体ポンプエクササイズ
【足のむくみ・だるさを解消して血栓予防】

体ポンプエクササイズ」とは、30分~60分ごとに足首とお腹のポンプを刺激して血流を活発にすることです。 足のむくみ・だるさが解消され、血栓を予防するのに効果的です。


■血行が悪くなると、血栓ができやすくなる

夕方に足がむくんでパンパンに張った感じになる・・・・・というのは、誰もが経験のあることですが、 立ち仕事の多い人や、長時間座ったままで足を動かさない人などは、日常的にむくみが起こりやすいようです。

では、なぜむくみが起こるのかというと、静脈の流れが悪くなって血管に血液がたまり、そこから血液中の水分が染み出すためです。 特にむくみやすいのが足。足の血液が重力に逆らって静脈を上らなくてはいけないので、 血液がたまりやすいのです。足がむくんでしまうと見た目が気になるのはもちろん、だるさや疲労感などの不快な症状を伴うことも。 むくみやすい人の中には、血行の悪化が進み、静脈瘤(下肢静脈瘤)を起こしている場合もあるので注意が必要です。 静脈瘤とは、血液の逆流を防ぐ働きをする静脈の「弁」が壊れて、血液がスムーズに流れなくなるために起こる病気。 むくみだけでなく、皮膚の表面に細かい静脈や静脈が膨らんだコブが浮き出たり、潰瘍ができることもあります。 また、外見上は異常がなくても、症状が進んでいることも。これを「隠れ静脈瘤」といいます。

さらに怖いのは、静脈の血行が滞ると、静脈に血栓ができる恐れがあること。 血栓が静脈を通って肺の動脈を塞ぐと、死に至る危険もあります(肺血栓塞栓症、いわゆるエコノミークラス症候群)。


■ポンプの役目をする「足首」と「おなか」

足のむくみを解消し、静脈瘤を予防するには、静脈の流れを作るポンプの働きをよくすることが必須。 そのポンプとは、筋肉です。

心臓から送り出された血液は動脈を通って全身に運ばれますが、心臓に戻るときは、 静脈を取り巻く筋肉の運動の刺激によって流れを作っているのです。 この流れをよくするのに効果的なのが、足首を曲げる「足首ポンプエクササイズ」です。 かかとをつけたままつま先を上げると、ふくらはぎの筋肉が働いて静脈を圧迫し、足首を戻すと筋肉が緩み血液が通います。 つまり、ふくらはぎの筋肉を動かして静脈の流れを改善しているわけです。 ある実験では、この方法で静脈の血流が10倍以上も速くなりました。

そして、もう一つが腹式呼吸をする「お腹ポンプエクササイズ」です。 腹式呼吸で息を吸ったとき、お腹の中の圧力は強まり、その力でお腹の静脈が圧迫されます。 そして息を吐くと圧力が弱まり、静脈の流れがよくなると考えられます。 どちらも簡単にできる運動なので、こまめに行うことが血行改善への近道です。


●実験

足がむくんで疲れた時によく行う解消法の「足湯」、「足首のマッサージ」「足を5分ほどイスに乗せて高くする」。 この3つの方法が静脈の流れを改善するのかどうかを確認する実験があります。

それぞれの方法を試した後で血流を測定したところ、足湯は7.6cm/秒から13.1cm/秒、マッサージは6cm/秒から8.3cm/秒、 足を高くするは6.4cm/秒から8.3cm/秒になりました。数値は上がったもののどれもあまり改善しないことが判明。 しかし、足首を上に向けて曲げる足首ポンプエクササイズでは、一気に10倍以上も血液が速く進むことがわかりました。