食塩と油に注意

食塩や油を摂り過ぎていると、高血圧脂質異常症などのリスクを高めます。 摂り方に一工夫してみましょう。


■日本人の多くは食塩を摂り過ぎている

2020年、「日本人の食事摂取基準」が5年ぶりに改定され、食塩摂取の目標値が、男性一日7.5g未満、女性は6.5g未満になりました。 5年前の基準と比べると0.5gずつ引き下げられ、より厳しくなっています。 成人が一日に摂取する平均食塩相当量は、ここ10年間で、男性は11.9gから11.0gへ、女性は10.1gから9.3gへと減少していますが、 目標値の達成には程遠いのが現状です。 食塩は摂り過ぎると、高血圧心筋梗塞脳卒中などの循環器疾患の原因になります。 また、慢性腎臓病胃癌にも関連があります。 これらの病気の発症を予防し、重症化を抑えるためには、「減塩」が重要です。 食塩の摂り過ぎを抑えるには、野菜などに多く含まれる カリウムが役立ちます。 カリウムには、食塩の主な成分であるナトリウムを尿として体外に排出させる働きがあるためです。 カリウムを積極的に摂ることで、高血圧が原因と考えられる病気による死亡率が低くなるとされています。 ただし、病気や高齢のため体力が低下している人や、特に腎臓病のある人は、カリウムの摂り過ぎには注意が必要です。 必ず医師に相談してください。

食塩をとるときに気を付けたいこと


■アブラは”質”を考えて摂る

脂質の摂り方にも注意が必要です。どんな脂質を摂るかという”質”が重要になります。 脂質に含まれる脂肪酸は、大きく3種類に分けられ、それぞれ性質が異なります。

▼飽和脂肪酸
体内で合成できる脂肪酸で、特に意識して摂る必要はありません。 むしろ、摂り過ぎると血中の コレステロールが増加し、 心筋梗塞脳梗塞などのリスクが高くなります。 そのため、飽和脂肪酸の摂取量は、18歳以上の人で、一日に摂るエネルギー量全体の7%以下にすることが目標とされています。

▼多価不飽和脂肪酸
体内では作ることができない栄養素なので、食事で摂る必要があります。 不足すると、皮膚に影響が出る場合もあります。 飽和脂肪酸の摂取量を減らし、多価不飽和脂肪酸に置き換えると、心筋梗塞を始めとする循環器系疾患などの発症率が下がることが、 多くの研究でわかっています。

一価不飽和脂肪酸
オリーブオイルなどに多く含まれています。

なお、工業的な手法で人工的に作られるトランス脂肪酸は、主にマーガリンや、市販のお菓子の材料のショートニングなどに含まれ、 循環器系疾患のリスクを高めます。なるべく摂らないようにしましょう。

脂肪酸の種類



■5つのポイントを押さえて”理想の食事”に

毎日の食事では、次の6つのポイントに気を付けましょう。

①タンパク質、炭水化物、脂質をバランスよく摂る
三大栄養素のバランスのとり方

②飽和脂肪酸を減らし、不飽和脂肪酸に置き換える
例えば、魚料理にしたり、野菜サラダのドレッシングにオリーブ油を使ったり、唐揚げの揚げ油に菜種油を使うなどして不飽和脂肪酸を摂るようにします。

③カリウムを多く含む食材を使う
野菜にはカリウムが豊富に含まれています。 意識して、野菜を多く摂りましょう。

④食物繊維を積極的に摂る
野菜をたっぷり摂り、主食を雑穀米や全粒粉のパンなどにすると、 食物繊維の摂取量を増やすことができます。

⑤なるべく減塩する
ラーメンやうどんのつゆは残し、納豆のたれは半分だけ使うなどの工夫をします。
【1日に必要な食塩は実は1.5gだけ】
人間が最低限必要な食塩の量は1日1.5gとされており、日常の食生活で不足することはまずありません。 しかし過度な減塩を行うと、食欲が落ちるなどして、高齢者では体力の低下に繋がる可能性があります。 食塩摂取量の目標値を守り、美味しく食べて健康を保ちましょう。

⑥間食やお酒も1日の摂取エネルギー量の一部として考える
間食やお酒のエネルギー量も、1日の摂取エネルギー量に含まれます。 間食や飲酒をする人は、その分を、3食のエネルギー量から減らすなどの工夫が必要です。