副甲状腺機能亢進症

血中のカルシウムのバランスが崩れる


■症状と特徴

副甲状腺ホルモンが過剰分泌され続けてている状態で、原因の違いで、原発性と続発性の2つの分けられます。
原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺に生じた腫瘍や過形成(細胞の肥大)が原因となっているもので、 血液中のカルシウムが増え、大量のカルシウムが尿中に排出されるために、腎結石ができたり、 腎糸球体や尿細管に沈着して腎石灰沈着症を引き起こします。 さらに、骨や歯からのカルシウムの流出が原因で骨粗鬆症になることもあります。 症状の主体は高カルシウム血症に基づく、尿量増加、口の渇き、飲水量の増加などです。 また、便秘や皮膚のかゆみ、筋力低下、食欲低下、吐き気、さらに病状が悪化すると、集中力の低下や抑うつ症状、意識障害などが起こることもあります。 女性に多い病気で、男女比は1:2です。ほとんどが30歳以上で、加齢とともに数が増加し40~60歳代にピークを迎えます。 特に、閉経後の女性の発症率が高い傾向にあります。
続発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺機能低下症以外の要因で低カルシウム血症になったときに起こり、 低下したカルシウム濃度を上げようとして、二次的に副甲状腺ホルモンが過剰分泌されるものです。


■原因

原発性副甲状腺機能亢進症で最も多いのは、腺腫と呼ばれる良性腫瘍の発症です。 4つある副甲状腺のうち、一つに起こる単発性がほとんどですが、稀にすべての副甲状腺が肥大する多発性もあります。 また、副甲状腺癌や、ごくまれにですが、遺伝性による多発性内分泌腺腫症が原因となっている場合もあります。
続発性副甲状腺機能亢進症は慢性腎不全 に起因するもの(腎性骨異栄養症)が最も多く、他に、ビタミンD作用の低下、腎臓からのカルシウム喪失、 抗痙攣薬や骨吸収抑制薬の使用による低カルシウムなどがあります。


■治療

原発性副甲状腺機能亢進症では、単発性の場合はその腫瘍を摘出します。 多発性の場合は4つとも腫れていることがほとんどなので、腫れの少ないものを一つだけ残し、残りの3つを摘出します。 大抵は2週間ほどで退院できますが、治療が遅れると腎臓の機能が低下したり、たびたび骨折したりと、日常生活に支障が出てくるので早期治療が重要です。 手術ができない場合は、脱水や高カルシウムクリーゼ(高カルシウム血症が悪化し、意識障害などを伴う)、 結石症、腎機能悪化などの防止や、骨粗鬆症の予防に努めます。 続発性副甲状腺機能亢進症は、原因となっている病気の治療を行いつつ、低カルシウム血症の改善を図ります。 慢性腎不全やビタミンD作用の低下に対しては、活性型ビタミンDの使用を行います。 また、腎臓からのカルシウム喪失に対しては、結石症を予防するため利尿薬を使用します。