ビタミンC

ビタミンC』はしわやしみをできにくくしたり、皮膚の老化を防いだり、 強い抗酸化作用で活性酸素を除去し、かぜや老化を防ぐ効果も期待できます。 また、血管を丈夫にして動脈硬化を予防する働きがあります。 ビタミンCは極度に不足すると、老化の速度が4倍速まることがわかり、医師も抗老化治療に活用しています。 ビタミンCは実にさまざまな面で健康に貢献するのですが、水に溶けやすく熱に弱い性質をもちます。 積極的に補給しなければ、すぐに体外へと排出されてしまうビタミンでもあるのです。 とくにストレスの多い方、タバコを吸う方、お酒をたくさん飲む方などはビタミンCが不足しがちです。


■「ビタミンC」とは?

ビタミンCは体内で作れない

『ビタミンC』とは、水溶性ビタミンの一種で、私たちに欠かすことのできない栄養素です。 その必要量は多くはありませんが、私たち人間は体内でこれを作ることができません。 そのため、食品から摂取しなければ、ビタミンC不足となって体にさまざまな異常が起こるのです。 ビタミンC摂取の必要性がいわれはじめたのは、1747年にスコットランドの医師ジェームズ・リンド氏が 「壊血病の原因はビタミンC欠乏による」という発見をしたことがきっかけでした。 その後、1970年代の初め、米国のノーベル化学賞受賞者であるライナス・ポーリング博士が、 「ビタミンCを大量に摂ると(1日摂取量2〜3g)、風邪を予防できる」と発表。 さらに、1976年、同じボーリング博士とスコットランドの外科医、E・キャメロン博士が、 「スコットランドの末期癌患者に対してビタミンCを大量投与(1日10g)したところ、4倍もの延命効果を発揮した」 という試験結果が報告されたのです。こうした一連のデータが、現代のビタミンCブームの火付け役となりました。


●ビタミンCの働き

骨を強くし免疫力を高める

ビタミンCに備わる多彩な働きのうち、代表的なものは次のようなものです。

▼コラーゲンの合成促進作用
これは、ビタミンCの働きの中で最も重要な作用といえます。体を作るたんぱく質の約30%を占めるコラーゲンは、 細胞と細胞を結びつける接着剤の役割を果たしていて、丈夫な皮膚や粘膜、血管や筋肉、骨などを作るのに 欠かせない成分です。ビタミンCはこのコラーゲンの合成を促す働きをしているため、ビタミンCが不足すると、 コラーゲンも不足し、出血や骨折、肌荒れなどさまざまなトラブルを引き起こします。

▼抗酸化作用
体内で発生する「活性酸素」は、細胞の老化を促進し、やがては心臓病や脳卒中、癌などの生活習慣病を 誘発することになります。ビタミンCにはこの有害な活性酸素を無害化する働きがあります。 ビタミンCは単体でも、ニトロソアミン等の発癌物質の働きを抑えるなどの優れた 抗酸化作用がありますが、ビタミンEと連携するとさらに抗酸化作用を活発にします。 ビタミンEは、不安定な酸素である活性酸素から余分な電子を奪い酸素を安定させて 酸化を防ぐ働きをしていますが、その結果、ビタミンE自体が酸化されてしまいます。 この酸化されたビタミンEは、「ビタミンEラジカル」と呼ばれる自らが細胞を攻撃する側に 転じてしまいます。ビタミンCは、こうした「ビタミンEラジカル」に酸素を渡して安定させ、 もう一度抗酸化作用を発揮できる状態に戻す働きを持っています。 ビタミンEに電子を与えてしまったビタミンCには、グルチオンが電子を与えて安定させています。

▼ストレスの撃退作用
私たちは体にストレスを感じると、副腎から抗ストレスホルモンである「アドレナリン」を分泌して ストレスに対抗します。この抗ストレスホルモンの生成にビタミンCが利用されているのです。 つまりストレスが強ければ強いほどビタミンCは大量に消費されます。 ストレスに強くなるためにはビタミンCを多めに補給しておくことが大切なのです。

▼風邪・インフルエンザの撃退作用
ビタミンCがコラーゲンの合成を促すことは前述しましたが、そのコラーゲンが豊富にあれば のどや鼻の粘膜が強まり、風邪のウィルスの侵入を防ぐことができると考えられています。 また、ビタミンCはウィルスを撃退する白血球の働きを助けつつ、それ自体も白血球と同じような働きをして ウィルスを撃退するなど、体の免疫機能を強化するといわれています。

▼骨を強くする作用
骨を強くするにはカルシウムが欠かせません。しかし、カルシウムを摂っただけでは、骨は丈夫にならないのです。 そこで注目されるのが、ビタミンCによって作られるコラーゲンです。コラーゲンは骨の成分ですが、 同時に骨へのカルシウムの沈着を促して骨を強くします。つまり骨の強化にはビタミンCが不可欠で、 たくさん補えば、骨粗鬆症の予防にもつながります。

▼癌の抑制作用
ビタミンCには、胃癌や肝癌の原因となる「ニトロソアミン」という発癌物質が体内で生成されるのを 抑制するとともに、発生したニトロソアミンに働きかけ、それを無害化する作用があります。 さらに、抗癌活性を持つ免疫物質の「インターフェロン」の生成も促進するので、 癌になりにくい体質作りを促すことができるのです。 それらに加え、これまでに述べたコラーゲンの合成促進作用、抗酸化作用、および免疫力強化作用といった、 ビタミンCのさまざまな作用が相乗的に働くことで正常細胞を守り癌化を抑制します。

このほか、利尿作用を発揮したり、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪を減らして善玉コレステロールを増やしたり、 メラニンの生成を抑えてシミを予防したり、抗ヒスタミン作用でアレルギー病を緩和したりするなど、 ビタミンCには実に多くの作用が備わっています。


●ビタミンCのアンチエイジング効果の実験

ビタミンC不足は老化を早める

近年、医学の一分野として、老化の進行を遅らせる「アンチエイジング」(抗老齢医学)の分野が 注目を浴びています。健やかに美しく老いることは誰もが望む理想です。そして、その手助けをしてくれる心強い味方が ビタミンCなのです。実は最近、ビタミンCと老化のかかわりを示す大変興味深い研究結果が報告されました。 これは、東京都老人総合研究所の石神昭人研究員と東京医科歯科大大学院の下門顕太郎教授らのグループが行った、 マウスの実験です。

マウスは人間と違い体内でビタミンCを合成することができます。そこで、研究チームは 遺伝子操作によってビタミンCを合成できないマウスを作り、通常のマウスと共にビタミンCの少ないエサで飼育しました。 そして、寿命がきて死んだマウスの数が半数になるまでの期間を比べたところ、通常のマウスが24ヶ月だったのに対して、 遺伝子操作をしたマウスはたった6ヶ月で半数となってしまったのです。その死因はいずれも老衰。 つまり、4倍の速さで老化が進んだことがわかりました。 また、ビタミンCを全く含まないエサで遺伝子操作したマウスを飼育したところ、人間がビタミンC欠乏で起こる 壊血病(皮下出血や歯肉からの出血が起こり感染症にかかりやすくなる病気)の症状が現れ、 半年後には全てが死んでしまったのです。

この実験データは必ずしも人間に当てはまるとはいえません。しかし、ビタミンC不足が老化を早めるとする 従来からの説を裏付けるのは間違いないでしょう。


●ビタミンC不足に陥りやすいタイプの人

ストレスで大量に消費される

ビタミンCは私たちの体内で毎日大量に消費される栄養です。とはいえ、野菜や果物を多く摂る食生活をしていれば、 それが極端に不足してしまう恐れはあまりないとされています。 毎年行われる国民栄養調査の結果では、国民1人あたりのビタミンCの摂取量は1日113mg(摂取所要量は1日100mg) となっています。しかし、血液中のビタミンC濃度が低めの潜在性ビタミンC欠乏症の人が年々増加しているという 報告もあります。現実には、ビタミンC不足寸前の状態にある人が意外に多いのではないかと思われます。 というのも、私たち現代人の身の回りには、ビタミンCの消費を助長するものがたくさんあるからです。 そのため、知らぬ間にビタミンCが慢性的に不足してしまうわけです。 そこで、ビタミンC不足に陥りやすいタイプの人を紹介しておきましょう。 一つでも当てはまる項目のある人は要注意です。今よりも積極的なビタミンCの摂取を心がけてください。

▼強いストレスを感じている人
ストレスを感じると、それに対抗しようとビタミンCが大量に利用されます。 ストレスがたまっているなと感じたら、積極的にビタミンCの摂取を心がけましょう。

▼喫煙する人
タバコを吸う人はビタミンCの必要量が増加します。例えば、1日40本のタバコを吸う人と非喫煙者とで ビタミンCの血中濃度を比べると、タバコを吸う人は吸わない人の2分の1ほどしかないといいます。 タバコがビタミンCを減らす要因は必ずしも明らかではありませんが、タバコをたくさん吸う人ほど ビタミンCが不足しやすい傾向があるので、サプリメントなどでたっぷり摂取する必要があります。

▼薬を飲んでいる人
薬の乱用は体内のビタミンCを大量に消費します。特にアスピリン、睡眠薬、副腎皮質ホルモン、 抗痙攣剤、テトラサイクリンなどを服用している人は要注意です。

▼激しい運動をする人
汗を流すほどの激しい運動や労働は、大量のビタミンCを消費するといわれています。

●ビタミンCを摂ると

風邪や冷え知らずになる人が多い

老化が原因で起こるシワやシミといった肌の悩み、または疲労感や倦怠感などを感じる人にはビタミンCの摂取が お勧めです。ビタミンCを摂取すると肌がきれいになったり、疲労感・倦怠感のが緩和したり、 冷え・むくみが解消したりといった効果が期待できます。 また、ビタミンCをたくさん摂るようにすると、仕事で忙しい毎日が続いても疲れにくくなり、 風邪も引きにくくなります。ビタミンC摂取には、サプリメントが手軽ですが、ビタミンCの薬や注射、 点滴などもあります。


●ビタミンCを多く含む食品

【野菜類】
パセリ、ブロッコリー、芽キャベツ、ニガウリ、菜の花、唐辛子、ピーマン、高菜漬け、 カブの葉、小松菜、大根の葉、ほうれん草、カリフラワー、野沢菜、さやえんどう、 あさつき、キャベツ(生)、広島菜

【果物類】
柚子の果皮、スダチの果皮、レモン果汁、イチゴ、甘柿、ネーブルオレンジ、 カボス(生果汁)、グレープフルーツ

【根菜類】
レンコン、サツマイモ

【その他】
干し海苔

ビタミンCは水に溶けやすく、加熱すると壊れやすい性質があります。
ビタミンEといっしょに摂ると、抗酸化力アップに効果的です。


■ビタミンC関連項目

動脈硬化予防に「ビタミンC」
「ビタミンC」は、動脈硬化進行の最大の原因である、 体内で大量に発生する「活性酸素」の害を防いだり、 全身のあらゆる部位に含まれ、強い血管、骨や筋肉などの各器官を作る役割も担っている 「コラーゲン」の生成を促し血管を強める作用があります。 実際、ビタミンCを補うと血管が若返り、動脈硬化によって引き起こされる病気である、 「脳梗塞・脳出血・狭心症・心筋梗塞」なら4割、「アルツハイマー病」なら8割も 発症率が低下することがわかっています。

アルツハイマー病予防に「ビタミンC」
近年「ビタミンC」の摂取が「アルツハイマー病」 の予防に効果的であることがわかってきました。 ビタミンCを摂取すると、その強い抗酸化力によって活性酸素の害を抑制されて脳に不要な物質がたまりにくくなり、 それがアルツハイマー病の予防に役立つのではないかと考えられているのです。 ある研究グループが、サプリメントでビタミンC・Eを摂取したグループと、摂取しなかったグループで アルツハイマー病の発症率を比較したところ、摂取グループの発症率は非摂取グループの発症率に比べて アルツハイマー病の発症率が78%も低かった、という結果が出ました。

白内障予防に「ビタミンC」
「ビタミンC」には強い抗酸化力があるので、ビタミンCを積極的に摂取すれば、 体内に発生した活性酸素を退け、「白内障」の原因である水晶体の酸化を抑えることができます。 実際、白内障の発病率はビタミンCの摂取量に大きく左右されることが、国内外の研究で明らかになっており、 ビタミンCは、目を若返らせ、白内障も大幅に減ることが、日米の調査で確認されています。

歯周病予防に「ビタミンC」
「ビタミンC」は、歯を若返らせ、 歯周病も大幅に減ると、日米の調査で確認されました。

癌治療に「高濃度ビタミンC点滴療法」
大量の「ビタミンC」を点滴することによって、 癌細胞を副作用なく殺す画期的な新療法が登場し、米国で注目されています。 ビタミンC点滴療法はほぼ全部位の癌に有効で、痛みが和らぎ、進行癌でも改善例が多いようです。

抗酸化サプリメント
「ビタミンC」は、抗酸化成分の一つです。

▼磨り減った関節を若返らせる
「ビタミンC」とコエンザイムQ10には、軟骨のコラーゲンを大幅に増やす働きがあります。