葉酸
『葉酸』はビタミンB群の仲間です。 葉酸はビタミンB6やB12と一緒に働いて、私たちの健康維持に役立ちます。 ホモシステインをメチオニンやシステインといった他のアミノ酸に転換するのに欠かせません。 肉中心の食事が多い方、また、赤ちゃんのすこやかな成長にも欠かせない成分で、妊娠・授乳中の方は積極的に補給することが大切になります。 葉酸が不足すると、悪性の貧血(巨赤芽球性貧血=DNAの合成障害が原因で起こる貧血)、 口内炎、食欲不振、舌炎、下痢、顔色が悪い、などの症状が現れます。 さらに、重要視されているのが妊婦の葉酸不足。 とくに、妊娠初期(4週~12週)は胎児の細胞分裂が盛んな時期であり、 この時期に葉酸不足を起こすと胎児に神経障害が起こりやすくなるといわれています。
■葉酸の不足は・・・
- ①動脈硬化・脳卒中・心筋梗塞・高血圧症などの循環器疾患の発症の危険性リスクが高まると報告されています。
- ②認知症や骨折の発症の危険性リスクが高まると報告されています。
※上記の疾病に関連性があることが報告されています。(ホモシステイン)というアミノ酸が血液中に増加するためです。 - ③また、妊娠を計画される方は大切な栄養素「葉酸」が必要となります。
※神経管閉鎖障害リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸摂取に係る適切な情報提供の推進について、 (平成12年12月28日)より
●ホモシステイン(アミノ酸)とは・・・?
血中ホモシステイン濃度が増加すると、酸化ストレスによって血管内皮細胞に障害を与え、血栓形成の要因になるといわれています。
また脳の血管や神経細胞にも影響されるといわれています。
ホモシステイン濃度の増加の原因には・・・?
①加齢
②喫煙
③葉酸およびビタミンB6・ビタミンB12の不足
④遺伝的にホモシステインの血中濃度が上昇しやすい体質
などが挙げられます。
◆ホモシステインが高い状態が続くと・・・・・
ホモシステインは、血液凝固因子や血管内皮細胞に影響を与えるといわれています。 血漿中のホモシステインの血中濃度が高い状態が続くと健康リスクが高まるとことが報告されています。
- ▼活性酸素が発生
- 血中濃度が上昇したホモシステインは、酸素や水に反応し 活性酸素が発生しやすくなります。
- ▼血管が硬くなる
- 発生した活性酸素による作用に加え、血管拡張物質の働きを抑えることから、血管の柔軟性を奪い血管が硬くなり、 つまり動脈硬化や 高血圧を招いてしまうことになります。
- ▼血小板の凝集機能異常
- 血管は絶えず高速な血液の流れにさらされているため、削られ破れて出血する場合もあります。 さらにLDLなどでアテロームが出来やすくなり破れやすくなります。 そのとき血小板が働いて修復しますがホモシステイン濃度が高いと過剰に血小板が凝集し血管内壁を埋めてしまう危険性があり、 硬くなった血管は詰まれば、 心筋梗塞や 脳梗塞という危険な状態になるといわれています。
ホモシステインは、「必須アミノ酸」の1つであるメチオニンの代謝過程で生成されるアミノ酸です。 メチオニンの正常な代謝リサイクル過程は「メチオニン⇒ホモシステイン⇒メチオニン」です。 リサイクルの条件として葉酸群が十分量あることが必要です。 MTHFRの活性が低かったり、葉酸が不足したりすると、ホモシステインの代謝が進まず血液中にホモシステインが溜まっていき、 ホモシステイン高値の状態になります。
葉酸をしっかり摂ることで、血漿ホモシステイン濃度が低下します。 その他、ホモシステインの代謝を促すビタミンB6・ビタミンB12もしっかりと摂取することでホモシステインの低減効果はよりいっそう高まります。 1日に葉酸400μgを摂取するのがよいとされていますが、野菜だけで摂取するには1日約350g程度摂取する必要があります。 しかし、生体内の吸収率は、一般食品中の50%と見積もられています。 現実的に、十分量の葉酸を摂取することが難しい場合、栄養補助食品として摂取することで毎日十分量を摂取することができます。
●葉酸を多く含む食品
葉酸は、植物の緑の葉の部分に多く含まれています。 ほうれん草、高菜、ブロッコリー、アスパラガス、春菊、カリフラワー、からし菜、レタス、白菜、ぜんまい、 さつまいも、大豆、そら豆、納豆、かぼちゃなどに多く含まれ、果物ではイチゴや夏みかんなどにも含まれています。
●妊娠を計画される場合には・・・
妊娠するとほとんどのビタミンが多く必要になり、特にビタミンB群のひとつである葉酸が必要です。
厚生労働省では、神経管閉鎖障害のリスクを低減のために、妊娠を計画している女性は食品に加えて、
栄養補助食品から1日400μg(0.4mg)の葉酸を摂取するよう呼びかけています。
妊娠を計画している女性に対しては、日頃から栄養バランスなどに気を付けるとともに、
葉酸を含有している栄養補助食品の摂取をおすすめします。
(※児母第72号、健医地生発第78号、神経管閉鎖障害リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する
葉酸摂取に係る適切な情報提供の推進について、平成12年12月28日)より