適応障害
『適応障害』は本来、一過性の病気ですが、 長引くと鬱病などに診断が変更されることもあります。 早めの対処が必要です。
■適応障害とは?
ストレスが原因で、日常生活に支障を来すほど不調になる
適応障害は、強いストレスによって、日常生活を送ることが困難になるほどの”心の不調”が現れる病気です。 心の症状には、憂鬱な気分で落ち込む、不安感で神経質になる、焦る気持ちになるなどがあります。 行動面にも影響が出ることがあり、涙もろくなって泣く、わめくなどの症状が見られることもあります。 心と行動面の両方に症状が現れる人もいます。 これらの症状によって日常生活に支障が出て、仕事を続けられなくなったり、学校に行けなくなったりする場合があります。 適応障害の症状は、この病気に特有のものではなく、他の心の病気でも見られる症状がほとんどです。 適応障害のある人は、人口の2~8%ほどの割合でいるとされています。 発症年齢は幅広く、子供から高齢者まで、すべての年代で発症する可能性がありますが、 働いている年代に多く、女性は男性のおよそ2倍いるといわれています。
●ストレスがなくなれば、半年以内に改善する
適応障害の特徴は、ストレスとなる出来事が明らかなことです。一般的には、その出来事があってから3ヵ月以内に発症し、ストレスがなくなれば6ヵ月以内に改善します。 適切な対処をせずにそのままにしたり、症状が強くなったりすると、行動面にも影響が出てきます。 周囲の人が手を付けられないほど泣きわめいたり、攻撃的になって物を壊したりする場合があります。 重症化して入院が必要になる場合もあります。強いストレスで症状が現れた場合には、精神科、心療内科、メンタルクリニックなどを受診することをお勧めします。 産業医やかかりつけ医の内科でもよいでしょう。
■適応障害の治療
治療で重要なのは次の2つです。
- ▼環境を調整する
- ”ストレスのもと”を減らすことが基本です。例えば、上司からのパワーハラスメントを受けていたり、職種になじめないようなら、 部署や人の配置を替えてもらうなど、環境を変える方法(環境調整)を考えましょう。 仲たがいしている親がストレスの原因なら、物理的・心理的に距離を置くなどして、原因から離れるようにします。
- ▼ストレスを減らした状況に適応できるようにする
- 精神療法や心理療法が行われます。また、ストレスに対して自分がどのような行動パターンを持っているかに気付き、 そのパターンを変えていく方法(認知行動療法)もあります。
●薬物療法が行われることもある
症状が環境調整の妨げになっている場合や、環境調整を行った後も適応障害がすぐにはよくならず苦痛が強い場合には、薬物療法が行われることもあります。 ただし、薬物療法だけでは治療はうまくいかないことが多く、環境調整や認知行動療法が必要です。
■自分でできる認知行動療法の例