【質問】左腕と右腕で血圧値が大きく違います
毎朝、血圧を測りますが、いつも左腕の最高血圧(収縮期血圧)が右腕より30~40mmHgほど高くなります。
最近の測定では、左腕の最高血圧が144mmHg、最低血圧(拡張期血圧)が57mmHg、右腕は105mmHgと56mmHgでした。
これはどのように考えるとよいでしょうか。
●80歳代
●17年前に心臓バイパス手術を受けた
【答】
左右の上腕で測定した収縮期血圧の差が大きい場合は、心臓から上腕に向かう血管のどこかに狭窄がある可能性があります。 はじめに、心臓から出た血管について説明しましょう(下図参照)。 心臓から出た大動脈は、まず上に向かい、弓状に大きく曲がって下に向かいます。 弓状に大きく曲がる部分では、脳や腕に栄養を運ぶ3本の血管が枝分かれします。 心臓から近い順に「腕頭動脈」「左総頸動脈」「左鎖骨下動脈」といい、腕頭動脈はその先でさらに「右鎖骨下動脈」「右総頸動脈」に分かれます。 腕に血液を運ぶのは、左右の鎖骨下動脈です。左右の腕の血圧が大きく違う場合は、心臓から腕に向かう血管のどこかが細くなっていることが考えられます。 ご質問者の場合は、右腕の収縮期血圧が左腕よりも低いことから、腕頭動脈、または、右鎖骨下動脈のどこかに狭窄があることが疑われます。 狭窄の部位は、MRI検査やCT検査で調べられます。
動脈が細くなる主な原因としては、動脈硬化が考えられます。 ご質問者の場合は以前に冠動脈のバイパス手術を受けておられるので、他の血管でも動脈硬化が進行していると考えられます。 また、腕頭動脈が狭窄している場合は、脳に血液を運ぶ右総頸動脈の血流も低下している可能性があります。 一度、内科(循環器内科)を受診して、全身の血管をしっかり調べてもらいましょう。 特に両側の頸動脈エコーや腎動脈エコーなどを受けることが勧められます。 また、質問からは不明ですが、 高血圧、 脂質異常症、 糖尿病などがある場合は、厳格な管理と抗血小板薬による治療も必要です。
(この答えは、2019年11月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)