夜泣き・癇の虫を退治する食品
『ミツバ』

ミツバには、香味成分の「モノテルペン酸」、 整腸作用・強壮作用・消化促進作用・鎮静作用のある「セスキテルペン酸」が含まれています。


■根ミツバは切りミツバの約2倍の薬効成分を含む

三つ葉 ミツバは3つの小葉があることから名付けられました。別名ミツバパセリともいい、セリ科の多年草に属します。 もともと山地や原野に自生していたもので、セリに似た香りがあります。 栽培と出荷方法で、切りミツバ(葉茎を軟白)したものと、根ミツバ(青ミツバともいい、太陽のもとで栽培したもの。糸ミツバを含む)の2つに分けられます。 ミツバは ビタミンA(β-カロテン)ビタミンCカルシウムなどが豊富で、 栄養的には切りミツバよりも根ミツバのほうが優れており、約2倍の有効成分を含んでいます。 独特な香り成分と、モノテルペン類の精油成分も存在しています。


■イライラを鎮め、精神をリラックスさせる

一般に子供は精神の起伏が激しいため、癇の虫が起きやすくなっています。 夜泣きも精神的に不安定な状態のときに発生しがちです。ミツバはこのような夜泣き、癇の虫に効果があります。 ミツバの香り成分が神経に作用してイライラを鎮め、疲れた神経をときほぐし、不眠症にも役立ちます。 ですから、ぐずついて寝つきの悪いときにも有効です。 ただし、このような作用を期待するときは、調理の際にあまり長時間、熱を加えないことが肝心。 折角の香り成分が飛んでしまいます。


■夜泣き、癇の虫を退治する、ミツバの食べ方

▼赤ちゃんの夜泣きに
ミツバの葉50gを潰し、ガーゼに包んで絞った汁を飲ませる。

▼癇の虫、消化不良、下痢に
牡蠣殻12gを水5カップで、3カップになるまで煮詰め、濾した後、スズキ30g、陳皮(乾燥させたミカンの皮)6gを加えて半量になるまで煮詰め、 ミツバ30gを加えてさらに10分煮る。1日2回に分けて飲ませ、5日間続ける。

▼癇の虫に
クルミ2個、山梔子(クチナシの実)2個、ミツバ5g、氷砂糖少々に水1.5カップを加え、弱火で20分煮て、煮汁だけを1日2~3回に分けて飲ませる。

▼激しい夜泣きに
生姜の薄切り3切れ、黒砂糖小さじ1、ミツバの葉5gに熱湯を注ぎ、お茶代わりにして1日3回飲ませる。


■痛みを和らげ、炎症を鎮める効果も

ミツバにはこのほかにも、炎症を鎮める作用、解毒作用、鎮静作用、痰を取り除く作用などが知られています。 そこで、子供に限らず、歯痛、歯ぐきの腫れ、打撲捻挫による腫れ、痛み、寒気やひどい風邪、頭痛、生理痛、 また血圧が高くてめまいや頭痛、肩こりを訴える場合などに効果があります。
春先のミツバは特に香りがよく、食欲増進にも役立ちます。上品な香りはすまし汁の吸い口や、刺身、酢の物のあしらいに最適です。 しかし、薬効を期待するなら、おひたしや和え物などにして、たくさん摂る工夫をしたいものです。 切りミツバは組織が軟弱なので、みそ汁、さっと揚げたてんぷらに、根ミツバは香りが強いので、魚、鶏肉などの鍋物に合います。

▼歯痛、歯ぐきの腫れに
根ミツバ、水各適量をミキサーにかけてジュースを作る。脱脂綿に含ませ、歯の痛いところや腫れている歯茎にかませる。

▼打撲、捻挫の腫れ、痛みに
根ミツバをついて絞った汁を患部に塗る。または、根ミツバを乾燥させて粉末にしたものを小さじ1ずつ、1日2~3回、冷水で飲む。

▼血圧が高く、めまい、頭痛、肩こりを伴うものに
根ミツバ250gを水3カップで、半量になるまで煮詰め、1日3回に分けて飲む。 または、根ミツバをジュースにし、さかずき1~2杯に白湯を加えて、1日2~3回飲む。 3~4ヵ月を目途とする。

▼寒気がひどい風邪に
根ミツバ30g、青じそと陳皮各20gを水3カップで半量になるまで煮詰め、1日2~3回に分けて温めて飲む。

▼月経痛、頭痛に
根ミツバをジュースにし、さかずき1杯にお湯、黒砂糖各適宜を加える。1回分として、1日3~4回飲む。

▼臭いのきつい痰、激しい咳に
根ミツバ120g、十薬(乾燥ドクダミ)100g、桔梗10g、瓜呂根(キカラスウリの根)25gを水4カップで半量になるまで煮詰め、1日3回に分けて飲む。 7日間を目途とする。