慢性腎臓病対策のための生活習慣
慢性腎臓病の進行を抑えるためには、毎日血圧を測定し、血圧をコントロールすることが大切です。
また、腎臓に負担をかけないような生活習慣を身に付けることも大切です。
■腎臓を守るために
生活習慣病とともに、食事などの生活習慣の改善を行う
慢性腎臓病の治療では「腎不全」への進行を遅らせるとともに、「心血管疾患」の発症を防ぐことが重要です。 そのためには、「高血圧」をはじめとする慢性腎臓病の原因になる「生活習慣病」を治療するとともに、 患者さん自身が「血圧コントロール」と「生活習慣の改善」に取り組んでいくことが大切です。
- ▼血圧管理
- 慢性腎臓病を悪化させる高血圧を改善するためには、自分の血圧を把握する必要があります。 血圧は1日の中で常に変動していますから、医療機関だけでなく家庭でも血圧を測るようにします。 血圧測定は、1日のうちで血圧が高いとされる起床直後から1時間以内の朝食を摂る前と、就寝前の2回行います。 測った血圧の値を記録し、担当医のチェックを受けながら、適正な血圧になるようにコントロールしていきましょう。
- 【関連項目】:『血圧の測り方』
- ▼食事
- 水分摂取は適量を心がけ、塩分摂取は1日6g未満になるようにします。 腎機能がかなり低下している場合は、1日のカリウム摂取量を1500mg未満に制限することもあります。 腎機能が健康な人の60%未満になった場合は、たんぱく質の摂取制限も必要です。
- ▼運動
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ウォーキングや1時間程度の散歩などの軽い適度な運動は、血圧を下げたり、肥満を解消したりする効果があります。
ただし、長時間の運動や急激な運動は、腎臓への血流を悪化させることがあるため、注意が必要です。
内容によっては控えたほうがよいスポーツもあるので、行ってよいかどうかを担当医に相談しましょう。
- 【関連項目】:『運動で血圧を下げる』
- ▼喫煙・飲酒
- 喫煙は、血管を収縮させて血圧を下げるため、禁煙しましょう。 お酒を飲む場合は日本酒換算量で、1日1合程度にすると、腎機能にプラスに働くとされています。 お酒と一緒に、塩分の多い食べ物や脂肪の多い食べ物などを摂りすぎないようにしましょう。
- 【関連項目】:『禁煙補助製品』
- ▼保温
- 急激な気温の変化は血圧を変動させるため、体にとって大きなストレスとなります。 冷えや寒さは血管を収縮させて、血流を悪化させるため、慢性腎臓病を悪化させます。 特に高齢者は、全身の保温を心がけましょう。
慢性腎臓病は、長期にわたって管理していく病気です。 薬物療法などと併せて、生活習慣の改善をしていきましょう。
●食事を改善する
- ▼のどが渇いたら適量の「水分」を摂取する
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慢性腎臓病の場合、水分の過剰摂取はむくみなどの原因になります。
のどが渇いたときに摂取するようにします。
また、体重の大きな変動は、水分の過剰摂取などが原因と考えられます。 毎日、体重を測定すると、水分摂取量が適量かどうかをチェックできます。 - ▼「塩分」は、1日の摂取量を6g未満にする
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塩分の過剰摂取は高血圧やむくみの原因になるため、1日6g未満に制限します。
慢性腎臓病の重症度によっては、より少ない量に制限する場合もあります。
味噌や醤油などの調味料にも塩分は多く含まれているため、味付けは酸味や辛みで行うとよいでしょう。 ハムなどの加工食品にも塩分は多く含まれているため、要注意です。 - ▼「カリウム」の1日の摂取量は1500mg以下にする
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腎機能の低下によりカリウムがうまく排出されなくなると、血中のカリウムが増加し、
命にかかわる「不整脈」を起こすことがあります。
担当医の指示に従って制限を行いましょう。
カリウムはイモ類や豆類、生野菜などに多く含まれる、水に溶けやすいため、 ゆでてカリウムを溶かし出し、ゆで汁を捨てるようにします。 - ▼「たんぱく質」は、腎機能が健康な人の60%未満の人は、 1日の摂取量は標準体重1kg当たり0.6~0.8gにする
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たんぱく質を多量に摂ると、体内にたまる老廃物の量が増えて腎臓の負担になり、
「意識障害」などを起こす「尿毒症」になりやすくなります。
例えば、標準体重60kgの人の1日の摂取量は36g~48gです。
卵、牛乳、魚、肉などの良質なたんぱく質を摂るようにします。 低たんぱく高エネルギーに作られた「たんぱく調整食品」も市販されています。 また、たんぱく質を制限するとエネルギー不足になりやすく、エネルギー不足は腎臓に負担をかけるため、 炭水化物や脂質でエネルギーを補うようにします。