理想のエネルギーバランス

健康維持のためには、バランスよくエネルギーを摂ることが大切です。 自分にとって最適なエネルギーバランスを知りましょう。


■「目標体重」を知ろう

適正なエネルギーバランス(*①)は一人一人異なります。 体重を落とすべきか、今の状態を保つべきかを知るためには、まず、自分の「目標体重」を知り把握することが大切です。 目標体重は「BMI(体格指数)」という値を使って求めることができます。

BMI = 体重 ÷ 身長(m)÷ 身長(m)
目標体重 = 身長(m)× 身長(m)× 目標とするBMI
目標とするBMIは、
18~49歳は18.5~24.9
50~64歳は20.0~24.9
65歳以上は21.5~24.9

これまでBMI22を標準体重としてきましたが、BMIと死亡率との関係を調べた最近(2020年6月)の研究では、 最も死亡率が低くなるBMIの値は、20~25と幅があることがわかってきました。 そのため、目標体重を決めるときには、22という数字にこだわり過ぎず、「目標とするBMI」の範囲内に収まることを一つの目安にし、柔軟に考えることが大切です。 なお、持病のある人や高齢で体力が弱っている人は、必ず医師に相談してください。

①【エネルギーバランス】
食事などで摂取するエネルギー量と、生命機能の維持や運動などで消費されるエネルギー量のバランスのこと。 食事などで摂取するエネルギー量のほうが多くなると、体重が増加する。


■最適なエネルギー量は一日の活動量、年齢などからわかる

次に、一日の最適なエネルギー量を知ることが大切です。 2020年4月に、5年ぶりに「日本人の食事摂取基準(*②)」が改定されました。 最新版では、時代背景を反映し、高齢者の低栄養やフレイルへの対応や、 生活習慣病の予防に重点を置いた「推定エネルギー必要量」の目安が記載されています。 推定エネルギー必要量は、一日の活動量・性別・年齢ごとに設定されています(下図参照)。自分にとって必要なエネルギー量を確認しましょう。 現在の体重が、目標体重の範囲内にあり、今の体重を維持した方がよい人は、このエネルギー量が、毎日の食事量を考えるときの目安になります。 一方、肥満があり、体重を減らした方がよい場合は、 食事量を調整する際に”このエネルギー量より少なくすればよい”と考えましょう。 ただし、持病のある人や体力が低下している人は、食事量を減らす前に、必ず医師に相談してください。

②【日本人の食事摂取基準とは】
厚生労働省が策定している「食事摂取基準」のこと。健康の保持・増進や、生活習慣病の発症・重症化の予防などを目的とした、食事の摂り方の指針を示したもの。

自分に最適なエネルギー量を知っておこう


■タンパク質、炭水化物、脂質をバランスよく摂る

私たちの活動のエネルギーのもととなるのは、タンパク質、炭水化物、脂質の3つです。 この3つのバランスが悪くなると、生活習慣病の発症する確率が高くなることがわかっています。

▼タンパク質
筋肉や体の組織のもととなる大切な栄養素で、私たちの体に欠かせないものです。 タンパク質が不足すると、筋肉量が落ち、高齢者では体力低下に陥ることもあります。

▼炭水化物
エネルギーのもととなる栄養素で、糖類を含む糖質と、食物繊維からなっています。 甘味を持つ糖類を多く含むお菓子や果物などを食べ過ぎると、肥満や、他の栄養素の摂取不足に繋がります。

▼脂質
脂質の中でも「飽和脂肪酸」を過剰に摂取すると、血中のコレステロールが増加し、 心筋梗塞脳卒中などの循環器疾患を発症する危険性が高くなります。


●食物繊維は積極的に摂る

一方、食物繊維を多く含む炭水化物の場合は、多めにとっても問題はありません。 むしろ、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患、 生活習慣が関係する2型糖尿病大腸癌の発症リスクは低くなる可能性が示されています。 食物繊維が不足すると、生活習慣病を発症する危険度が高まります。 食物繊維の摂取目標量は、18~64歳の男性で一日21g以上、女性で18g以上、65歳以上の男性で20g以上、女性で17g以上となっています。 食物繊維が多く含まれる食材は、ゴボウやキャベツなどの野菜、めかぶなどの海藻類、ブルーベリーなどの果物、雑穀米や精製度の低い穀類などです。 積極的に摂るようにしましょう。