玉葱(タマネギ)

タマネギには、多種多様なイオウ化合物が含まれていて、 その成分である、サイクロアイリンやイソアイリン、グルコキニンには血糖降下作用があるといわれています。 また、タマネギは、血糖降下剤など医薬品とは異なり、正常な血糖値を無理やり下げたり、 急激に下げて、低血糖状態にする心配はありません。 また、最近では、タマネギに含まれるポリフェノールの一種 「ケルセチン」の血糖降下作用が注目を浴びています。


■玉葱(タマネギ)

タマネギで血液サラサラ!!

「玉葱(タマネギ)」には、 ビタミンBビタミンCカルシウム鉄分カリウムマンガン亜鉛、 リンなどミネラルが豊富に含まれており、生活習慣病の改善に効果が期待されます。 タマネギの食効で最も有名なのは、血液がサラサラになり 動脈硬化を予防する効果があるというものですが、 これはタマネギを切った時の刺激成分である「硫化アリル」に血栓ができるのを防ぐ働きがあるためです。

タマネギには、硫化アリルのほかに「ケルセチン」という成分が他の野菜よりも多く含まれています。 ケルセチンは、主に柑橘類から採れるフラボノイドで、脂肪吸収抑制効果が強く、体内の脂肪を排出するサポーター的働きをする色素成分です。 またケルセチンは、肝臓での脂肪代謝を高め、脂肪燃焼をアップすることからダイエットにもその効果が期待されています。

▼タマネギの健康効果
・血液をサラサラにし、高血圧や動脈硬化を予防する
・血糖値、中性脂肪値、コレステロール値を下げる
・脂肪の吸収を抑制し、脂肪燃焼を促進する
・解毒・殺菌効果で悪玉菌の活動を弱める
・肝臓機能を高める

■タマネギの血糖降下作用

糖尿病患者には、ミネラルが不足している人が多いといわれています。 ミネラルのなかには、インスリンが作用する際にその補助をするように働き、糖代謝の重要な物質になるものがあります。 そのためミネラルの多い植物を食せば、血糖をコントロールすることが期待できます。 なかでも、イオウを中心としたミネラルを豊富に含む「タマネギ」は、多くの研究者から血糖降下作用がある野菜であることが指摘されています。

タマネギを切ると鼻がツーンとして涙が出るのは、タマネギにアリルプロピオン(アリル化合物)が含まれているからです。 タマネギを切った時にアリルプロピオン(アリル化合物・イオウ化合物)が気化し、目・鼻の粘膜を刺激し涙が出るのです。 この成分が「イソアリイン」というアリル化合物で、タマネギの辛味の正体です。 イソアリインには多くの効能があり、生のまま食べると、血液中の糖代謝を活発にして血糖値を下げ、加熱して食べると、 中性脂肪やコレステロール値を下げるなどの効果があります。 インスリンの量が絶対的に不足している場合 (1型糖尿病)は、外から補ってやらなくてはなりませんが、 日本人の場合、糖尿病の約95%はインスリンの分泌不足か、インスリンの効きが悪くなることで起きる「2型糖尿病」で、 タマネギはこうした日本人に多いタイプの2型糖尿病に有効に働くことがわかっています。 タマネギの血糖降下作用で注目されるのは、インスリン値の変動がほとんどなく、血糖値だけが下がるという点です。 これは、タマネギがインスリンの分泌量を促進するのではなくインスリンの効きをよくするように作用しているからです。 インスリンは血糖値を下げるのに不可欠ですが、逆に分泌量が多すぎると 低血糖などの症状を引き起こしてしまいます。 タマネギには、そうした危険性がなく、たいへん安全ですぐれた抗高血糖食品といえるでしょう。 さらに、タマネギには、ポリフェノールの一種である「ケルセチン」という成分が含まれています。 ケルセチンには、油と結合する働きがあり、腸内の脂肪と結合して便といっしょに体外へ排出します。 油っこい料理を食べるときに、タマネギをいっしょに摂れば、腸内の余分な脂肪を排出することができます。 また、抗酸化作用も強いので、血液をサラサラにして動脈硬化を防ぐ効果もあります。


■ケルセチン

前述したように、糖尿病を快方へと導く特効食品の代表格、それが皆さんのごく身近にある「タマネギ」です。 特に最近、タマネギのポリフェノール(植物に含まれる色素などの成分)の一種である、 「ケルセチン」の血糖改善作用が脚光を集めているのです。 もともとケルセチンが毛細血管の損傷を防いで、血液の流れをサラサラに保つことは、以前からよく知られていました。 高血糖で血液がドロドロになり、血流が停滞すると、体の中で毛細血管が集まっているところにまず異変が現れます。 手足が痺れたり、目の網膜や腎臓の働きが低下するなど、これらがすなわち 糖尿病の合併症です。 だからこそ、毛細血管の血流を活性化させるケルセチンは、合併症予防に大いに有望と考えられているわけです。

さらにお知らせしたいのは、アメリカの国立衛生研究所(日本の厚生労働省にあたります)が発表した、糖尿病の改善に関わるケルセチンの新報告です。 1日2000mgのケルセチンを3ヶ月間、 糖尿病予備軍の男女(19~65歳の32人)に与えたところ、 血糖値の明らかな低下が判明したのです。 同じく3ヶ月、ケルセチンを与えなかった期間の血糖値と比較すると、その違いは歴然としていたとのこと。 その理由として考えられるのがケルセチンがインスリンの効き目を向上させて、高血糖を直接的に解消する作用です。 合併症を防ぐ血液サラサラ効果に加えて、このアメリカから届いた新報告によって、糖尿病を予防するケルセチンの評価はますます上昇しました。

インスリンの効き目を高めて、糖尿病を封じ込めるケルセチンですが、特に多く含まれているのはタマネギの実ではなく、外側の茶色い皮であることがわかっています。 タマネギの皮は料理のダシを取るのに利用したり、煎じてお茶のように飲むこともできます。 さらに手軽に摂取するには、タマネギの実だけでなく、皮も含めて素材まるごとを原料にした健康食品を活用することが勧められます。