桑の葉茶
糖尿病予防と『桑の葉茶』の関係は、 桑の葉だけに存在すると言われる「DNJ(デオキシノジリマイシン)」という成分が、 糖質の分解酵素の働きを阻害することにより、ブドウ糖の吸収速度を遅め、食後の血糖値の急激な上昇を抑えます。 また、膵臓のβ細胞に働きかけて、インスリンの分泌状態を、改善すると言う報告もあります。
■「桑の葉茶」とは?
食後の急激な血糖値上昇を抑制する
糖尿病による動脈硬化の進行は、空腹時よりも、食後の血糖値と密接にかかわっていることがわかってきました。 そのため、最近では、空腹時血糖値だけでなく、食後の血糖値を低く抑えることが重要であると考えられています。 食後血糖値の上昇を抑えるには、食後に適度な運動を行うことが有効。 もちろん、食事の摂り方も大切で、白米やパンといった糖質の多い食品を制限する、よく噛んで食べるといったことが 奨められています。
そしてもう一つ、ぜひ試してほしいのが、小腸での糖の吸収を妨げる成分が含まれた『桑の葉』です。 古くから、桑の葉は中国では漢方薬として血液の流れを良くしたり、 せき止めや喘息、滋養強壮に良いといわれ、日本では民間療法として供されてきました。 カイコのエサとして知られる桑の葉は、牛乳の約24倍のカルシウム、納豆の約15倍の鉄分のほか、食物繊維や カリウム、亜鉛、マグネシウム、クロムといったミネラルを豊富に含んでいます。
また、フラボノイド(植物に広く含まれる色素化合物)や、 桑の葉特有の「DNJ(デオキシノジリマイシン)」も多く含まれています。 桑の葉が糖の吸収を抑えるのは、このDNJの働きによるものです。 桑の葉のみに含まれる成分DNJ「I-デオキシノジリマイシン」が 糖質を分解する酵素グルコシターゼの働きを阻害して、グルコースの吸収を阻止し、血糖値の上昇を抑制するのです。 したがって、桑の葉を摂ると、ブドウ糖の吸収が抑えられ、その結果、食後の血糖値上昇も抑えられるというわけです。 桑の葉は、昔、養蚕が盛んな地方では、体に良い素材として、お茶として使用されていたこともあり、 桑の葉の有用性が世間に広く知られるようになった現在では、お茶など桑の葉由来の食品が注目されつつあります。
■桑の葉の働きを調べた研究
桑の葉の働きを調べた研究はいくつかありますが、その中の一つ、県立長崎シーボルト大学で行われた試験を紹介しましょう。
この試験では、糖尿病ではない健康な女性8人に、
①ショ糖(サトウキビから作った砂糖)30gを溶かした液体
②ショ糖30gと桑の葉抽出物1.2gを溶かした液体
③ショ糖30gと桑の葉抽出物3gを溶かした液体
の3種を、それぞれ摂ってもらいました。そして、180分後までに、合計7回、血糖値を測定したのです。
その結果、③の場合では、血糖値の上昇がほぼ完全に抑えられていました。
②の場合は、③ほどではないものの、桑の葉抽出物を全く加えていない①よりは、血糖値の上昇が抑えられていたと報告されています。
この結果から、食事の時に桑の葉をうまく取り入れれば、血糖値の上昇が抑えられることがわかります。
では、桑の葉を利用するにはどうすればいいのでしょうか。 お勧めは、「桑の葉茶」を飲むこと。DNJは水に溶けやすい成分なので、 桑の葉をお湯や水に浸けておくだけでその中に溶け出ます。 桑の葉が手に入らない場合は、ティーバッグに入った桑の葉茶や、桑の葉の成分を顆粒にした商品が市販されているので、 それらを利用するといいでしょう。