不整脈「危険を防ぐ運動のポイント」

不整脈を起こさないための「危険を防ぐ運動のポイント」について述べます。

■心室細動が起こると、突然死を招く恐れがある

一見すると健康な人でも、心臓発作を起こして突然倒れてしまうことがあります。 こうした心臓の異常が原因で起こる突然死を 「心臓突然死」といいます。 心臓突然死を引き起こす大きな原因になるのが「心室細動」です。 心室細動が起こると、心臓の筋肉の収縮が一定でなくなって、やがて心室が収縮しない状態になります。 その結果、血液を送り出す心臓の”ポンプ機能”が失われて、およそ6秒間で意識がなくなります。 さらに、脳に血液がいかなくなるため、およそ3分間で脳は深刻なダメージを受け、これが心臓突然死につながります。 心臓突然死の70~80%で、心室細動が起こっていると考えられています。


■運動中は負担がかかるため、心室細動が起こりやすくなる

運動中は心臓に負担がかかるので心室細動などが起きやすく、突然死のリスクが高くなります。 特に、今まで全く運動をしていなかった人が、準備運動をしないで急にスポーツを始めると、突然死につながる危険性があります。


●スポーツの種類に関わら注意する

突然死が起こりやすいスポーツは、死亡者数が多い順に、ランニング、ゴルフ、水泳、ゲートボール、登山です。 ランニングや水泳中の突然死は若者に多発しています。”この程度なら大丈夫”などと考えて無理をすることが、 突然死につながります。中高年の場合、ゴルフやゲートボール中の突然死が多く見られます。 動脈硬化が進行して心疾患のある人が多いため、 心臓への負担が少ないスポーツでも突然死が起こりやすいのです。


■定期的な検査や、脈拍数の確認を行い、突然死を防ぐ

突然死を防ぐには「メディカルチェック」や「セルフチェック」が必要です。

●メディカルチェック

運動を始める前に、通常の心電図検査を受けましょう。ただし、 「肥満がある」 「喫煙をする」 「高血圧」 「高血糖」 「コレステロール値が高い」といった場合は、 心不全や心筋梗塞を起こしやすいので、 1つでも当てはまれば、運動負荷心電図を受けることが勧められます。 その場合、健康保険も適用されます。


●セルフチェック

自分で運動前や運動中の体調をチェックします。

▼症状
「動悸」「息切れ」「胸の痛み」といった症状がないかを確認します。

▼脈拍
運動する前の1分間の脈拍数が60~100回の範囲内かどうか、脈拍に乱れがないかどうかを調べます。

▼血圧
家庭で測る場合は、上の血圧が135mmHg未満、下の血圧は85mmHg未満が正常値です。 上と下の血圧のどちらかが一方でも超えていれば高血圧と診断されるので、激しい運動は避けましょう。

最大脈拍数
大まかな目安として運動中の脈拍数が「180-年齢」の値を超えないようにします。 運動中と運動直後に脈拍を測り、超える場合は運動を見直すか、医師の指示を受けます。 突然死を防ぐためにも、脈拍を測る習慣を身につけましょう。

●心臓への負担を減らすために

運動を行うときは「ウォーミングアップ」や「クーリングダウン」を行います。 例えばランニングの場合は、下半身を中心にした約10分間のストレッチングと、軽いウォーキングの後に、 ランニングを始めます。 終了後も、ウォーキング、ストレッチングでクーリングダウンをします。 ゲートボールやゴルフの場合は、その前後にストレッチングをして股関節や脚の靭帯をよく伸ばします。


■意識を失った人には、速やかに応急手当てを行う

倒れている人を見つけたら、まず意識の有無を確認します。意識がなければ周囲の人に119番通報を依頼し、 AED(自動体外式除細動器)を持ってきてもらいます。その間に呼吸の有無を確認して、呼吸がなければ「胸骨圧迫」を行います。 AEDは心室細動を起こした心臓に電気ショックを与え、正常な状態に戻す装置です。人が倒れていて意識がない場合には、 究明のために速やかに使用することが非常に重要です。