【質問】歩くと胸が苦しくなります
				夕方、少し歩くと胸が苦しくなります。
				休みながら家に帰り、血圧を測ると、上が180mmHgを超えています。
				すぐに降圧薬(ニフェジピン)を飲むと血圧が下がり、苦しさもなくなります。
				この症状を治す方法はないでしょうか。
				●89歳・男性
				●3年前にカテーテル治療を受けた
			
【答】
					ご質問者の場合、「歩くと胸の苦しさが出て、休むと収まる」「3年前にカテーテル治療を受けた」ことから、
					「労作性狭心症」が強く疑われます。
					心臓は、その表面を走る直径3mm程度の血管(冠動脈)から、酸素を含む血液を受け取り養われています。
					冠動脈は年を重ねると、だんだん硬くなります。
					さらに、
					高血圧、
					糖尿病(高血糖)、
					脂質異常症(高脂血症)、
					喫煙といった状態が続くと、
					冠動脈の壁にプラークと呼ばれる塊ができて、内腔が狭くなってきます。
					労作(運動)によって血圧や脈拍が上がり、心臓がバクバクといつもより大きく動くときには、より多くの血液を必要とします。
					しかし、冠動脈が狭くなっていると、それに見合うだけの血液を供給できないため、胸の症状が出るのです。
					このような状態を労作性狭心症といいます。
					
					対応としては、運動で血圧が上がったときに慌てて降圧薬を飲むよりも、普段から定期的に降圧薬を飲んで、
					運動したときに血圧や脈拍が上がり過ぎないようにしておくことが大切です。
					降圧薬にはいくつかの系統があり、
					カルシウム拮抗薬
					(ニフェジピンはこの系統の薬です)は血圧を下げる効果の大きい薬です。
					また、β遮断薬
					は血圧と脈拍の両方を下げる効果があり、労作性狭心症によく用いられます。
					普段の血圧や脈拍数、血圧の変動の仕方などは個々人で異なるので、降圧薬の系統や使用量については、かかりつけ医にご相談ください。
					
					症状のために日常生活に支障がある場合は、専門の医療機関で心臓CT検査を受けることをお勧めします。
					症状の原因となっている狭窄を確認できれば、狭くなった部分を拡張するカテーテル治療により症状の解消が期待できます。
					また、治療後もかかりつけ医のもとで、定期的に血圧、血糖値、コレステロール値をチェックしてもらうことが大切です。
					新たな狭窄ができないように生活習慣を見直し、喫煙している場合は禁煙することも忘れないようにしてください。
				
(この答えは、2020年6月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)