【質問】動悸や息切れが頻繁に起こります

最近、「心房細動があるが、まだ心配ない」と言われました。 毎日、頻繁に動悸、脈の乱れ、息切れがあるのですが、日常生活で注意することはありますか。 また、脚に血栓ができやすいので抗血小板薬(バイアスピリン)を長く飲んでいますが、心房細動のことを考えると抗凝固薬を飲んだ方がよいのでしょうか。
●80歳以上・女性


【答】

「心房細動」は、 心臓の上の部屋「心房」が、十分に収縮せずに細かく震える 「不整脈」です。 下の部屋に相当する「心室」は、不規則に速く収縮するので、動悸や脈の乱れが自覚されます。 また、頻脈のために心臓の働きが低下して息切れを、血圧が一時的に低下して めまいを自覚することもあります。 心房細動は加齢とともに増加するので、高齢者に多く見られます。
心房細動は2つのタイプに分けられます。発症後、数時間~1日以内(長くても7日以内)に自然に心房細動が停止する「発作性心房細動」と、 1週間以上持続する「持続性心房細動」です。 持続性心房細動は、放置すると長時間持続し、正常な心拍に戻すのが難しくなります(「永続性心房細動」と呼びます)。 心房細動で問題になるのは「心不全」や 重症の「脳梗塞」 を発症する危険性があることです。心不全は頻脈が続くと起こりやすくなり、 高血圧で心臓肥大のある人、 もともと「心筋梗塞」などの心臓病のある人は要注意で、 頻脈を予防する薬物治療が必要です。 一方、脳梗塞は心房内に血栓ができ、それが剥がれて脳の血管を詰まらせることで発症します。 重症になることが多く、歩けなくなったり、寝たきりになったりすることもあるので、血栓のリスク(75歳以上、高血圧、糖尿病、心不全、脳梗塞の既往など) のある人は、抗凝固薬を服用する必要があります。バイアスピリンなどの抗血小板薬には効果はありません。

ご質問者の場合は、頻繁に症状が見られることから、発作性心房細動を繰り返しているのかもしれません。 まず、高血圧や心臓病、甲状腺機能異常、 貧血などがあれば、適切な治療を受けてください。 また、 疲労睡眠不足ストレス飲酒などは、心房細動を起こしやすくするので避けることが大切です。 心房細動に対する治療としては、ご高齢で血栓のリスクが高いので、バイアスピリンを抗凝固薬に変更する必要があります。 心房細動の発作を予防する薬(抗不整脈薬)もありますが、高齢者では副作用に注意が必要です。 こうした治療を行っても発作を繰り返す場合は、短期入院で施術可能なカテーテル治療(アブレーションといいます)で根治できる可能性がありますので、 不整脈の専門医にご相談ください。また、持続性心房細動で、頻脈になるために症状が出ている場合は、頻脈予防のための薬物治療で症状は軽減すると思います。


(この答えは、2019年4月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)