山伏茸(ヤマブシタケ)

山伏茸ヤマブシタケ)』には、 β-グルカン、食物繊維アミノ酸が豊富に含まれ、 免疫力強化活性酸素撃退などに期待されています。 また、山伏茸(ヤマブシタケ)には、脳を元気に保つ成分である「ヘリセノン」と「エルナシン」という天然素材としてはヤマブシタケにしかない成分も含有しており、 脳血管性認知症アルツハイマー型認知症 に改善効果が期待できることがわかってきたため、ボケを防止する健脳食品として関心を集めています。


■山伏茸(ヤマブシタケ)とは?

中国四大珍味の一つで幻のキノコ

「山伏茸(ヤマブシタケ)」は、サンゴハリタケ科のキノコで、クヌギ、クルミ、シイなどの広葉樹の樹幹や切り株に生え、 全体が白っぽいキノコです。白く丸い形が山伏の鈴掛の飾りに似ていることからヤマブシタケと名付けられたといわれています。 傘の外側の先端が針状になっていることから、ハリセンボンとかウサギタケと呼ぶ地域もあります。 中国では古来より幻のキノコとして健康維持に用いられてきました。 山伏茸(ヤマブシタケ)は非常にデリケートなキノコで栽培が難しく、手に入れることが難しい貴重なキノコでしたが、 技術の発展により人工栽培が可能になったので、最近では比較的手に入れやすくなりました。 近年、さまざまな研究の結果、ヤマブシタケは 脳血管性認知症アルツハイマー型認知症 に改善効果が期待できることがわかってきたため、ボケを防止する健脳食品として関心を集めています。


■ヤマブシタケの豊富な栄養成分

ヤマブシタケには、「β-Dグルカン」「ヘリセノン」「エルナシン」などの成分のほか、 必須アミノ酸やビタミン、ミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。

▼β-Dグルカン
ヤマブシタケはアガリクスの2~3倍もの「β-Dグルカン」を含んでおり、100g中36.1gと非常に多く、キノコ類の中では一番の含有量です。 そのβ-グルカンは、活性多糖体と呼ばれる成分ですが、ほとんどのキノコには1~2種類しか存在しませんが、 ヤマブシタケは5種類もの活性多糖体を含んでいます。つまりさまざまなタイプに対応することができるのです。

▼ヘリセノン・エルナシン
ヤマブシタケには、脳を元気に保つ成分である「ヘリセノン」「エルナシン」が含まれ、 ヘリセノンとエリナシンという物質は、神経細胞成長因子の合成を促進することが報告されています。 これらはアガリクスには含まれていない成分で「最近物忘れが気になって・・・・・」という方にお勧めです。

SOD様値
ヤマブシタケは、体へのさまざまな悪影響が懸念される 活性酸素に対してもSOD値8000~10000単位という驚異的な値を示しており、 免疫力の正常化、活性化に大変役立ちます。

■ヤマブシタケのボケ防止・健脳成分

脳の神経細胞を活性化する特効成分が豊富

ヤマブシタケが認知症に有効であると最初に示唆されたのは、静岡大学の河岸洋和教授と岐阜薬科大学の古川昭栄教授の共同研究によります。 この研究では、ヤマブシタケには他のキノコにはない「ヘリセノン」「エリナシン」 という特有の成分が含まれており、これらが脳の働きを活発にして認知症の改善をもたらす可能性のあることが突き止められました。

脳は、膨大な数の神経細胞(ニューロン)が、それぞれ細長い枝を伸ばして他のニューロンと繋がっています。 このニューロンは、20歳を過ぎるとどんどん減っていきますが、残されたニューロンが枝を活発に伸ばし、減った分の働きを補います。 このとき、ニューロンに枝を伸ばすように促すのが、脳の海馬(脳の奥にあって記憶を司る) の部位から分泌される「NGF(神経成長因子)」という物質です。 ところが、アルツハイマーの人は、このNGFが十分に分泌されません。 そのため、ニューロンはどんどん減少して判断力や記憶力などの知的能力が阻害されてしまうのです。 ということは、NGFを増やすことができればニューロンの働きが活発になり、脳も正常に働くことが可能になるはずだ、と一部の研究者たちは考えました。 実際に、老化させたネズミにNGFを注射することで、迷路や、プールの中央に作った島にエサを置いたとき、 エサにたどり着くまでの時間が短縮したという実験があります。 さらに、人間の脳にNGFを注射したところ記憶力が回復し、症状が改善されたという結果も報告されています。
このようなことから、河岸教授らは、NGFを増やすさまざまな食品の研究に着手しました。 その結果、NGFを大幅に増やす働きを示すことがわかったのが、ヤマブシタケに含まれるヘリセノンとエリナシンという成分だったのです。


●徘徊しなくなった人もいた

こうした実験結果を受け、病医院でもヤマブシタケを使って認知症の患者に対する臨床試験が行われています。

例えば、東京都杉並区にある病院では、内科外来に通院中のアルツハイマー患者7人(男5人、女2人、平均年齢82歳)に対して、 毎日朝と夕食のときにそれぞれ1.5gずつ、合計3gのヤマブシタケのサプリメントを3、4ヶ月服用してもらい、 投与前と投与後の重症度の比較を行ないました。認知症の度合いは、FIM値(自立度)という数値で評価されます。 FIMとは、運動領域(食事・入浴・トイレ・着替え・歩行など)と、認知領域(理解力・社交性など)をそれぞれ点数化して症状を判定するものです。 例えば、運動領域なら「食事や階段の上り下りなどが自分ひとりでできるか」、 認知領域なら「相手の言ったことが理解できるか」「自分の言いたいことを相手に伝えられるか」などが判定されます。 この試験では、ほとんどの人に、このFIM値の改善が見られました。 具体的には、徘徊が消失した例が1人、1日に3、4回の徘徊が1回に減少した例が1人、 そして、道に迷わずに帰宅できるようになった例が1人、怒りっぽさが消えた例が1人、などです。

また、同病院その他で入院・入所中のアルツハイマー患者21人(男性7人、女性14人。平均年齢85.5歳)に、 同様にヤマブシタケのサプリメントを3ヶ月服用してもらった試験もあります。 その結果、記銘力・記憶力障害などの改善は認められなかったものの、意欲低下・無関心・自発性低下・うつ状態・幻覚・ 妄想・異常行動・徘徊などの改善は、14例(66.7%)に認められました。

これらの結果について、病院長は次のように語っています。
「身近な食品であるヤマブシタケが、認知症の患者に対して有効だと示唆されたのは、非常に画期的なことだと思います。 これまで全面的に介護を必要としていた人が、ヤマブシタケで症状が少しでも改善すれば、家族にとっても介護がずいぶんと楽になるので朗報でしょう。 現在も追加の試験を行なっていますが、私はヤマブシタケはボケの治療薬よりも有効であると実感しています」


●脳血管性認知症も著明に回復

一方、群馬県桐生市にある病院でも入院中の認知症患者15人を対象に、1日3g(朝夕の食後にそれぞれ1.5gずつ) のヤマブシタケのサプリメントを服用してもらい、3ヵ月後に投与前と投与後の重症度の比較を行ないました。 患者の内訳は、アルツハイマー型が7人、脳血管性認知症型が6人、両者の混合型が1人、その他1人(男性5人、女性10人、平均年齢82.8歳)。 結果は、ほとんどの人にFIM値の運動領域と認知領域に有意な改善が見られました。

この試験を行なった医師は、次のようには語っています。
「アルツハイマーと脳血管性の認知症では起こり方や進行具合に違いがありますが、ヤマブシタケはいずれにも症状の改善効果が認められました。 もちろん、認知症の予防効果も期待できるので、健康な人もヤマブシタケをぜひ活用するといいでしょう」


■その他

▼ヘリセノン、エリナシン以外の健脳成分
ヤマブシタケには、ヘリセノン、エリナシン以外にも、アルツハイマーに有効と考えられる成分が含まれています。 アルツハイマー患者の脳には老人班と呼ばれる黒いシミができますが、このシミの正体はアミロイドβという毒性を持ったたんぱく質です。 ヤマブシタケに含まれる成分は、このアミロイドβの毒性を抑え、神経細胞の働きを守る作用のあることもわかっています。

▼調理法
ヤマブシタケは、まだなじみの薄いキノコですが、味は淡白で、お吸い物や味噌汁に入れたり、炒め物にしたりすれば、手軽においしく食べられます。

▼摂取目安量
ヤマブシタケを食べる量は、1日25~50g程度が目安ですが、ボケの改善を目的とするなら、50~60gほど食べると良いでしょう。 最近では、ヤマブシタケを乾燥させてつくった粒状食品や粉末食品などのサプリメントもあるので、 それを利用すれば、ヤマブシタケの有効成分を容易に摂ることが可能です。