HMB筋トレサプリメント
『HMB』という言葉を最近よく目にしませんか?
HMBは筋肉作りをサポートする栄養素として、かつてはボディビルダーやトップアスリートなどのごく限られた人たちに愛用されていました。
しかし近頃では、筋肉をつけて健やかな体になりたい、理想のボディラインを手に入れたい、若々しい体をキープしたいという人たちからも支持され、
人気の層が広がっています。
■HMBとはいったい何?
HMBとは必須アミノ酸の一種であるロイシンから体内で合成される物質で、筋肉の合成促進と分解抑制の効果があるとされています。 人間の体内における1日当たりの生成量はごくわずか。 ナマズ、グレープフルーツなどの食べ物にも含まれていますが、理想量を補うためには、サプリメントで摂取するのが賢明です。 筋肉を作るという広い意味において、プロテインと混同されることも多いHMBですが、実は別物です。 HMBは正式名を、「β-Hydroxy-β-MethylButyrate(ベータ・ヒドロキシ・ベータ・メチル酪酸)」と言います。 また、 日本名で「3-ヒドロキシイソ吉草酸」と呼ばれることもあります。 正式名から頭文字だけをとった、HMBの通称が親しまれています。
■HMBとはどんな成分?
HMBはロイシンの体内における代謝産物。つまりHMBは、必須アミノ酸のロイシンが筋肉や肝臓で代謝されることによって生み出される成分なのです。
◆ロイシンとはいったい何?
ロイシンは、タンパク質を形成する20種類の アミノ酸のうちの一つです。 20種類のうち、11種類は人間の体内で生成することができ、残りの9種類は生成することができません。 体内で生成不可能な9種類を必須アミノ酸と呼びますが、ロイシンもそのうちの一つ。 ちなみにロイシン自体も、 分岐鎖アミノ酸BCAAのひとつとして、 筋肉を作る筋タンパク質の合成を促進させたり、 中枢性疲労を軽減させたりといった重要な役割を担っています。
◆ロイシンとHMBの関係とは?
体内で合成ができない必須アミノ酸は食事などから摂取するしかありませんが、ロイシンは乳製品、豆類、魚介類などの食べ物によって得ることができます。 こうして体内に摂り入れたロイシンが筋肉や肝臓で代謝され、HMBは作られます。 その割合は5%。つまり例えば20gのロイシンから、1gのHMBが作られるというわけです。
■HMBの成分の働きとは?
HMBには、筋肉に関連する、2つの主な役割があります。
◆筋タンパク質合成のコントロール
筋肉は、mTORと呼ばれるシグナル伝達経路に働きかけることによって合成されます。 筋肉には、有酸素運動に使われる「遅筋」と、無酸素運動に使われる「速筋」とがありますが、 筋肉量を増やすのには、瞬発的な負荷をかけるトレーニングの時に使われる「速筋」が重要だとされています。 筋トレをすると、速筋はグリコーゲンという貯蓄型の糖を燃焼させてエネルギー源とします。 その時に発生する乳酸が蓄積すると、筋肉を傷つけ疲労を感じるようになります。 すると、mTORが破損した筋肉を修復しようとして反応し、筋タンパク質の合成が促進されます。 こうして新たな筋肉が作られるのです。 mTORは、筋肉合成のスイッチと考えるとわかりやすいかもしれません。 そしてHMBには、そのスイッチを刺激し、活性化させる作用があります。
◆筋タンパク質分解の抑制
哺乳類の身体には、「ユビキチン・プロテアソームシステム」と呼ばれる、古く不要なタンパク質を分解・排出させる回路が存在します。 このシステムによって、トレーニングによって発達した筋肉は必要性が低いと判断され、分解されて筋肉量が減ってしまいます。 骨や臓器のように、生命維持に不可欠というわけではないからです。 HMBには、このユビキチン・プロテアソームシステムをブロックして、筋肉が失われるのを防ぐ作用があります。
■国際スポーツ栄養学会や厚生労働省がHMBを推奨する理由は?
HMBに関する臨床実験が世界・日本で行われ、筋肉量や筋力に有意な改善が見られたとの結果が出ており、その可能性が認められています。 2013年に発表された国際スポーツ栄養学会のガイドラインでは、トレーニングに対するHMBの4つの効果が示されています。
- 筋肥大
- 筋損傷の回復
- 加齢による筋肉減少の予防
- 脂肪量の減少
また、厚生労働省が発表している『日本人の食事摂取基準』(2015年版)では、 HMBを作り出すロイシンのサプリメント摂取とレジスタンス運動(繰り返し筋肉に負荷をかける運動)を組み合わせたプログラムによって、 75歳以上の日本人女性の筋量、歩行速度、筋力が改善したと報告されています。 科学的根拠に基づく効果が発表されていることから、HMBには信頼が寄せられているのです。
■HMBを摂取することによって期待できる効果
- 筋肉量の増加
- 筋肥大
- トレーニング後に損傷した筋肉の早期回復
- 加齢による筋肉量減少の抑制
- 高齢者における筋力の回復
- 脂肪量の減少
HMBを毎日3g補給することによって、筋肉量の増加が期待できるとされていますが、効果を得るためには条件があります。
それは、運動をすること。
HMBさえ飲んでいれば理想的な体作りができるというわけではありません。
HMBはあくまでも、トレーニングの成果を得やすくするためのサポート役であるということを忘れてはいけません。
■HMB摂取後の副作用は?
現時点では、HMBの摂取後に何らかの健康被害などの副作用が見られたという報告はありません。 HMBは必須アミノ酸ロイシンから生み出され、もともと体内に存在する成分です。 ケミカルな成分ではないので安全度は高いと言えるでしょう。 ただし、たとえ危険性が疑われていないとはいえ、摂取時は使用上の注意を守る必要があります。 多量に飲めば多くの効果が得られるというわけではないので、必ず推奨摂取量を守りましょう。