高血糖対策・糖尿病予防のための
『食事・食品』

近年、糖尿病の予防や改善に役立つ特効食が世界の研究で発見されるようになりました。 すでに糖尿病になってしまった方、糖尿病が心配な方、肥満気味の方、ダイエットしたい方に、 高血糖対策・糖尿病予防のための低カロリーかつ栄養バランスの取れた食事食品です。 ここでは、そうした特効食をご紹介します。


■「高血糖によい健康食材

●『未精製のヒエ、アワ、キビ、玄米などの雑穀』

『雑穀』には、食物繊維が豊富に含まれるので 食後の血糖値の急上昇を抑制することが期待できます。 また、白米に比べると硬く、よく噛まないと飲み込めないので、 結果としてゆっくりとよく噛むことになり、食べすぎを抑えることもでき、糖尿病患者にとってメリットが多い食材です。 白米に玄米や、アワやヒエなどの雑穀を混ぜて食べると、それだけで多種類の栄養素も摂取でき、 食感や味覚などの不都合もなく食べられます。

米国で行われた糖尿病の女性を対象にした研究では、雑穀からの食物繊維の摂取が多い人ほど、 インスリンの働きを調節する長寿ホルモンのアディポネクチンの分泌の多いことがわかりました。 しかも、雑穀を多く摂る人ほど糖尿病になる危険が低くなることも報告されています。 雑穀は精製された白米と違って食物繊維やビタミン・ミネラルがそのまま残っているため、 そうした成分が相乗的に働いて糖尿病の予防効果を発揮していると考えられます。 最近は、白米に混ぜて炊いて食べるタイプの雑穀が市販されているので、そうしたものを利用するといいでしょう。


●『発芽玄米』

『発芽玄米』は、食後の血糖値の急上昇を抑制し、インスリンの分泌量も少なくしてれる健康食材です。 また、糖尿病では血中にある解毒酵素であるホモシステインチオラクトナーゼが低下してしまうのですが、 発芽玄米は、これを活性化させる効果もあります。さらに、糖尿病の合併症である神経障害の症状も抑制します。


●『大豆食品』

厚生労働省の研究班は、『大豆食品』やイソフラボンを多くとっている女性では、 2型糖尿病の発症リスクが低減するとする研究結果を発表しました。 ただし、この傾向は肥満の女性や、閉経後女性にだけみられ、 大豆食品の摂取により肥満の女性の発症リスクは最大で38%減少したとのことです。 また、海外の研究では、大豆食品などに多く含まれるイソフラボンを摂取することで、 耐糖能が改善しインスリン抵抗性が低下したなど、2型糖尿病に対する有効性を示唆した研究が発表されています。


●『海藻類』

ノリ、ワカメ、コンブなどの『海藻類』を構成している「酸性多糖類」という水溶性食物繊維には、 食物が胃や小腸を通過する時間を長くし、炭水化物や脂肪などの吸収を遅くする作用があり、 糖尿病患者にとっては、食後高血糖の抑制や、コレステロールの低下という嬉しい作用が期待できます。


●『タマネギ』

タマネギは1/4個摂ると効果大

タマネギに高い血糖値を下げたり糖尿病の合併症を予防したりする働きのあることは、カナダや英国、インドなど、 多くの国々で行われた研究で確認されています。日本でも文京第一病院長の斉藤嘉美博士が糖尿病の患者さんに タマネギの乾燥粒(生のタマネギ40gに相当)を摂ってもらったところ、8割の人に血糖値の低下が見られ、 ヘモグロビンAlc(1~2ヶ月間の血糖値の状態を示す指標)の改善も確認されたことを報告しています。 こうしたタマネギの血糖効果作用は、主に「グルコキニン」という成分によってもたらされると考えられています。 グルコキニンには、神経の興奮を鎮めて血糖値を下げる効果が認められており、フランスでは高血糖の民間薬としても 使われているのです。 また、タマネギの辛味成分である「イオウ化合物」には、インスリンの働きを高め、糖の消費を促す作用も確認されています。 タマネギを糖尿病の撃退のために摂るなら、1日50g(中くらいのタマネギ1/4個分)を目安に食べるといいでしょう。 タマネギの血糖値を下げる効果は生の方が大きいので、サラダや酢の物として食べることをお勧めします。

【関連項目】:『玉葱(タマネギ)』


●『コンニャク』

毎日の食事に活用したい糖尿病の特効食

コンニャクの主成分である「グルコマンナン」という水溶性食物繊維には、食後の血糖値の上昇を抑える 効果のあることが実験で確認されています。これは、グルコマンナンは胃腸でゼリー状になり、 糖の吸収を緩やかにしてくれるからです。最近では、糖尿病の治療食としてグルコマンナンを取り入れる病医院が 増えており、インスリンの投与が必要なくなったケースも報告されています。 また、グルコマンナンは水を含むと大きく膨らむため、少量で満腹感をもたらしたり、腸を刺激して便秘を解消したり する効果もあるので、糖尿病の危険因子である肥満を防ぐ効果も期待できます。 糖尿病予防のためにコンニャクを利用するなら、食前に100gほど食べるといいでしょう。


●『カスピ海ヨーグルト』

『カスピ海ヨーグルト』は、 家森幸男氏がヨーロッパ東部のコーカサス地方から日本に持ち帰ったことにより 日本に広まったと言われているヨーグルトです。 カスピ海ヨーグルトは、乳酸菌のクレモリスと酢酸菌のアセトバクターの2種類でこのヨーグルトの 特性が保たれやすいことがわかっています。 クレモリス菌は、生きて人間の腸内に届き、プロバイオティクスとして働くと考えられています。 さらに、ヨーグルト特有の粘りを生み出す菌体外多糖(EPS:Exopolysaccharide)を産生することで、 腸管内の状態に良い影響を与えているのではと考えられています。 その他、整腸作用、ストレスによる肌機能の低下やアトピー性皮膚炎の抑制、免疫賦活作用、血中コレステロール値の改善、 や血糖値上昇抑制作用など、様々な健康効果が証明されています。


●『その他』

その他にも、ゴーヤー・マイタケ・ソバ・トマト・納豆など、さまざまな食品が糖尿病の予防・改善に有効であることが確認されています。 以下は、それらの特効食の一覧です。


●糖尿病の特効食一覧
食品 主な有効成分 研究報告
タマネギ
【グルコキニン】
神経の興奮を鎮め血糖値を下げる。
【イオウ化合物】
インスリンの働きを高める。
糖尿病の患者さんにタマネギの乾燥粒を摂ってもらったところ、8割の人に血糖値とヘモグロビンAlcの 低下が見られた。
コンニャク
【グルコマンナン】
水溶性の食物繊維で糖の吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を防ぐ。
健康な被験者にグルコマンナンを加えた糖の溶液を摂ってもらった結果、 糖だけの溶液を摂ったときと比べ血糖値の上昇が抑えられた。
雑穀
【食物繊維やビタミン・ミネラル】
各成分が相乗的に働く。
糖尿病の女性を対象にした研究で、雑穀食からの食物繊維の摂取が多い人ほど、 インスリンの働きを調節するアディポネクチンという長寿ホルモンの分泌が多かった。
ゴーヤー
【チャランチン】
インスリンの分泌を促す
【植物インスリン】
インスリンと同様に働く。
生まれつき高血糖のネズミにゴーヤーの抽出エキスを与えた結果、1週間で血糖値が低下し、 低く安定した。
トマト
【リコピン】
インスリン抵抗性を改善する。
【クエン酸】
糖の吸収を抑える。
白米をトマトの抽出液と一緒に摂ると、白米のみを摂ったときより血糖値の上昇率が20%低かった。
オクラ
【ムチン】
糖を包み込んで吸収を遅らせて血糖値の急上昇を防ぐ。
インスリンの働きをよくするマグネシウムや、インスリンの合成を促進する亜鉛、 神経を穏やかに保つカルシウムなどのミネラルも豊富。
納豆
大豆たんぱく
インスリンの働きを調節するアディポネクチンを増やす。
肥満のネズミに大豆たんぱく質とカゼイン(乳たんぱくの一種)食を与えて比較したところ、 大豆たんぱくを与えた群はアディポネクチンの血中濃度が有意に上昇した。
海藻
フコイダン
糖の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を防ぐ。
糖を与えたネズミにコンブの熱水抽出物を与えたところ、糖のみを与えたときに比べて、 血糖値の上昇が大幅に抑えられた。「
寒天
食物繊維
糖の吸収を抑えて血糖値の急上昇を防ぐ。
糖尿病の患者を対象に、寒天を使った食事療法を行った組と寒天を食べない食事療法を行った組を比較した結果、 3ヵ月後に血糖値や内臓脂肪などが前者の方が顕著に改善していた。
【酢酸】
糖の吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を防ぐ。
白米を食べたときに、食酢15ミリリットル入りのドリンクを同時に摂取したところ、食後30分の血糖値の上昇が、 酢を摂らない場合に比べて13.7ミリグラムも抑えられた。
マイタケ
グリスリン
インスリン抵抗性を改善する。
糖尿病の患者に2ヶ月間にわたってグリスリンのサプリメントを摂ってもらったところ、 空腹時血糖値もヘモグロビンAlcも明らかに低下した。
ソバ
【カイロイノシトール】
インスリンの働きを高めて血糖値の上昇を抑える。
生まれつき高血糖のネズミに、食前にソバから抽出した成分を与えたところ、偽薬を与えたネズミよりも 食後の血糖値が12~19%も低かった。


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