ぎっくり腰【急性腰痛】

ぎっくり腰とは、急に起こる激しい腰痛の総称です。 痛みが治まってきたら積極的に体を動かすことが、治療と再発予防のポイントです。


■ぎっくり腰とは?

突然発症し、1か月未満から長くて3ヵ月で自然に治まる

腰に急に激しい痛みが起こり、1か月未満あるいは1~3ヵ月で自然と症状が治まるものを急性腰痛といい、 一般的には”ぎっくり腰”と呼ばれています。 ぎっくり腰は、若い人から中高年まで幅広い年代に発症し、男女差はありません。ぎっくり腰の原因は、実はよくわかっていません。 筋肉や骨、椎間板、靱帯などのどこかに障害が起きていると考えられますが、画像検査を行っても明らかな異常が認められないからです。

◆ぎっくり腰を起こしやすい姿勢

ぎっくり腰を起こしやすいのは、前かがみの姿勢をとったときです。 前かがみになって重いものを持ち上げようとした時などに、ぎっくり腰を発症することがよくあります。 洗面台で顔を洗う時や靴を履くときも前かがみの姿勢になるので、注意が必要です。 また、ベッドから起き上がって腰をひねったり、くしゃみをして急に姿勢を変えた時にも、ぎっくり腰は起こりやすいといえます。


■ぎっくり腰の対処法

痛みが和らいだら、積極的に運動する

ぎっくり腰の経過は、1ヵ月未満で治るケースを例に挙げると、発症直後は強い痛みに襲われるものの、2~3日経つと痛みが徐々に和らぎ、 1週間ほどで痛みは軽くなり、1ヵ月もすれば痛みはほぼ治まります。 痛みを長引かせないために正しい対処法を覚えておきましょう。

▼発症直後の姿勢
ぎっくり腰を起こした直後は、腰に負担をかけない姿勢をとります。 「膝を軽く曲げて横向きに寝る」「仰向けに寝て膝を軽く曲げ、膝の下にクッションなどを入れる」「仰向けに寝て低めの台に両脚をのせる」 などの姿勢をとるとよいでしょう。

▼温めるか冷やすか
一般的には患部が腫れているときには冷やした方がよいのですが、ぎっくり腰の場合は腫れていることは少ないので、 冷やすのでも温めるのでも本人が楽になれる方を選べばよいでしょう。 カイロなどで温めたり、保冷剤をタオルで巻いたものを当てて冷やすなどの方法があります。 湿布や軟膏を使うのであれば、痛み止めの効果があるものを選ぶとよいでしょう。

▼体を動かすべき?
かつては、ぎっくり腰を起こした後は安静が大切だといわれていましたが、近年では、長い期間動かないでいることが、 かえって腰痛を悪化させるということが明らかになってきました。 発症後2~3日は安静にしていても、その後は多少の痛みがあっても積極的に体を動かすようにしましょう。

▼注意が必要な急性腰痛
注意が必要なのは、じっとしていても痛みがあるとき、日ごとに痛みが強くなってくるとき、 足の痺れや排尿障害を伴うときなどです。

▼医療機関での治療
整形外科では、原因となる病気がないかどうかを調べます。特に病気がなく、ぎっくり腰とわかった場合には薬物療法が行われます。 通常は、炎症と痛みを抑える働きのあるNSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)の飲み薬を中心に張り薬などが用いられます。 この薬は長期間使い続けると胃腸障害などの副作用が起こりやすいので、原則として痛みが強い期間だけ使います。 最近では、胃への負担を軽くした新しいタイプの非ステロイド性消炎鎮痛薬も登場しています。 薬物療法と並行して、強い痛みが治まってきたら積極的に体を動かしていくようにします。

■再発予防

無理な姿勢を避ける、適度な運動を行うなど

ぎっくり腰を起こした人の半分が1年以内に再発するともいわれています。 再発を防ぐために、次の4つのポイントを心がけてください。

①無理な姿勢を避ける
前かがみの姿勢で重いものを持ったり、急に腰をひねるなどといった、腰に負担がかかる動作をできるだけ避けましょう。

②ストレスを軽減する
ストレスが続くと痛みにも敏感になります。 音楽を聴いたり、美味しいものを食べるなど、自分の好きなことを生活に取り入れて ストレスを軽減しましょう。

③適度な運動を行う
運動には、疲労回復、筋肉の強化、体力の向上など多くの効果があり、腰痛の予防に役立ちます。 運動の種類には特に決まりはなく、 ウォーキングでも十分に効果があります。 少しの時間でもよいので、無理のない範囲で、毎日続けることが大切です。 再発予防に効果のある手軽な運動を紹介します(下図参照)。

④肥満を防ぐ
肥満があると腰にかかる負担も大きくなり、腰痛が起こりやすくなります。 適度な食事量を心がけ、運動をして、適正な体重を心がけましょう。

ぎっくり腰の再発予防