■大豆に含まれている成分
- ▼大豆レシチン
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リン脂質(リンを含んだ脂肪成分)の一種で、細胞膜の主成分。
乳化作用で体脂肪のもとになる中性脂肪やコレステロールを減らす働きに優れています。
また、血管内でコレステロールが固まるのを防ぎ、動脈硬化を防ぎます。
(下項を参照) - ▼大豆イソフラボン
- イソフラボンはポリフェノールの一種です。女性ホルモンのエストロゲンに似た成分で、 ホルモンのバランス整える働きがあります。 強力な抗酸化作用があるため、LDLが酸化するのを阻止して、動脈硬化を予防します。 また、アディポネクチンの分泌を増やし、善玉のHDLコレステロールを増やして、 悪玉のLDLコレステロールを減らします。
- ▼大豆サポニン
- コレステロールの代謝を促進しコレステロール値を下げる効果があります。 また、中性脂肪値を減らす働きや肝臓の機能を保護する働きがあります。
- ▼大豆オリゴ糖
- 糖類の一種で、腸内の善玉菌を増やして腸の働きを活発にします。 腸内の余分なコレステロールや胆汁酸を吸収して排泄する作用があるので、血中のコレステロールを減少させ、 動脈硬化を予防する働きがあります。
- ▼不飽和脂肪酸
- LDLコレステロールを減らして、動脈硬化を防ぐ働きをします。 不飽和脂肪酸は肝臓でのコレステロール分解促進に関連が深い成分であり、コレステロール値を減少させるのに 重要な働きを持っています。大豆にはこの不飽和脂肪酸がとても豊富です
- ▼リノール酸、α-リノレン酸
- どちらも必須脂肪酸です。青魚に多く含まれるEPAやDHAと同じように、LDL(悪玉)コレステロールを減らして、 肥満を防ぐ働きをします。
- ▼食物繊維
- 余分な中性脂肪やコレステロール、それに過酸化脂質(脂肪が酸化してできる有害物質)を吸着して、 体内から洗い流す働きがあります。
- ▼ビタミン、ミネラル
- ビタミンB1・B2、ナイアシン(ビタミンB群の一種)、ビタミンEや、 ミネラルのリン、鉄、カルシウム、マグネシウムなどが含まれます。 ビタミンとミネラルには、体脂肪を分解して燃焼させる酵素の作用を盛んにする働きがあり、補酵素とも呼ばれています。
このほかにも、大豆には、筋肉の材料になるたんぱく質やフィチン酸(食欲を抑える成分)、 植物ステロール(コレステロールの吸収を抑える成分)などが含まれています。
●レシチン
レシチンは動脈硬化を防ぎ、ボケ予防効果も
「レシチン」はリン脂質の一つで、乳化作用を発揮する点が大きな特徴です。
乳化作用とというのは、油の分子を細かくして水と混ざりやすくする働きのことです。
わかりやすい例でいうと、マヨネーズが酢と油に分離しないのは卵黄に含まれるレシチンの乳化作用によるものです。
ちなみにレシチンを多く含む食品の代表が、大豆と卵黄です。
私たちの体内において、このレシチンは乳化作用を発揮することで、血管壁に付着した悪玉コレステロールを溶かす働きがあります。
これにより悪玉コレステロールが排出されやすくなり、その一方で善玉コレステロールを増やして、
血中コレステロール値を正常に導くと考えられます。
さらに、レシチンには脳細胞を活性化する働きがあることも見逃せない点です。
レシチンを構成する「コリン」という物質は、脳の情報伝達物質の一つである「アセチルコリン」の材料になります。
そこで、記憶力や集中力を高めるのによいと考えられるのです。
このため、現在では高齢者のボケ予防にもレシチンが役立つと大いに期待されています。
●β-コングリシニン
生活習慣病の予防と改善に
『大豆』に含まれている成分は、いずれも健康成分として注目されているものばかりですが、 最近特に注目されているのは「β-コングリシニン」という成分です。 この成分には、「アディポネクチン」 を活性化させ、その分泌を増やす働きのあることが、最近の研究でわかってきたのです。 アディポネクチンとは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質の一つで、 動脈硬化・糖尿病・高血圧・高脂血症・癌などの生活習慣病を予防・改善する働きがある善玉物質です。 アディポネクチンは「長寿ホルモン」とも呼ばれ、100歳以上の人の血液にはアディポネクチンというホルモンが 普通の人の2倍以上含まれているという検査結果が出ています。
アディポネクチンを増やし健康でいるためには、大豆食品を豆腐で1日1丁、納豆で1日1パック食べるのが目安です。 私たち日本人になじみの深い大豆食品を毎日積極的に摂ることが、健康を維持するためには重要です。
【関連項目】:『大豆たんぱく質とβ-コングリシニン』 / 『アディポネクチンを増やす「β-コングリシニン」』