【質問】心房細動の薬の飲み合わせが心配です

7年前に心房細動と診断され、 薬(プラザキサ、リスモダン、ワソラン)で治療しています。 心房細動に関する本に「プラザキサとワソランは、飲み合わせが悪い」と書いてあり、驚きました。 担当医に相談したらプラザキサが減量されましたが、このまま飲み続けてよいのか心配です。
●72歳・男性


【答】

心房細動による 脳卒中の予防には、血液を固まりにくくする抗凝固薬の服用が必要です。 かつて服用できる抗凝固薬は、食事制限や、受診の度に採血が必要なワルファリン(商品名:ワーファリン)しかなく、 服用の継続が難しいこともよくありましたが、現在は食事制限のない直接的経口抗凝固薬(DOAC)が使用できるようになりました。 英国のデータでは、DOACの登場で心房細動の患者さんが抗凝固薬を服用する割合が増え、その結果、心房細動による脳卒中が減少したとされています。 DOACには、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)、リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)、アピキサバン(商品名:エリキュース)の4種類があります。 これらの薬の利便性はワルファリンに比べ格段に優れていますが、それでもいくつかの注意が必要です。 一つは、血液の固まりにくさを適度に保つことです。血液の固まりにくさが不十分であれば、脳卒中を起こしやすく、 逆に固まりにくくなり過ぎれば、小さな出血がより大きくなる可能性があります。 薬の血中濃度を適切に保つには、患者さんの腎臓の機能に合わせて服用量を決めることが必要です。 もう一つは、一部の薬にDOACの血中濃度を上昇させることが知られており、 このような薬を併用しなければいけない場合は、血中濃度により注意する必要があることです。 プラザキサとワソラン(一般名:ベラパミル)の併用はこの例に当たります。 しかし、必ずしも併用がいけないというわけではありません。 併用薬の種類や容量によって血中濃度の程度は異なるので、担当医は患者さんの全体像や出血の有無などから併用による害がないかどうかを判断しています。 併用による害がないと判断された場合は、安心して服用を継続してください。 なお、DOACの種類によって併用に注意しなければならない薬は異なり、また併用による血中濃度上昇の程度も異なります。 不安に思われる場合は、担当医や薬剤師に相談されるとよいでしょう。

(この答えは、2020年1月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)