3歳から始まる生活習慣病予防

生活習慣病は中高年だけの問題ではありません。子供のころからの食習慣が生活習慣病に影響していることがあります。


■子供の頃の食習慣が、成人後の健康に影響する

生活習慣病の代表的なものに高血圧、糖尿病、脂質異常症があります。

高血圧
血圧が慢性的に高い状態のことです。診察室で測った血圧が140/90mmHg以上になると、高血圧と診断されます。 主な原因は食塩の摂り過ぎです。そのままにしていると、 脳卒中心臓病などが起こりやすくなります。

糖尿病
慢性的に高血糖の状態が続くことで、全身の血管が傷つく病気です。 「糖尿病神経障害」「糖尿病腎症」 「糖尿病網膜症」など、 さまざまな合併症を引き起こします。 糖尿病の原因は多様ですが、遺伝的な要因に、食べ過ぎや運動不足などの環境要因が加わることで起こります。

脂質異常症
血液中に脂質(コレステロールや中性脂肪)が増え過ぎている状態です。 動脈硬化の原因となり、 心筋梗塞脳梗塞が起こる危険性を高めます。

これらの生活習慣病の発症には、長期間にわたる食習慣が関係しています。 子供の頃の食習慣は、成人になってからも続きやすく、それが中高年以降の生活習慣病を招く原因になると考えられているのです。 そのため、生活習慣病予防は、子供の頃からの対策が重要といわれるようになってきました。 子供たちが健康に成長していくために、「日本人の食事摂取基準」(2020年版)には小児からの目標量や目安量も設定されています。


■飽和脂肪酸の摂り過ぎには、特に注意

子供の食習慣で注意が必要なのが、飽和脂肪酸の摂り過ぎです。 飽和脂肪酸は、主に動物性の脂肪に多く含まれています。 ”悪玉コレステロール”と呼ばれる「LDLコレステロール値を上げる作用があるため、心臓や血管の病気のリスクを高めてしまいます。 また、飽和脂肪酸の摂り過ぎは、肥満にも繋がります。 そのため、3~5歳の飽和脂肪酸の摂取目標量は、「一日の摂取エネルギー量全体の10%以下」と新たに設定されました。 飽和脂肪酸は、肉の脂身やベーコン、ウィンナー、バターや生クリーム、チーズなどの乳製品の他、カップ麺などの加工食品にも含まれています。 バターや生クリームは、子供が好きなケーキや菓子類にも多く含まれているので、摂り過ぎないように注意が必要です。


■カリウムや食物繊維はしっかり摂る

カリウムや食物繊維は、どちらも健康を守るうえで大切な栄養素です。 これらは野菜に多く含まれています。子供の”野菜嫌い”をそのままにしておくと、カリウムや食物繊維が不足しやすくなります。

カリウム
体に必要なミネラルの一種で生体機能の調節に重要な働きをしています。 特に、血圧の上昇に関わるナトリウムを尿として体外に排出させる働きがあります。 食塩の摂取量が多くなりがちな日本人にとって、カリウムは強い味方です。 カリウムは、野菜や果物、豆類などに多く含まれており、3歳でも「1日1400mg以上」の摂取が目標とされています。 通常の食生活ではカリウムが不足することはありませんが、ナトリウムの摂取量とのバランスに注意しましょう。

食物繊維
人体にとって有害な物質の吸収を妨げ、便として排泄させる働きがあります。 高血圧、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病の予防に役立つ栄養素です。 食物繊維の多い食品は、海藻、穀類、芋類、豆類、野菜、キノコなどです。 3歳でも「1日8g以上」の摂取が目標とされています。 子供に多い便秘も、食物繊維を多く摂取することで改善することが期待できます。 食物繊維が水分を吸収して便のカサを増やし、腸を刺激して排泄しやすくするためです。 また、食物繊維は腸内細菌の状態の改善にも効果があると報告されています。

■家庭の食習慣を見直そう

子供はどうしても、好き嫌いが多かったり、ご飯よりもお菓子やジュースなどに興味を持ちがちです。 しかし、糖類が多く含まれている甘いお菓子やジュースなどは肥満の原因になり、成人後の糖尿病の発症に繋がる可能性があります。 子供の食習慣は、主に家庭で形成されます。しかし、食事に時間と手間をかけるのが難しいという家庭が増えているのが現状です。 家庭の食事がおろそかになっている子供の健康状態の調査では、肥満傾向で虫歯が多かったり、運動習慣がないなど、 将来の生活習慣病の発症リスクが高い生活を送っているケースが多いということがわかっています。 将来の生活習慣病のリスクをできるだけ減らすためにも、食習慣の基礎となる「食育」がとても大切です。 下図の「子供の食習慣を改善する食卓づくりのコツ」を参考に、家庭内での食育を意識しましょう。

◆三食食品群とは?

含まれる栄養素の働きによって「赤」「黄」「緑」の3つの食品グループに分けられます。

▼赤
体をつくる基になる栄養素が含まれます。肉や魚、乳製品など。

▼黄
エネルギーの基となる栄養素が含まれます。ご飯、パン、麺類など。

▼緑
体の調子を整える栄養素が含まれます。野菜や果物など。