高血圧対策に「リラックス呼吸法
【血圧を下げてくれる自律神経をコントロール】」
『リラックス呼吸法』とは腹式呼吸と深呼吸で心身をリラックス状態に切り替えて、血圧をコントロールする方法です。
■交感神経を腹式呼吸で休める
人の呼吸には「胸式呼吸」と「腹式呼吸」があります。胸式呼吸は胸の筋肉を使って肺を伸縮させるもの、 腹式呼吸は横隔膜という筋肉を使って行うものです。私たちはこの2つの呼吸法を自然に使い分けています。 特に意識して腹式呼吸をすると、冷えの改善やストレスの緩和などの健康効果があることがわかっていますが、 実は血圧とも深い関係があります。 呼吸は自律神経のコントロールを受けています。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、 ストレスを感じたり不安な状態になると交感神経の働きが活発になって、血管は収縮、呼吸も速くなります。 当然血圧も上がります。逆に、リラックス状態だと副交感神経が働いて血管は拡張し、呼吸も遅くなり、血圧もダウン。 この交感神経と副交感神経の切り替えを行うのが脳の「扁桃体」という部分です。 実は腹式呼吸によって呼吸を整えることで、この扁桃体をコントロールできます。 つまり、ストレスがかかっていても、体はリラックスしている状態だと扁桃体がだまされて、副交感神経を働かせてしまうのです。 これにより呼吸数は減り、血圧を下げる効果が期待できます。
●深呼吸で血栓を予防、高血圧予防も期待できる
さらに、血圧を下げたり、動脈硬化の予防になる、より簡単な呼吸法が深呼吸です。 息を使って肺が広がると、肺の中で「プロスタグランジンⅠ2」という物質が作り出されます。 この物質は血圧を下げたり、血栓の形成を防ぐ働きを持っており、血管コントロールの強い味方といえます。 普通の呼吸の時より深呼吸をした時の方が、より多くのプロスタグランジンⅠ2が産出されるようになります。 また、一度に息を吸うより、少しずつ吸った方が、肺の隅々まで空気が入りやすくなり、 やはりプロスタグランジンⅠ2を増やすことができます。 この物質を増やすことで、血圧を下げる効果も大きくなります。
●リラックス呼吸法の効果実験
リラックス呼吸法の効果を検証する実験で、はっきりとした効果が得られたのは「冷えの改善」でした。
これは、体がリラックスし、血行が良くなったためです。このリラックス状態は「よく眠れる」「ストレス緩和」
といった効果につながります。風邪の予防や美肌効果には直接的な効果ありませんでしたが、
間接的にはよい影響がある可能性も否定はできない、というものでした。
ダイエットの実験では、1分30秒の腹式呼吸で消費カロリーは6割アップ。
しかし、1日1時間、3ヶ月間続けても、消費カロリーの増加分は体脂肪で約100g、消費カロリーは一時的に増加しただけで、
5分後には元に戻っていました。これではダイエット効果があるとは言えないでしょう。