブドウ糖+FC株牛乳発酵物
を一定量経口投与して、

試験Bでは、
④ブドウ糖+FC株牛乳発酵物
⑤ブドウ糖+変異株牛乳発酵物(EPSを分泌しない)
を一定量経口投与して、それぞれの食後血糖値を継時的に測定。

試験Aの結果、ブドウ糖のみのグループに比べて、FC株牛乳発酵物を同時に与えたグループの食後血糖値の上昇が 抑制されいることが判明しました。ブドウ糖のみのグループが食後30分をピークに血糖値が急上昇し、 その後降下しているのに対し、FC株牛乳発酵物のグループは、上昇後、とても緩やかなカーブを描いて血糖値が下がっている ことがわかりました。
さらに、EPSの有無が食後血糖値に与える影響を調べる試験Bの結果は、カスピ海ヨーグルト特有の成分が食後血糖値に 関係することを示していました。試験Bでは、変異株牛乳発酵物のグループは、 EPSを分泌する牛乳発酵物のグループに比べて血糖値は急上昇しています。

フジッコは、この試験を成人男女7名にも行った結果、動物試験同様、食後血糖値の上昇が抑制されることを確認しました。 同社では、この結果について、人の消化液に対して耐性を持つEPSが、食物繊維のような働きをすることで、 糖の吸収を抑制、血糖値の上昇を抑えたのではないか、と考えています。

【関連項目】:『カスピ海ヨーグルト』


■テンペ

インドネシアの発酵食品テンペに血糖値の降下作用が判明!!
糖尿病の予防・改善に効果!

岡山大大学院医師薬学総合研究科の松浦栄次助教授ら研究グループが、大豆発酵食品テンペに、 特定の血糖の値を下げる働きがあることを、人への試験で実証しました。 テンペはインドネシア発症の食品で、ゆでた大豆にハイビスカスなどにつくテンペ菌を混ぜて発酵させたもの。 納豆と製法は似ているものの、独特の匂いや粘性はありません。豆粒は菌糸に覆われ、塊状です。

試験は、大学生や会社員らボランティア56人に、テンペを4週間連続で毎日50g、さまざまな調理方法で食べてもらい、 血液中の糖や脂質濃度を測定するというもの。 その結果、一般的に食後血糖と呼ばれている糖化アルブミン濃度が、ほぼ全員で4週間後から下がり始め、 6週間後の検査では平均約4%減少。さらに、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールも低下していたというデータが確認されました。 テンペには血管の強化作用や、老化を防ぐ抗酸化作用があることは知られていましたが、 糖尿病の予防・改善につながるデータが示されたのは初めてのこと。 松浦助教授は、テンペが糖尿病を改善するメカニズムを明らかにし、今後につなげたいと話しています。


■ナチュラルチーズ

ナチュラルチーズに含まれる生きた乳酸菌やペプチドに糖尿病を予防する可能性あり

ナチュラルチーズと糖尿病の関係を解明する研究も進められています。 群馬大学工学部の研究チームは、ナチュラルチーズに含まれている生きた乳酸菌が、 糖尿病を予防する可能性が明らかになったと発表しています。 これは乳酸菌が腸内環境を整えることで悪玉菌の発生を抑え、糖尿病になりにくい体作りをするため、という。 さらに、チーズの効果を高めるために、醤油と一緒に摂ることを推奨。 醤油の色を作るメラノイジンという物質が働くためといいます。
また、雪印乳業技術研究所の研究チームは、同社保有の乳酸菌を用いて開発したゴーダチーズのペプチド成分中に、 血糖値の上昇を抑える働きがあることを発見。ラットによる実験でも、効果が証明されました。 チーズの熟成が進むと、さらに効果が高くなることも判明しています。 < /p>