マフラー「首」保温術
【冷え知らずの体で血流をスムーズに】
寒い日には外出前にマフラーをして首を温めれば血行が良くなって、手足の冷えが解消されます。 そして、そのことが血圧の安定にもつながります。
■血管バイパス「AVA」が血流アップのカギを握る
寒い季節になると手足の冷えが起こりやすく、ひどくなるとかじかんで動かしづらくなります。 これは、体温を外に逃がさないように末梢部の血管を収縮させて血流を減らす、 という正常な体の反応ですが、このため血行が悪くなり血圧が上がります。 手足の冷えを解消するには、末梢への血流を増やすことです。 このカギを握るのが、動脈と静脈をつなぎ、血液を末端まで十分に行き渡らせる「バイパス」です。 これは手足や顔の一部にある特殊な血管で、「AVA(動静脈吻合)」と呼ばれ、血流量を増やす働きをしています。 このAVAが閉じてしまうと血流量が減り、冷えの原因になります。 このAVAを開通させるスイッチは、体の中でも寒さに一番敏感な「首」にあることがわかりました。 つまり、首を温めれば、AVAが開いて血行が良くなり、手足のつらい冷えを解消することができます。 さらには、血圧の安定にもつながるのです。
●マフラーは室内で巻いて、外に出るのが大事
首を温めるために活用したいのが「マフラー」。 さらに、マフラーは必ず室内で巻いてから外出するのがポイントです。 AVAは温度差を感じるとすぐに閉じてしまううえ、いったん閉じてしまうとなかなか開きません。 実験でも、閉じてしまった足のAVAが開くまでに40分もかかりました。 マフラーは襟元に隙間なく巻きましょう。ハイネックやタートルネックも同様の効果があるので、 寒い日にはこうした服を着ることもお勧めです。
●血行アップには、急激な温度変化もNG
AVAが閉じて血行が悪くなるのを防止するためには、急激な温度変化を避けることも大切です。 暖かい室内から急に寒い外に出たり、寒い脱衣所で服を脱ぐ、また、熱い湯に浸かるなどの刺激を受けても、 血管が収縮して血液の流れが悪くなります。このような急激な温度変化によって血管が収縮すると、 血圧が上がってしまう場合もあるので、十分に注意してください。
●実験「AVAが5分で開く!驚きのマフラー効果」
冷え切った体で首にマフラーを巻いたら本当にAVAが開くのか、という実験が行われました。 室温16℃の部屋で2人の女性の手足に血流計をつけて、AVAの変化を見たところ、 マフラーを巻く前の血流量は平常時のおよそ2割。マフラー装着から5分後、手のAVAが開き始め、 血液がドクドクするのが感じられる、手がビリビリするなどの感想がきかれ、 サーモグラフィーで実験前と実験後を比べても、手足の血行が改善されていることがわかりました。 1時間後には、2人の平均で手のAVAは9割、足のAVAは5割回復しました。 これによって、手足の冷え解消にマフラーを巻くことは有効な対策であることがわかりました。