【質問】期外収縮の治療後も脈が飛びます

「期外収縮」でしばしば脈が飛び、胸の不快感が常にあったので、カテーテルアブレーション治療を受けました。 治療後も相変わらず脈が飛び、スッキリしません。また、急に脈拍が1分間に40台になることがあり、心配です。
●69歳・女性


【答】

心臓は全身に血液を送るポンプの働きをしており、ポンプとして円滑な血液の流れを作るために電気で興奮しています。 心臓の電気的興奮は右心房の洞結節という部分から始まります。 「期外収縮」とは、洞結節から始まる正常な電気的興奮よりも少し早いタイミングで、洞結節以外の心筋から興奮が発生するもので、 心房筋から発生する「心房期外収縮」と、心室筋から発生する「心室期外収縮」に分類されます。 期外収縮が起こると「脈が抜ける感じ」がするほか、期外収縮に続く正常な電気的興奮は強く心臓を拍動させるので、 「胸がつかえる感じ」や「胃の中のものが込み上げる感じ」といった症状を訴える方もいます。 ご質問者の場合は、おそらく心室期外収縮で、そのなかでも 心筋梗塞心筋症などの明らかな病気のない 「特発性心室期外収縮」ではないかと思います。 薬(抗不整脈薬)で期外収縮を完全に抑え込むのは難しいことが多く、症状が強い場合は根治を目指してカテーテルアブレーションを行うことがあります。 ご質問者の場合は、残念ながら、カテーテルアブレーションで期外収縮を根治(消失)することはできなかったようです。 ただ、これまで効かなかった薬が効きやすくなることがあるので、担当医に相談して薬を処方してもらうのもよいでしょう。 それで期外収縮が消失しない場合は、もう一度カテーテルアブレーションを受ける選択肢もあると思います。
また、一時的に脈拍が1分間に40台に減るという症状ですが、これは心室期外収縮と正常な電気的興奮(拍動)が1拍ごとに交互に出現する 「2段脈」になっている可能性があります。心室期外収縮は正常な興奮に続いて早いタイミングで心臓が興奮するので心臓の拍動が弱く、 脈拍として触れないことがあるのです。そのため、脈をとったり、自動血圧計で測定したときに、脈拍数が1分間に30代後半から40台前半になることがあります。 ただし、弱いながらも心室期外収縮によって心臓は拍動し、血液を全身に送り出しています。 脈拍が少ないときに特に症状がなければ、あまり心配はいりません。

【関連項目】:『不整脈』

(この答えは、2020年3月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)